第302話 そうだ旅行へ行こう!3 ~駅に向かおう~
海織の家の机の上にある時刻表なんだが……うん。めっちゃ見覚えがあるんだよね。うん。俺のでしょ。何故にこの家にあるか。
「あの。お食事中すみませんが――海織さん?」
「うん?」
ケーキをパクリと食べた海織が幸せそうに口をもぐもぐさせながらこちらを見た。ほんと美味しそうに食べてらっしゃる。
「机の上の時刻表はどちらから……」
「—―うん。それはもちろん楓君の家からね」
ケーキを飲み込んでから普通にお答えになる海織。
「いつの間に……」
「ささっとね。ちょっと借りちゃった。っていうの忘れてた」
うん。海織さんいつの間にか俺の部屋から時刻表を無断持ち出ししていた様子です。まあいいのだが……。
ってか。本当に京都に行くらしいのだが……うん。どうなることか。
と、俺が思っていると……。
「まあ沙夜が突然言い出した原因は難波先輩だな」
「……うん?難波先輩?なんでそこで先輩が出てくる?」
「いや。正月俺たちいろいろ手伝ったじゃん」
「手伝ったね」
「それに対してのまあお礼だな。給料が来ると」
「なんと。その情報知らないんだが」
「でも何故かそれが俺達にではなくて先に沙夜と宮町さんに話がいったみたいでよ」「……もしかして臨時収入があったから京都。となったと」
「まあそういう事」
「……納得」
「で、すでに現金支給は宮町さんの手の中という」
「……いろいろ言いたいことはあるが――」
「ということで楓。楓の仕事は宮町さんからちゃんと俺たちの分を確保してくると」
「……難易度が高いことで。無理ゲーかもしれない」
「ってか今のケーキ効果ありじゃないか?チャンスチャンス」
幸せそうにケーキを食べている2人を見る。って気が付いたら余っていた1つのスイーツは柊が隣で話しながら食べていたという。おかしい……柊ってその場から動いていたっけ?いつ手に取った?とか思っていると。
「美味しかったー」
「うんうん。楓くんありがとー。あとでお礼に抱きついてあげるよ!」
「ご遠慮します」
「えー。レアだよレア」
「でも激レアなスイーツゲットしてきてくれた楓君はお出かけ時免除だね」
「あっ、そうだねー。じゃ柊の分のお礼で足りなかったらまあ少しくらいは私たちも出そうか?」
「だね。楓君もいい?」
「えっ……あ――うん?」
俺が答えると。少し沈黙のち――。
「ちょっと待て!!今おかしなことが決定したよな!?」
と。柊が言った。
「俺のお礼はどうなる!?」
「全額没収だし」
とまあそこからしばらく柊VS斎宮さんが始まったのだが……数秒で決着。斎宮さんWIN。だった。
「ということで。沙夜ちゃんのお誕生日に4人で京都旅行へ行こう!」
と、その後片付けを終えた海織が言いだして……あっ。ちなみに何もお菓子などを食べれていなかった俺は。海織の家にあったドライマンゴー?とか言うんだったよな?乾燥したマンゴーを食べつつ話を聞いている。
いや、これがこれで美味いよ。うん。しばらく口の中で楽しめる。海織曰くネットで発見したと。とまあ俺がそんなことを思っていると――。
「楓!俺の頑張りがー」
「……まあ京都旅行に使ったと思うのが一番かと」
「欲しかったものがあるのにー」
と、俺の横では……まあいろいろ言っているお方が居ますが……女の子2人が強いですからね。うん。俺は……2つのケーキにより助かったらしい。まあ……その後のことを言うと。4人で動くとなると予算はそこそこかかるというか。斎宮さんのお誕生日旅行?とやらになったため。足りない分は俺と海織が出すということに海織の判断によってなった。うん。俺は何も言ってないが決まった。でも柊よりは……マシか。少しだが臨時収入が来たし。
結局それからしばらく4人—―うん。まあはじめは3人だったが……柊が「俺は知らん」みたいな感じだったが……まあガイドブックとかこっちの話を聞いていたからか。次第に話に入ってきて……。
「仕方ない。俺も行きたくなってきたから行くか」
と、言うことになりしばらく4人でルートなどを考えた。
そして途中海織の手作り晩ごはんがありまして……うん。最近ホントよく食べてたが。美味いんだよね。海織の料理はどんどん美味くなっているというか。レベルが上がるというか。今日のボルシチも大変美味でした。うん。話している途中で何度か海織がキッチンに行くな……とは思っていたのだが。まさかの予定決めながらちゃんと晩ごはんの準備をしてくれていたとは。うん。すごいお方ですよ。彼女は。
柊も斎宮さんも感動してましたからね。
とまあ晩ごはんも食べて――途中無駄話も多々あり……。
でも役割分担も決まり。斎宮さんの誕生日に京都へ行こう!は無事に決まった。
そして真っ暗になった頃。ってか何時だ?今何時?と思いつつスマホを確認してみると。
「もう8時50分か」
「ホントだ。海織ちゃんごめんね。遅くまで」
「いいよいいよ」
「でもとりあえず決まったし。そろそろ帰るか。宮町さんところにずっと居るのは悪し」
「だね。柊のニオイが付くから」
「なんだよそれ」
「柊のニオイ」
「再度言うな」
となんか斎宮さんと柊が言いあっていたが……それはいつもの事だろうということで俺と海織は触れず――。
帰る準備。って……なんで海織もカバンを持ったのかな?あなたの家ここですよ?
そしてそれから少しして小走りで俺たちは海織の家を出た。
「後3分だよー」
「乗り遅れて寒い中駅待機は嫌だよー」
と、俺の前を女の子2人が小走りで進んで行き。駅へと入っていく――女の子2人である。
「……楓。なんかおかしくないか?」
「うん。いろいろ言いたかったけど。もう駅まで来たし。いいか。って思ってる」
「なんか慣れてるな」
「慣れちゃダメな気がするけどね……」
柊と話していると――。
「柊ー、楓くん!」
と、斎宮さんに呼ばれたため俺と柊も少し急いで駅へと入っていったのだった。
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