第277話 餅つき大会4 ~子供相手中です~

「はいよはいよ」


「はいよっと」


餅つきは順調に進んでいる。

そして出来た餅はどんどん減っていく。ホント中で機械でも作ってもらって正解だった。

ちなみに……あれからもう1つ。近所のおっちゃんが機械を持って来てくれたので餅ができるペースは少し前からアップしている。まあ食べるのは制限なし。ということもあり。どんどん餅が減っていくのでね。


つきたての餅が出来ると人がこっちに集まってきて――ざわざわ。


準備したあんこやしょうゆ。大根おろしやキムチなどいろいろなものとセットに餅が飛んでいくように減っていく。


「はいよ。こっちの餅も出来たよ。あらー。すごい人ね」


と室内からも餅がやってくる。


「あら?もうなくなったの?こっちはそんなに早く無理よ」

「大丈夫ですよ。難波先輩が上手に子供を引き付けてますから」


俺はおばちゃんとそんな会話をして難波先輩の方を見る。

うん。難波先輩は餅がこっちにある時は子供たちに杵を持たせて……という感じでゆっくりと。そして餅が減って来ると。こうするんだ。みたいな感じで自分で実演。ちなみに柊は先ほどから餅をひっくり返す役になっている。


俺は餅を渡していく係。

とまあ簡単といえば簡単なのだが……熱いね。餅が熱いよ。うん。出来立てはアツアツなのでそれを1人分ずつ分けていっているのだが。これがまあ熱さとの勝負。寒いとか全く思わなくなっていた。まあ餅の冷めるのも早いので早く分けて早く渡してあげたいのでね。頑張っています。


ってまだ昼前なんだよな。ふと気が付いたらグラウンドの方では羽子板で遊ぶ子供と親がたくさん。そして室内の方の広間でも真剣に書道か。という感じで会場内各所で人がたくさん集まっている。これはいい感じに人が集まっているのではないかと思っている俺だった。


そういえば中にはネットで知ってせっかくだから見に来てみた。という人もさっきいたな。とか俺が思っていると。


「お餅ください」

「あっ、うん。待ってね」


小さなお客さんが並んでいた。危ない危ないちょっと違う方を見ていると人が来るのでね。まあ行列を作ると……なんで。子供が何人かでもらいに来るとあっという間に並んでしまうのでね。


ちなみに子供にはあんこが人気です。

はい。その次に大根おろしがよく出るかな。


そんなことを思いつつ。俺はお餅を子供たちへと渡していく。


「ありがとう」

「私は醤油のお餅ください」

「はい。これね」

「ありがとー」

「お兄ちゃんお兄ちゃん。あんこ大盛」

「あれ?君さっきもたくさん……」

「まだまだ食べれるよ!」


うん。子供の胃袋は怖いね。食べる専門の子どものペースの早い事。食べすぎにならないように……何だがね。まあ楽しんでくれてるならいいか。という感じで俺は渡していく。難波先輩も「お腹いっおぱい食ってもらいたいんだよ」とか言っていたのでね。なお。あんこなどは大盛受け付けておりませんが――すぐになくなっちゃうんでね。まあ気持ちスプーンで足して……って感じだな。


ってか。子供多いな――うん。


そんなことを思っていると。


「おっ。楓くん発見」

「斎宮さん。ってあれ?1人?」


俺がお餅を渡していたところにやって来たのは斎宮さん。斎宮さんと海織は餅つきのお手伝いには入ってないのでね。斎宮さんは暖かそうな服装で完全防備で会場へとやって来た。


「うん?海織ちゃんも居るよ……ってあれ?」


と、隣を見て不思議そうにする斎宮さんだった。あれ?海織まさかの迷子?とか俺が思っていると――。


「あれ?一緒に来たのに……海織ちゃんどこ行っちゃったんだろう?」


と斎宮さんがまわりを見つつ言った時だった。


「沙夜ちゃーん」


と海織の声が人混みの方から聞こえて――姿が見えた。


「あっ来た来た」

「沙夜ちゃん歩くの早いよ」

「そうかな?」

「人混みの中スイスイ抜けてくんだもん」

「ごめんごめん。ってことで楓くんお餅ちょうだい」

「あっ、楓君。私も大根おろしで」

「私はあんこでねー」


と、俺は斎宮さんと海織にもお餅を……そして2人はVIPではないが――まあ関係者?になるのか。普通に俺の後ろに回りそこで餅を食べていた。まあ……大丈夫だよな。うん。


「うん。美味しいー。って出来立て?これ」

「そう。それはさっき出来たやつだね」

「お兄ちゃんあんこください」


と、斎宮さんと話している間も餅を取りに来る子供はやって来るので今はそちらを優先する俺。。


「あっ、あんこね。はい。どうぞ」

「ありがとー。おにいちゃん」

「お兄ちゃん。ママが醤油もお餅欲しいって」

「醤油ね。はい。気を付けて」

「うん。ありがとう」


うん、ホントどんどん人が来るな。とか思っている後ろから――。


「楓くんってさ。子供相手上手だよね」

「うんうん。何気にしゃがんだりして目線合わせてるし」

「あらー、海織ちゃんが焼いてる?」

「違うからー」

「まあ楓君と海織ちゃんの仲に割って入るような人は居ないよ。ラブラブ過ぎてって主に海織ちゃんがべったり常時付いてるからね。隙が無いからねー」

「なのに昨日普通に帰っちゃったんだよねー」

「あれ?そうなの?」

「うん。普通に帰っちゃったよ。気が付いたらすでに家だった」

「ありゃー。珍しい。って海織ちゃんもお手伝いと撮影会で疲れたんだよ。あれ何気にずっと笑顔だし。お守りとか売ってるときも基本笑顔だったからね」

「だねー。あとおみくじの番号聞いて紙を渡すときのドキドキ」

「うんうん。大吉!って喜んでくれるといいけど」

「私の時凶って言ってる人いたかな」

「あっ、私の時も居た」

「凶ってそんなに入ってるんだっけ?」

「どうなんだろう?」


とまあそんな会話が聞こえてきましたとさ。


「おうおう。宮町に斎宮も来たか」


と次は大きな大人の方が並んでいました。なんかこのお方。真夏みたいな服装になったのは……気のせいですね。はい。気にしないことにしましょう。

って……餅つきは誰かと交代したのですか?難波先輩。とか思っている俺だった。

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