第253話 クリスマス3 ~悲惨な事にはなってなかった~

現在は家へと向かうため湯の山温泉駅15時32分発の近鉄四日市行きの普通電車に揺られている俺。


先ほど俺のスマホにメッセージが来て……うん。多分いつもの時間の電車で俺が帰ってこなかったからだろう。海織から……。


「楓君。今どこに居る?もうすぐ帰って来る?」


と、いうメッセージが来たので。


「ちょっと難波先輩と話していたから電車乗り遅れた」


と、今返事をしたところ。


ちなみに電車は先ほど桜駅を出発したところなので……まあもう少ししたら着く。ということもそのあと送っておいた。


そして15時49分伊勢川島駅に到着。俺は家へと向かう。


その時ふと……あー、なんか薄力粉?爆発させていたけど……どうなったんだろうか。とちょっとだけ不安になったが。まあ大丈夫だろう。と思いつつ家へと。


――ガチャ。


家のドアを開けると。


「あっ、帰って来たおかえり楓君」

「楓くんー。ホントごめん。ぶちまけた!でも多分綺麗になったから」


と、女の子2人のお出迎え。うん。ある意味これはこれで良いというか。レアな光景。


とりあえずもうケーキ作りは終えているらしく。エプロン姿ではなかった。うん。ちょっとだけ残念……かな?でも――。


「めっちゃいいチョコの香りがする」

「でしょでしょ。海織ちゃんすごいよ、ってもちろん私も手伝ってるからね?」

「沙夜ちゃんがいろいろやらかしてくれたからなー大変だったよー」

「海織ちゃん。もういじめないでくださーい」

「ふふっ。ほら、楓君。白塚君がお預けくらってるから」

「そういえば柊ももう居るんだっけ?」


と、言いながら部屋の中に入ると……。


「よ、よう。さっき……ぶり」

「—―ああ。で、なにしてるんだ?柊。そんな改まって?って言うのかわからんが」

「なんかな。わからんがこの姿勢から動いたらケーキあげないとか言われてよ。っかもう足がやばいから、動くに動けない。はじめは余裕だったが……正座ヤバイ」

「まあ長時間の正座は……きついからな」

「あー。ちょっと……動くとやべー」


何故か部屋には正座をしている柊が居た。


「ふふふふー。柊が先に食べそうだったからねー。あと、罰」


と、隣に来た斎宮さんがちょっと小声でそんなことを言ってきた。


「で、楓君ケーキ食べたい?」

「そりゃ。食べたいかな。」

「仕方ないなー。じゃあ早速食べようか?」


うん。無事にケーキは食べられるみたいです。2人に感謝感謝。


「あっ、ホイップクリームとケーキ持ってくるねー」

「お願い沙夜ちゃん」


部屋で正座をしているイケメンさんは居たが……まあそれ以外はいつも通り。というか出て行った時のまま。多分薄力粉?だっけかをぶちまけたところは……さすが海織と言うべきだろう。2人で掃除をしたのだと思うが。綺麗になっていたので問題ないだろう。


と、俺がそんなことを思っていると……。


「はい。フォンダンショコラ!ちなみに私が食べたかったからこれになりました!」


と、斎宮さんが言いながら机の上に置いた。って。


「おお」

「あー、足が!」


と、俺がお店のような出来栄えだったのですげー、と思っている横で。なんか――うん。柊が悲鳴みたいな感じの声を出していた。


「あれ、足触れかな?」

「かもねー、でも今暴れるとだから」

「だねー、ほっておこうか。私も早く食べたいし。柊が動かないなら私が2つ食べれるからねー」

「沙夜、待てー」


とか斎宮さんと海織が話している。そして柊が頑張って移動中。ちなみに俺は……うん。足を触るのはやめてあげて。とか思っていた。あれホント。悲鳴だからな。うんうん。


「あっ、楓君ホイップクリーム多めがいい?」

「あっ、普通でいいかな」

「了解」


そう言いながら海織がホイップクリームをフォンダンショコラの乗っているお皿の横に乗せていった。うん。ほんとお店みたいになってきたよ。


「私多めがいいなー」

「うん。わかった」


その後斎宮さんのところ自分のところ、そしてまだ足がしびれている柊のところに海織がホイップクリームを置いて完成らしい。


「じゃ、どうぞー」


まだ柊が必死にしびれと格闘しているのが……そう言われたのでまあお先に――。


一口……ってすげー、半分にしてみたら中かなちゃんと、とろっとチョコが出てきた。そして食べる。うん。


「これ美味しい」

「ホント?」

「うん。普通に店のレベル」

「やったー」


俺の感想を聞いてから海織も一口。そして斎宮さんは……すでに食べて幸せそうな顔をしていた。うん。で、柊がやっとたどり着いた。


「……やっと足が戻って来た……ってやべー。うまっ!これすごっ」


そして柊が感激していましたとさ。


フォンダンショコラはあっという間に消えて――いや、マジ美味かったです。


今は海織が買っておいてくれた紅茶を飲みつつ雑談中……というか。それももう終わったかな。うん。

なんかさっきからプロレスしている2人が居る。まあただ斎宮さんが柊の背中に乗っているって状況なんだがな。そして斎宮さんに乗られている柊は――。


「楓……裏切ってたのかー」

「いや、あまりにもタイミングがよかったからな。つい報告した」

「楓くんナイス!ってやっぱり柊が余計なところで余計な噂するから。私がミスっちゃったんだからね」

「って、だから俺が来たらいきなり正座の指令だったのか……」

「まあそういう事ー」


うん。まあこうなる未来はちょっと見えていた。


「楓君楓君」

「—―うん?」


俺が柊と斎宮さんと話していると。俺の隣に先ほどまで洗い物をしてくれていた海織るが戻って来た。


「楓君ってさー」

「うん?」

「女装したいの?」

「—―—―—―はい!?」

「—―え!?」

「楓……お前そんな趣味が……」

「ないからな?ないない。って海織は急に何言い出すんだよ」

「これ」

「……あー」


海織は1枚の紙を持っていた。

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