第251話 クリスマス ~伊勢川島駅10時10分発~
これをクリスマスシーズンとか言うのだろうか。
多くの学生が冬休みに入ったあたりから町の雰囲気が一気にクリスマスとなった。買い物とか行ってもなんかすごいからな。うん。どこ行ってもクリスマスの物ばかりという。この前も買い物に行ったらケーキやチキンの予約の案内がすごかったな。と思い出す。
――が。
大学はまだ続いている。学生だが冬休みに入っているのは小学校、中学校、高校だけ。うん。大学はまだ普通に講義がある。
今日も講義は普通にある……というか。昨日知ったのだが。俺だけ今日あるというね。なので――。
「行ってらっしゃい。楓君。夕方楽しみにしててね?」
先ほど俺は当たり前のように昨日から俺の家に居た海織に送り出してもらったところだ。
海織はこの後斎宮さんと俺の家でケーキ作り。俺が出かける時には「沙夜ちゃんが来る前に準備出来るところは……」とか言いながらなんかすでに楽しそうに準備をしていた。
ちなみに俺の家にお菓子のを作る材料があるわけないので……。
昨日の大学帰りに俺は海織とともに海織の家まで一緒に行き……いろいろ荷物を持ってきた。そこからずっと海織は俺の家に居る。まあ居るのはいつもの事か。
そういえば……なんで俺の家で開催されることになったのだろうか……あれかな海織の家だと斎宮さんが乗り換えとかしないといけないから。大変だから俺の家?うーん。まあ……いいか。
そんなことを考えつつ俺は大学に向かうため伊勢川島駅へと向かった。
そして駅に到着。
なんか――いつもより気持ちだが。人が少ない気がするが……まあ実家にもう帰った学生とかもいるだろうしね。うん。
そして伊勢川島駅10時10分発の湯の山温泉行きの普通電車に乗ったのだが。やっぱりいつもより少し人が少ない気がした。
――あっ、そうか。そもそも高校生がもう休みでいないからか。大学以外はみんな冬休みだからあ。ってさっきこんなこと自分で言っていたような……。
まあ電車は定刻通り走っている。ちなみにすでに1人と言っているので言う必要もないかと思うが。一応言っておくと……菰野駅で斎宮さんや柊が来るということもない。
俺が乗った電車は10時28分湯の山温泉駅に到着した。
そして俺は1人でトコトコ大学への道を歩いて講義室へと向かった。
そして講義室に入ると。やっぱり講義室の中もなんか人がいつもより少ない気がした。あと……人はまあ居るのは居るがなんか雰囲気がいつもと違う気もした。まあクリスマスだからか。そりゃみんなちょっとテンション高めになるかな。
俺はそんなことを思いつつ。適当に空いている席に座り。講義が始まるのを待った。
そして――。
うん、よし。90分間の午前の講義終わり。頑張ったである。
あと1限だ。
お昼休みは今日は1人だったが。まあ日差しもあったのでそこまで寒くないだろうといつものベンチに1人でのんびりとスマホを見つつお昼休憩をしていたら。
していたらだ。
「やっぱ楓じゃん」
「—―うん?」
急に声をかけられた。
声の方を振り向くと……。
「あれ?柊って講義ないって言ってなかった?」
柊がこちらへと歩いてきていた。
「講義は無いんだけどさ。ちょっと呼ばれてさ」
「サークル?」
「まあそういう事。で、ふと外見ていたら1人で居る楓を見つけたってわけ」
「なるほど。って柊もこの後うちに来るんだっけ?」
「そうそう、ケーキをいただきにな」
「ちなみに順調らしいよ」
「うん?なんで大学に居る楓が進捗状況知ってるんだ?」
「いや、普通にさっきメッセージが来たから」
「相も変わらず仲良しなことで」
「いやいや、斎宮さんからな」
「うん?沙夜から?」
「うん」
俺は講義中に届いたメッセージを柊にも見せる。
「見てみてー。いい感じでしょ。海織ちゃん先生すごいよー。めっちゃいい感じだよー。すでに美味しそう!」
と、その後ケーキを作っているところの画像が何枚か来ていた。
「マジだな。沙夜からだな。俺には――何にも来てないんだが……いや、朝あった時に言われたか。今日無理なら無理してこなくていいからねー。とか言われたわ。自分が2つ食べれるとか言いながら」
「……言いそう」
「ってか。宮町さんのエプロン姿いいなー」
「うん?」
「いやいや、楓は見慣れてるのかもしれないけどよー。めっちゃ似合ってるし。ホントいいなー。楓は」
「いや、斎宮さんもいろいろと何着ても似合うかと」
「いやいや、あの暴力女は……だな」
「そんなこと言っているとケーキもらえないぞ?」
「大丈夫聞こえてなければセーフ。さすがに今楓の家に居る沙夜には聞こえないからな」
そんな噂をしていると……まあ勘がいいのか。何とやらか。
♪♪
俺のスマホが鳴った。
「うん?また――斎宮さんか」
「沙夜は何してるんだ?ケーキ作りしてないのか?」
「どうだろう?お手伝いとは言っていたが」
俺がスマホの画面を確認してみると……。
「楓君ごめん。ちょっとくしゃみしちゃったら薄力粉?ぶちまけちゃいましたー。ごめん。掃除するからー。とりあえず……隠せない感じだったので――先に報告しとく。ごめん」
と、その後すぐに画像が来て……スマホをのぞき込んできていた柊とともに確認。
「—―おう」
「うわー、すげーな。おい、真っ白じゃん」
送られてきた画像は……なんか部屋の一部が白くなっていた。うん。
「まあ、特にまあ大事な物とかないから大丈夫か」
と、俺がつぶやくと同時くらいに……。
♪♪
再度斎宮さんから連絡が来た。
「これは絶対柊が変な噂話してる。うん。間違いない。柊の責任にしておいてー。あっ、そういえば柊も大学居ると思うよー。なんか朝話した時にサークルの人のところ行く。とか言っていたから。もし柊に会ったら私の噂したかちょっと聞いておいてよ。もしかしたら柊の責任にできるから」
斎宮さんある意味すごいなー。とか思いつつお隣を見ると――。
「……」
「……だとよ。彼氏さん」
「……こいつこえーよ。エスパーかよ。って責任俺に押し付けてきてるし」
「まあ噂をしたのは本当と」
「いやいや、楓よ。なんか返事しようとしてないか?」
「うん?いや、事実をと」
「待て待て待て。俺のケーキが消える」
と、そんな感じで柊としばらく話しながらお昼の時間は過ぎていった。
俺は講義がまだあるため講義室へ。
柊は一足先に俺の家に向かうらしい。
そうそうちなみに柊と別れた後に海織からもメッセージが来た。
内容は、まあ部屋汚しちゃった。という事だったので。まあ問題と伝えておいた。
ちなみに柊と別れた後。
「一応。報告。お昼休みに柊と会っていたんだけど――まあちょうど連絡来る直前に噂はしていた。以上です」
と、斎宮さんに伝えておいた俺だった。
いや、あまりにもねタイミングがよかったというのと。まあ、変に隠すと……なんでね。事実を伝えておいた。どうなるかは……わからないが。いや、ちょっと予想はしている。柊が――潰されている未来を。
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