第241話 空港デート延長戦? ~まだ止まっている~
現在の時刻は22時40分。
電車が止まってから……もうすぐ1時間になるかな?うん、全く動く気配がない。あっ、ちなみに近くの駅までは動いたので窓の外は今駅です。どこの駅かは……ちょっとわからないですが。でも明るいところには居ます。が。ここに来てからまた電車が動かないです。
何度かスマホで現在の状況を調べていたのだが。運転再開予定時刻は確認するたびに遅くなっていき……現在は22時45分運転再開見込みなのだが……なんかまだ動かない気がする。
ちなみに俺のお隣さんはというと――。
「……」
少し前から夢の中。寒い中元気に動いていましたからね。って大学帰りに来たんだからさすがに疲れるか。
俺の肩にもたれながら夢の中です。俺は特にすることが無いので……って、まあ乗客の人はすることないですよね。
そして俺は地味に焦っていた。
いやさ。多分後名古屋駅までは15分くらいのところでこの電車は止まっているのだが……今の時間が22時40分。もし今運転再開をしたとして――名古屋到着は23時頃。
つまり近鉄の電車がギリギリという……うん。さすがに会社が違うからね。最終電車が待ってくれる……とかいうことはないと思うので――。
どうしようかな……である。
なのだが……俺のお隣さんはそんな心配をしている様子はなく。夢の中である。
「……」
まあ海織を見ていても夢の中なので反応はしてくれない。
「……ってそうだよ。海織だよ。海織、海織」
俺はとあることを思い出して海織に声をかけた。
「……う。うん――?うん?電車動いた?」
「いや、まだなんだけど」
「どうしたの?」
海織を夢の世界から呼び戻した。
「いや、このまま止まっている近鉄の最終にですね」
「あっ……そうか。今何時だっけ?」
「もう22時45分前です」
「えっと……最終電車は名古屋何分だっけ?」
「23時10分が最終で。あっ、四日市までなら23時40分の急行でも帰れるんだけど……それだと、四日市まで湯の山線はもうないからね。で、楠方面も塩浜までかな?しか行けないかと……」
「それだと、四日市でタクシーとかになっちゃうよね?」
「はい、で、思い出したんだけど」
「なになに?」
「海織の実家にヘルプ要請をするというのは――どうでしょうか?」
「……」
俺が聞いてみると海織がキョトン?というのか。そんな表情になった。
「……」
「海織?」
「ごめん楓君。実家のこと完全に忘れてた」
「お――おう」
海織さん実家の存在を忘れる。これはガチらしい。本当にというか。珍しくちょっと焦っている?感じの海織だった。
「ちょっとママにメッセージ入れてみるね」
「お願いします」
それから海織が少しスマホをポチポチ……。
そして返事を待っている間に時刻は23時に。と、その時海織のところに返事があった。
「—―あちゃー」
スマホを見ていた海織からそんな声が聞こえてきた。
「うん?」
「楓君。ママからだよ」
海織はそう言いながらスマホの画面をまた俺に見せてくれた。
「えっと……」
海織のスマホの画面を見てみると――。
「海織。ごめんね。今日ね。パパと旅行行ってて留守なのー」
その文章の後に何故かラブラブしている犬のスタンプが送られてきていた。これが意味することは何だろうか……うん。気にしないでおこう。
はい。海織の実家にヘルプ失敗しました。
「これは……どうしようか?タク――」
「名古屋でホテルだね」
「……なんかうれしそうだね?」
うん。俺の駅からタクシーの選択肢を言う前に海織に違うことを言われました。
「そんなことないよー。ニヤニヤ」
「……」
何故か急に嬉しそうにしているお方が隣に居ます。
そして海織がスマホで多分ホテルを探し出したと同時くらいに……車内にアナウンスがあり。順次運転再開をすると。アナウンスが入った。
そして俺と海織の乗っていたミュースカイはやっと。うん。久しぶりに動き出した。
そしてそこからは途中で一時徐行運転?でゆっくりとなっていたが。何とか名古屋駅までは帰って来たのだが……。
「うん。電車出ちゃった後だね」
「……一応四日市まではまだ帰れるよ?」
「えっ、ホテルとったよ?」
「—―えっ?いつとったの?」
「さっきだよ?名古屋駅。ホテル……で安めのところで綺麗そうなところ空いていたから。ポチって」
「こちらに相談はなしですか」
「てへへ」
名古屋駅。名鉄名古屋駅にミュースカイが到着したのは23時20分過ぎ。予定していた23時10分発の津行き特急はすでに発車したあと。この後23時40分に近鉄四日市行きの急行はあるのだが……四日市からの移動手段がタクシーしかないので……。
まあそれで名古屋で泊まることになったのだが――。
うん。車内でスマホを海織が見ているな。とは思ったんだが。まさかのこちらに相談なくホテルを決めているとは思ってもいなかった。いや、まあ別に希望とかないのでどこでも俺はいいのだが……ね。海織さんが探したホテル。うん。なんかありそうな気が……。
「とりあえず、改札を出ようか?」
「うん。えっとね。今居るところの……反対側かな?」
「あおなみ線乗り場とかの方?」
「そうそう。多分そっち」
「了解です」
どうやらそちら方面のホテルを海織は予約したみたいです。
改札を抜けて外に出ると……。
「—―寒っ」
冷たい風が外は吹いていました。そういえば車内にずっといたので外の寒さの事を忘れていました。
「夜はさらに冷えるね。海織大丈夫?」
「うん。楓君にくっつくから」
とか言いながらすでにくっついているお方。まあ海織が隣に居てくれると暖かいからいいか。と、歩き出した2人。
海織の案内のもと数分歩いて行くと……。
「あっ、ここだ」
と、うん。
なかなか綺麗なホテルが目の前に……って高そうじゃない?とか俺は思っていたが。海織が言った値段は……うん。安い方だった。
海織と寒さから避難するようにとりあえずホテル内へ。中に入ってみると静かで落ち着いた感じのロビー。そしてそこでチェックインをするとすぐに部屋へと移動できた。
すでに館内のエレベーターに乗り。部屋の階へ移動中。
「ホテル綺麗だね」
「うん。まだ新しいのかな?」
「多分新しいみたいだよ?」
「って、後でお金出すから」
「いいよいいよ?」
「いやいや、そこそこ2人分は金額がしますから」
「えー、じゃあ、この後私の言いなりになってくれたらいいからー」
「払います」
「なんで必死なのー」
ちょっと海織が拗ねた。いやいや、海織さんのご命令とか大変なことになりますからね。
ちょっと海織に軽く突っつかれるという攻撃を受けていると。エレベーターは今夜宿泊する部屋のある階へと到着した。
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