第239話 空港デート9 ~中部国際空港駅21時37分発~

斎宮さんとのやりとりがあったため。少し駅に戻って来るのが遅くなった俺と海織。まあ特にこの電車に必ず乗りたいとかの希望はなく。特急券を取ったり。とかいうこともしていなかったので特に問題はない。


「あっ。次のミュースカイは……7分がいっちゃったから……37分だね」

「普通の特急は……17分発だから――」

「今出発したね」


はい。俺と海織はまだ改札の外。切符も買っていません。時間は21時16分……17分かな?ちょうど名古屋方面に行く特急電車が発車するところのようです。なので……まあ特急には乗れませんね。


「海織。間に準急?もあるみたいだけど」

「せっかくだからミュースカイ乗りたくない?」

「まあ、乗りたいかな。はじめてだし。そうはここにも来ないだろうし」

「じゃ、37分の電車にしようよ。特に急いでいるわけでもないし」

「了解です。じゃ特急券買って中に入ろうか」

「うん!」


そうそう、先ほどからチラチラと登場している。ミュースカイ。これはなんていうのかな。車両の愛称って言うのか。まあ近鉄で言うと。スナックカー、サニーカーとか。そうそう、ひのとり。アーバンライナー。しまかぜとかの事でいいかな?


まあ特急の中の言い方というか。名前というか。


名鉄ではこの空港線だったかな?この中部国際空港駅と名古屋、岐阜とかを結んでいる特急電車の中の一部がミュースカイ。全車特別車とか言うのかな?名鉄の普通の特急というか今さっき出て行った特急は一部特別車だがミュースカイという特急は全車特別車。特急券が無いと乗れませんというやつだ。あと途中停車駅が特急よりもさらに少なくて名古屋までも何分だったかな……28分?かな。名鉄の最上位の特急みたいな。感じかな?

って、そういえば名鉄には快速特急とかもあったような。快速特急は特急の上?でもミュースカイの方がさらに上な気が――うん。たぶん合っているかと。


はい。ってそんなことを思っている間に俺と海織は特急券を買って――改札の中へと向かった。


「ミュースカイは専用のホームがあるんだよね」

「だね。今さっき知った。むしろもう1つホームがあることに来た時は気が付かなかったかな」

「だね。昔からあったかな?無かった気がするんだけどなー」


俺と海織は行きに降りたホームの横へと向かっていた。中部国際空港駅にはミュースカイ専用ホームとか言うのがあり。一般の電車とは違うところから発車するらしい。まあお隣のホームなんだがね。でも専用と聞くとなんか。特別な感じが増しますね。


「ミュースカイ。一度乗ってみたかったんだよねー。実家に帰る時じゃ乗れないから」

「空港に来ちゃうからね」

「そうそう。途中は金山と神宮前しか止まらないからね」

「あー、そう考えると柊は使えるのか」

「えっ?どういうこと?」

「いや、前に柊が実家にーやらの時。あっ結構前にね。時間とか聞かれて調べたんだけど。今から乗るのは新鵜沼駅行きだけど。1つ前のミュースカイは岐阜駅行きだったでしょ?」

「そうだね。確か岐阜駅行きだったよ」

「ってことは名古屋からもし柊が帰る時は特急券買えば乗れるんだろうなー。って。まあ詳しく知らないから何ともだけど」

「あー。そっか。名古屋から岐阜と新鵜沼に行く人ならミュースカイ使えるんだね。私の方はダメだけど」


とか海織と話していると電車がホームへと入って来た。


少しして……。


「おお、座席の色綺麗」

「うん。シンプルって言うのかな?いいデザインだね」

「うんうん。車体の青の色も綺麗だよね。名鉄いえば赤のイメージなんだけどね」

「あー、そういえば名鉄って赤のイメージあるよね。パノラマカーとか」

「うんうん。最近は通勤車?もステンレスの車両が走り出したから全部赤。って言うのはちょっと減ったのかもしれないけど。実家に居た時はね。赤い電車ってイメージが強かったかなー」

「俺はあまり乗らなかったけど……名鉄は赤のイメージあるかな」


そんなことを話しながら座席へと座った。


「もう外は真っ暗だね」

「まあもう21時半過ぎだし……これが名古屋には」

「22時05分着だね」

「まあまだ近鉄は余裕と言えば余裕か」

「うん。ちゃんと帰れるよ。まあママパパ出動とかあっても私は良かったんだけどねー」

「不吉なことを言わない」

「はーい」

「っか近鉄の名古屋駅の時刻表見ておこうか?」

「あっ、そうだね。もうこの時間じゃお店とかほとんど開いてないから帰るだけだもんね。名古屋には05分着だから」


海織がそう言っている間に俺は自分のスマホを出して近鉄名古屋駅の時刻表を出した。俺がスマホを出すと海織がのぞき込んできた。相変わらずお近いですね。海織さん。まあ――いいのだが。


「急行は22時06分だから乗れないよね」

「だね。1分はきついね」

「その次の電車は普通だから……多分その後の特急の方が早く四日市には着くから……特急なら22時25分かな?急行なら……34分かな?」

「さすが楓君。時刻表見ただけで、どの電車が早いかわかっちゃうんだねー」

「いや、合っているかは、だけどね。夜の時間は日中とかダイヤと少し違うから」

「でもまあ駅で待っていてもだから。急行の前の特急でもいいかもね。コンビニくらいしか見るところがないかもしれないから」

「だね。じゃ、特急目指してだね」

「あっ、そうだ。まだ人少ないから大丈夫だよね?」

「えっ?」


と、俺が反応したと同時くらいに……海織が急に俺の身体を引っ張ってきて――。


――カシャ。


「……」

「よし」

「—―よし。じゃないから。なんで今写真撮った?」

「沙夜ちゃんに自慢用」


とか言いながら海織はスマホをポチポチしている。


「ちょちょ」

「はい。送信完了!」

「早いよ。めっちゃ早いね」

「でしょー」


どんな写真を撮ったかは見れていないのだが……なんか海織の顔が近くにあったのはわかった。すると――。


♪♪


「—―うん?俺のスマホ?」


何故か俺のスマホにメッセージが届き。今さっきまで見ていた時刻表の画面の上に新着メッセージの通知が来た……って車内はマナーモードにしておかないとな。と、マナーモードにしてからメッセージを確認してみると――。


「また海織ちゃんがイチャイチャを送って来たー」

「……何故に俺に返事を送って来たか」

「あれ?楓君のところに返事いったの?」

「来ました」


何故か斎宮さんが俺に返事をしてきた頃。アナウンスがあり。電車はゆっくりと動き出した。


定刻通り。21時37分に俺と海織を乗せたミュースカイは中部国際空港駅。セントレアを発車した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る