第222話 味噌だな ~葉っぱが入っていた~
「柊ー。とりあえず再配達依頼して中身見てみようよ」
先ほどから何か調べているのかスマホ片手に沙夜が言い出した。
「……あまり気が進まないんだがな」
「いいじゃん。別にお金払う必要とかそんなことないんでしょ?実家から送られてきたんだから」
「着払いだったら普通に送り返してるわ。受け取り拒否で」
「ってことで」
再度沙夜に不在票を持って行かれた。
「……えっと――これは……番号で……時間を選んで……って今日の配達まだ間に合うじゃん。じゃ、ぽちっと」
ということで再配達依頼は俺が何かを言う前に沙夜が完了した。
「OKー。これであとは来るのを待つだけだねー」
「味噌ね……何が来るんだか」
「味噌かー、本当に味噌来たらどうする?柊のところの誰かが去年あたりから作ってて……今年できたから送ったとか」
「そんなことはないと思うが――味噌が来てもな。みそ汁しか使い道浮かばないんだが」
「やっぱり楓くんと海織ちゃん呼んでおこうか?」
「いや……俺しばかれたくないしなー」
「いいじゃん。海織ちゃんに怒られるくらいなら。レアでしょ?ってもうしてあるし」
「レアって」
「だって海織ちゃんをお怒りバージョンにできるのは柊だけでしょ?」
「なんだそれ」
「だって楓くんと居る時の海織ちゃんデレデレでしょ?怒るとか選択肢になさそうだもん。楓くんは楓くんで海織ちゃんが怒りそうなことするとは思わないし」
「—―まあ楓はな。あいつはあいつで……なかなかのキャラだな。隣に宮町さんが居ても常時通常運行というか。動じないというか。扱い慣れしているというか」
「最近海織ちゃんのアタックが激しくなっている割に。楓くんはいつも通りだからねー。もうあれだね。楓くんは慣れちゃったね。海織ちゃんの面倒を見るってことに。暴走している海織ちゃんが普通で。楓くんはいつもそれを止めている。かな?」
「あー、なんかわかる気がする」
「まあだからー。とりあえず。たまにはお怒り海織ちゃんが見たいから。柊は今すぐ楓くんに連絡して。こっちに来るようにって言えばいいんだよ」
「絶対怒られるというか。睨まれる未来しか思いつかないんだが……だって今日も宮町さん楓の家に泊まる言ってたよな?」
「楓くん曰く週4、5日らしいよ」
「ほぼ毎日じゃん。沙夜と変わらないじゃん」
「何を言いますか。私はちゃんと帰っていますから。ご飯食べてゲームして帰る。良い子でしょ?」
「……金取ろうかな?晩飯代とゴロゴロ場所提供料みたいな」
「はい?」
何か低い声が聞こえてきたんだが――。
「うわー、ここもキレた」
「はいはい。それよりお腹空いた」
「まだ18時前だぞ?」
「今日は頭使ったからお腹空いたー」
……ってあれ?そういえば少し前に沙夜変な事言わなかったか?もうしてある――?うん?
――ピンポンピンポン。
すると俺の家のインターホンが鳴った。
「あっ。まさかのもう荷物来た?」
「早くね?まだそんなに時間経ってないだろ?」
「あれじゃない?近くを回っていたとか。まあ仕方ないなー。私が見てきてあげよう。はーい!居ますよー」
ということで沙夜が立ち上がり玄関のところ。一応俺も沙夜の後ろを付いていった。
「お荷物です!。お願いします!」
「ありがとうございまーす」
まあ、そんな声が聞こえてきたので……あの荷物。味噌。が早々と到着したらしい。
「重っ!これ重っ!」
するとそんな声が聞こえた。
「柊……落とす」
「待て待て。玄関味噌まみれとかやめろよ?」
ということで沙夜のところへ行き。段ボールを受け取る……うん。重い。これ全部味噌だったら悲鳴ものだな。って――割れ物注意?
沙夜から受け取ったダンボールを見ると。品名は味噌なのだが……割れ物というシールが貼られている。うん。なんだこれ?味噌って割れ物か?そんなことを思っていると。
「柊どんだけ味噌好きなの?」
「そんなわけあるか」
「これめっちゃ重いじゃん。味噌だったらめっちゃ入ってるよ?これ」
「……だよなー」
とりあえず部屋の中へとダンボールを運びガムテープを剥がし箱を開けてみると――。
「……コンロ?っていうのかな?」
「コンロだな。なんでだよ」
なんか高そうな旅館の朝ご飯で魚焼き?とかに使われていそうな
コンロでいいのかな?うん。固形燃料で使うタイプのコンロがいきなり出てきた。一体俺の親たちは何を送って来たのだろうか――。
「あっ。固形燃料も入ってる……って隣には葉っぱ?」
「—―葉っぱ?」
沙夜がいきなり葉っぱとか言い出すので俺も箱の中身を再度見てみると……。
「葉っぱだな」
大きな葉っぱが袋に入って10枚ほど……ってこれは見たことあるぞ?
「—―あー、朴葉か。朴葉味噌だこれ」
俺はダンボールの中身を再度確認して確信した。
「なんか聞いたことある」
「あれだ葉っぱの上に味噌置いてこのコンロで焼きながら食べる」
「あーあれね。テレビで見たことあるかも。でもさ……味噌多すぎない?」
「だよな。6袋はあるな。10人前以上またある気がするんだが――」
ダンボールのそこでは味噌?が入っていると思われる袋が……複数個。
「もしかして柊。親には今10人以上で生活中とか言ってるとか?」
「ないからな」
「どうするのこれ」
「……知ってはいるが俺いまいちこれ知らないんだが食べ方とかも」
「私も知らないからね?って味噌こんなに食べるって――1回じゃ無理じゃない?」
「無理だろ。とりあえず――見てみるか……って味噌だよな。うん?野菜入り?」
味噌の入った袋を見てみると……なんかこのままお店とかで売ってそうな感じで商品名やらやらが書かれていた。
「—―あー、これもう野菜入ってるんだ。味噌の中に。食べ方も書いてあるね。葉っぱにこの味噌乗せて……焼くだけ。だって」
「簡単だな」
「でも、この量を2人はさすがに無理だから……」
「今から楓たち呼んでもな。朴葉味噌届いたから食べに来いって言っても。もう向こうは向こうで準備してないか?」
――ピンポン。
「うん?また何か来たのか?」
再度俺の家のインターホンが鳴った。今日は来客?荷物が多い日なのだろうか……。
「あっ来た来た」
「—―はい?」
すると沙夜が玄関へと小走りで移動していった……ってなんで沙夜は俺の家に来る人に心当たりがあるんだ?
「さすがだね。ちゃんとこっちに居るってわかったんだ。あとナイスタイミングー」
そういいながら沙夜が玄関へと向かって言った。って何がナイスタイミングなんだ?味噌を片手にまた悩む俺だった。
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