第221話 味噌? ~身に覚えのない不在票~

これはとある男のとある夕方のとある出来事。


――とあるって今何回言ったかなー、まあいいか。

とりあえず。少しとある男の話となる。俺は誰かって?まあそれは気にするところではないよ。じゃ、とある男の話スタート。


……。

……。

……。


「これは――うーん。なんか嫌な予感がするなー」


俺。白塚柊大学3年生は現在大学から家に帰って来たところだ。

そしたらポストに不在票が入っていたため。って不在票?って名前だっけか。悪い。正確な名前がわからないから俺は不在票と言っておく。まあその不在票を見つつ玄関で考えていた。


ちなみに俺の家のポストに不在票が入っているのは最近では珍しいことではない。


昔から俺は買い物に行くとまあ――結構まとめて買ってしまうのだが……この前も楓とともに買い物行ったら買いすぎとか言われたが。まあ仕方ない。行った時に買うが俺なので。


あっ、で不在票の話か。買い物の話をしたかったんだが。何故か普通に町での買い物の話をしてしまった。話したかったのはこっちだ。最近ではネット通販もチェックするようになった。まあ沙夜がやっているのを見てあれ?なんかこれ便利じゃね?と気が付いたという事。

だからネットで買ったものが家に届くってやつだな。それが最近はよく届くので……あっ、ほとんどは時間指定してるんだぞ?基本居るであろう夜とかに来るように。たまに時間指定忘れて昼間に届き俺が居ないから不在票が入っていることはあるが……っていやな。一度楽さを知ってしまったらよ。ネットで買う癖がついてな。って俺の話はいいか。


で、あれ?何の話をしていたっけ?そうそう。悪い悪い。不在票の話で。なんで俺が玄関でその不在票を見て考えているかか。普通なら再配達の依頼すればいいじゃんと言われだろうが。


がだ。たまに自分が頼んだものではないものが来るとな。今みたいに考える必要があるんだよ。


1年生の頃だっけか?実家からなんかケイちゃんが大量に来たからな。まああれは俺が実家に帰った時にボソッと最近食べてないなー。と言ったから。送られてきたのだが――。


うちの親たちな。量がちょっとおかしいんだよ。あの時は何人前だっけか?うちの小さな冷凍庫パンパンになったからな。


まあでもあれがあったから楓や宮町さんや沙夜と親睦会?まあよろしく会?みたいなのがワイワイとできたので……まあ良し。なのだが……。


うん。今はこの不在票に書かれている商品名がな。ちょっと気になるというかおかしいから。悩んでいるんだよ。なんかこれはこのまま受け取らない方がいいような気がしているんだよ。


だってさ。


「……味噌。ってなんだよ。味噌って。何送って来たんだよ。こっちには何も連絡着てないんだが――」


実家からの荷物ということは間違いないのだが――味噌ってなんだよ。ホント味噌って。ということでちょっと考えていた。今の俺は味噌味噌しか言ってない。


いやだってさ。再配達依頼するじゃん。味噌がホントそのまま来たら……どうしたらいいわけ?また楓になんか料理頼むか――という選択肢もあるが。


っか、実家から普通の味噌なんか送って来ると思うか?

ちなみにうちの実家で味噌を作っているとかそんなことは全くないからな?農家とかじゃないし。


うーん。味噌ってなんだよ。


その言葉がずっと頭の中で回っていた。


すると。つい先ほど別れたばかりの声が聞こえてきた。


ガチャ。


あー。そういえばまだ玄関の鍵閉めてなかったわ。ってまだ普通に玄関のドアのところに俺は立っていたため……真後ろから沙夜の声が聞こえてきた。


「柊ー!居る?居るよねー。入るよー。開いてるし。ってわっ!なんで玄関に居るのさー。びっくりするじゃん」

「ここ俺の家な。沙夜の部屋は3階だろ?」

「さっき帰った」

「だろな。階段上がっていくの見たから」

「明日休みだし暇だから遊びに来たー。あとご飯なんか作ってー。って何持ってるわけ?」


ひょい。


という効果音が合いそうな感じで俺の手から不在票が抜き取られた。


「えっと……なになにってこれ不在票?なんか荷物来るの?柊またネットでわんさか買ったの?知らないよー。破産しても」

「いやいや、俺は計画的にしか買ってないから大丈夫」

「いやいやいや、前遊びに来た楓くんに言われてたじゃん。物持ちすぎって。まあ私が余っているのはタダでもらっていくから。別に柊が破産しても私には関係ないんだけどねー。って柊柊。なんかポーチみたいなの余ってない?」

「多分ない」

「使えないなー。って再配達の依頼したの?」

「まだだ」

「じゃあ私がしてあげよう……って味噌?柊味噌なんか買ったの?」

「買ってないからな?」

「ついに柊が変なものに目覚めた?これは楓くんと海織ちゃんに報告しないと!」

「やめろ。じゃなくても宮町さんに楓を使いすぎって今日言われたのに」

「—―え?また楓くん借りたの?」

「いや、そんなには借りてないんだが……ちょっと空きコマにゼミのヘルプをな。楓にしてもらったら。お付きの方に睨まれて。ボソッとな」

「柊はそのうち海織ちゃんに刺されるね」

「—―物騒な」


いや――でも実際に――と俺はちょっと嫌な汗を感じつつ……。


「って、そんな話じゃなくて。何で味噌買ったの?」

「だから、買ってないからな?」


その後は沙夜からまず不在票を再回収してから。味噌が届きそう。と理由を説明することとなった。

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