第188話 土曜日から日曜日 ~とあるところでは大混乱~
寝ころびながらスマホを見ると――。
「楓ー。宮町さんを派遣してくれー!」
そんなメッセージが来ているのがスマホのロック画面の時点でわかったため。俺はそっと画面を消した。電源OFFです。切ですね。多分これが正解かと思う。
なんかあっちも大変そうですから。そっとしておこう。うん。
そんなことを思っていると……。
♪♪~
「うん?」
画面を消したはずのスマホの画面が明るくなり……うん。怖いな。なんで俺がスマホの近くに居るとわかったのかな?またはスマホを手にしたということがわかった?既読は付けていないはずなんだが……。
スマホの画面には柊から着信の文字。電話ですね……何だろう。海織並みの勘を柊も得たのだろうか……とかちょっと考えつつ。
まあ……うん。無視の選択肢もあったが。このあとも電話が鳴り続けると……なのでとりあえず電話に出てみた。
「—―もしもし」
「楓ー。って出たし!」
向こうも出るとは思っていなかった様子……にしても何か向こう側はがやがやというのか。にぎやかな声が聞こえてきている。
「切ろうか?」
「いやいやいやいや。タイム。ってマジで宮町さん無理なのか?」
「今何時だと?それに……うん。直線距離でも結構な距離があるところまでもう離れたから……無理かと」
「こっちは今もまだ何とか引き延ばしているんだが――」
「いやいや、事実説明しようよ。さすがに限界でしょ」
「無理だ。みんな宮町さんが来るというので盛り上がっているから」
「……頑張れ」
「あー、ちょっと!」
――ガチャ。
「楓君ー。って、あっ電話中だった?」
「あっ、うん。でも大丈夫。柊からだから」
ふと部屋のドアが開いて海織が入って来た。っか、海織さんよ。普通に入って来るのはちょっとドキッとします。はい。って確か海織は向こうで俺の親と楽しそうにしてませんでした?あと……うちの親のところに斎宮さん1人残してきたの?とか思っていたら。
「楓ー!宮町さん居るのか?そこに居るんだよな?」
「あ――う、うん。一応目の前には」
すると、何かを察知したのか俺の前に海織が近づいてきて……うん。何だろう楽しそうな顔をしてますね。海織さん。こういう時は危険な予感……。
「楓君楓君。私が話そうか?」
危険とか俺が思っていると海織がそんなことを言ってきた。
「えっと――柊。聞こえた――?らしいけど?」
「聞こえた、うん。宮町さんにチェンジ!」
柊テンション高いな。とか思いつつ。海織にスマホを渡すと……。
――ポチ。
「—―あ……」
「てへっ?間違って消しちゃった」
海織さん。俺がスマホを渡すと慣れた手つき……というのか自然な流れでスマホの通話を切った。そして――うん。海織さん楽しそうです。
♪♪
でもまあそんなことでは向こうも諦めないらしく。すぐに電話が再度俺のスマホにかかってきた。
――ポチ。
……が海織。また切った。うん。怖い怖い。めっちゃ笑顔で楽しそうな表情はしているのだが……ってこの原因を作ったのは海織じゃなかったでしょうか?説明責任果たしました?とか思っていると――。
「仕方ないなー。楓君ちょっとテレビ電話いい?」
「えっ……う、うん」
すると海織は普通に俺のスマホをいじって柊へとテレビ電話。もう詳しくは聞かないが海織は俺のスマホの扱い慣れすぎな気がします。はい。
「もしもーし」
「あっ、テレビ電話かって宮町さん。って、ちょおおおお。お前たち!返せー。俺のスマホー」
「あはは……すごい」
――。
海織は俺の前に立ってテレビ電話をしているから向こうの状況が見えているが。俺には見えない。俺が見えているのは俺のスマホを使ってテレビ電話をしている海織だけ。ちなみに音は聞こえてきているが――何か先ほど以上にすごく柊の方が騒がしいというか……大盛り上がりというか……。
もしかして、柊の周りに海織を待っていた方々が押し掛けた?とか思っていると……。
「ごめんね。急に行けなくなっちゃったんだよー。私の彼氏君がね。寂しがっちゃったから。今からいちゃつくんだー」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
――あれ?海織さん?なんか今おかしい事言わなかった?そして、急に柊側の声が静かに……まるで通話が切れたかのように静かになった。とか俺が思ったていると……。
「!!!」
「!?!?」
「!!!」
「!?!?!?」
「!!!!!!」
うん。急にスーパーがやがやというか。先ほどの数倍くらいの音量が――鼓膜がやられる。めっちゃ騒がしくなった。発狂しているとか言った方がいいだろうか。もう向こう側が何を言っているか全くわからない。さすがに海織もスマホと距離をとった。うるさいですからね。まあとにかくざわざわというのか。うん。叫び声みたいなのが聞こえて来たとか思ったら。
「あっ」
海織の声が聞こえて再度静かになった。
「—―楓君楓君。電池切れだって」
そういいながら海織は俺にスマホの画面を見せてきた。
「あっ、充電忘れてたから……って、海織。今大きな嘘言ったよね?」
「えー?何のことかなー。あっそうそう忘れてたよ。楓君。おばさんがね。おつまみが足らなくなったから今からコンビニで買ってきてくれだって」
「……うちの親は今が何時かわかっているのでしょうか……って、海織。絶対に柊の方えらいことになっているかと……どうするの?」
「にひひー」
「にひひー。じゃなくて」
「あっ、楓君のにひひーはレアだね。ねえねえ後で録音させて?」
「お断りします」
「えー。じゃもう1回にひひー楓君バージョンして?」
あー、ダメだ。もしかしたら海織さん酔っているのかもしれない。うん。めっちゃいい笑顔を海織はしているが――これは……現在柊の方では大変なことが起きていると思う。うん。まあ幸いスマホがお亡くなりになったから……充電しない限り向こうの状況は伝わってこないが……突然テレビ電話が切れたから……うん。なんか向こうはすごいことになっているかと思う。
俺がそんなことを思っていると。
「楓君。お買い物行こうよ。ほらほら」
「……車の鍵いるかと」
「ちゃんと借りてきたよ?早く行ってあげないとね。沙夜ちゃんたちが暇しちゃうから」
そう言いながら車のキーを見せてきた海織。うちの親も準備が良いというか。海織に甘いというか。何というのか。もう諦めた。はい。
「……俺もう風呂入ったんだけどなー」
「ほらほらー」
そんな感じで俺は海織に腕を掴まれてゴロゴロタイム強制終了。
数分後には海織と車に乗ってコンビニに向かっていた。
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