第183話 土曜日8 ~近鉄四日市駅20時14分発~

伊勢川島駅を出て数分—―俺たち3人を乗せた電車は定刻通り近鉄四日市駅に到着した。


車内からホームへ降りる。そして乗り換えのため移動中の時に前を歩く2人の会話が聞こえてきた。


「ねえねえ、今から時間かかるんだよね?」

「うん。1時間?2時間だっけ?楓くんどれくらいだったっけ?」


はい。こちらにも話が飛んできました。


「あー……いつもなら電車は1時間半くらいかと……で、そのあと家までさらに数十分。30分くらいかな?」

「じゃ、ここで晩御飯食べて行こうよ」

「あっ、そうだね。本当はお弁当買って車内でとかも考えていたんだけど、まだ電車の時間まで余裕あるからね。食べて行こうか」

「決定!どこ行こうか?」


女の子2人は元気ですね。はい。俺は付いて行くです。


四日市に着いた俺たち3人は乗り換え。ではなく。一度改札を出ることに。そして駅前にあるラーメン屋さんに移動しましたとさ。


何故ラーメン屋になったかって?それは斎宮さんが「ここのお店一度行ってみたかったんだよねー。柊が美味しかったとか言ってたから」とかで決まりました。はい。よくあるパターンですね。ラーメン好きですからね。ここの女の子2人は――。


ちなみに俺も初めて入るお店。お店はそこまで大きくはないが入った瞬間からいい感じの雰囲気。そして空いていた席に座り注文を済ましてしばらく待っているとラーメン登場。お味は……うん。ここのお店のラーメン……めっちゃ美味しかったのです。美味しかったのですが――うん。もう少し幸せな時間が続いてほしかったですね。


さらに追加で味の感想やこの美味しいチャーシューに関してでも言おうと思っていたら……お店の人が置いていった伝票ですかね。はじめは海織の前に置かれたのだが……瞬間移動したんですかね。俺の前にスッとやってきまして。うん。女の子2人がクスクスしています。どうやらここは俺のおごりというか。うん。何かどこかに連れて行ってもらう。ということにすでにこれも含まれるらしく。ちょっとお財布が軽くなりました。


ってそうか。俺の家を出た時点でどこかに連れて行くが始まっているからか。俺1人で納得。前に座っていた女の子2人は――楽しそうですね。あっ、ちょっとお2人さん何でメニュー見てるのかな?俺が何も言わなかったからって追加で何か注文しようとしてませんか?ちょっと!?


……お腹は満たされて財布が少し軽くなった俺は、前を歩く女の子2人に付いていっています。


その後は駅の窓口に3人で向かい。賢島行きの最終電車。直通の電車では最終になる近鉄四日市駅20時14分発の賢島行き特急の特急券と乗車券を買って……はい。もちろんだが合計3人分買いました。食事に続いてさらに財布が軽くなりました。正確に言うと……底が見えてきましたね。うん。3人分は――なかなかでした。


切符も購入し。時間を確認するとちょうどいい時間だったので3人で改札を抜けて駅のホームへ移動。


そしてエスカレーターでホームに移動中の時に斎宮さんが思い出した。みたいな感じで話し出した。


「そういえば海織ちゃん。電話の時柊なんて言ってた?」

「あー、うん。困ったー?ヤバイ!みたいな感じだったよ?」


その話を後ろで聞いていて俺も「あー、そういえば」と柊が言っていた事を思いだした。


「そういえば海織さ。今日食事会やらやら――言ってなかった?あれ?柊から聞いたんだっけか?」


ふと過去の記憶がつながった俺。そういえば柊の入っているサークルの食事会って今日じゃなかったか?と、うん。そして俺の家に居る時に海織へ電話がかかってきていた。


うん。今更だが思い出して。話がつながりました。こっちの事でも何かいろいろあったんでね。綺麗に忘れていました。


「大丈夫大丈夫。ドタキャンしちゃった」

「—―—―笑顔で言う事なのかな?」


海織さん悪いことしちゃった。というのか。うん、反省はなく楽しそうですね。こちらを振り返り……悪い顔の海織が見えました。


そんな話をしつつ俺たち3人は駅の待合室に到着。空いていた席に座り話をつづけた。


「もしもの時は楓くんが助けてくれるよ。ねー、楓くん?」


バンバン。


うん。斎宮さん背中をバンバンしないで。っか。なんで俺は女の子2人に挟まれるような形に今なっているのでしょうか……ハーレムとかじゃないですよ?だって……うん。何だろう。何か違う気がする。先ほどの空いていた席に座った。というのは正確に言うと。俺が空いていた席に座ると。隣に海織、その反対側のお隣に斎宮さんが座った。うん。挟まれました。なんでですかね?


「頼りになるー。ありがとー。楓君」

「いやいや、もしもの時ってなに?」

「そりゃ――私がドタキャンしたから、楽しみにしていた白塚君のお友達が楓君のところに乗り込んでくるとか?私人気あるみたいだから」

「えっ。なにそれ……そんな状況になりそうなの?」


うん。想像するだけで嫌なのですが「って、そんな怖そうな人々の集まりなんですかね?」柊はここに居ないけど。一応聞いておく。うん。もちろんだが返事はない。というか。俺が勝手に頭の中で聞いただけだから。返事があったら怖いか。さらに言うと。さらっと海織は自分に人気があると言っていたから……うん。柊の作戦というか。思惑は理解したうえでだったか。


「まあまあ多分大丈夫だよ。柊も海織ちゃんが来てくれるとか……本気で思っていたのかな?」

「……いや、俺の記憶的には結構感謝というか、喜んでいたというか……うん。かなり喜んでいた気がする」

「あらー、楓くんもしかしたら。今頃柊めっちゃ困っていてみんなになんて説明したらー。とかになってない?で、海織ちゃんがドタキャンの状況説明求!とかで楓くんに連絡来たりして?」

「……ないと思うけど――」


♪♪~


すると俺のスマホが鳴った……えっ……何このタイミング。めっちゃ嫌な予感なんですが――。


そんなことを思いつつカバンからスマホを出して画面を確認してみると――。


「……本当に柊だし」

「ほらー。来たでしょ?」


予言通り。予想通りというのか。お隣で斎宮さんがVサインをしています。


「楓君揉めてたらお願いね?」

「いやいや、お願いって……」


とか言いながら俺の服を引っ張っている海織。いやいや、この原因は海織ですよね?100%。俺全く関係ないような――。


まあそんなことを俺はちょっと考えてから……。


「……うん。電車来るからあとでかけなおそう」

「あっ、楓くんがスルーした」

「楓君が逃げたー」


またクスクス笑っている女の子2人。楽しそうですね。まあもしかしたら女の子2人の俺の評価が下がった?ようですが。本当にもう電車来るからね。話に夢中というか。ちょっと話していたら時間なんてあっという間。


すでに駅のスピーカーからは俺たち3人が乗る予定の電車の放送が始まっており。現在停車駅の案内をしている。


はい。お2人とも、とりあえず待合室を出ましょう。各自荷物を持って待合室を出た3人だった。

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