第170話 木曜日3 ~他路線探索へ~
何故こうなったのか――。
うん。まだいまいちわかっていない現状です。
えっと――現状を簡単に説明すると。
あすなろう鉄道に乗ろうと急遽予定変更して決めた俺。そしたらあすなろう四日市駅で藤井寺先生と遭遇し……こちらも急遽?いや、うん。なんでこうなったのでしょうかね。はい。とりあえず共に行動することに何故かなってしまい――。
そして今は俺の隣を歩く――ほっほっほー先生はディーゼル機関車?の話を続けており。ほぼ理解できていない俺は先生の話を聞いていますよアピールを少ししつつ。誰かに向かって近鉄四日市駅とIR四日市駅はめっちゃ離れているので注意ですよ。ということを言っている。これが現状です。
って、うん。いろいろおかしいな。そして俺も……うん。なんで先生の話を聞きながらこんな話をしているのだろうか。
はい。藤井寺先生の話をちゃんと聞き。理解しようと思っていたら……。
「ほっほっほー。そじゃそじゃ。加茂君。ちょっと寄り道になるがの。あのあたりに美味しいたい焼き屋があるんじゃぞ。知ってるかの?」
「えっと――たい焼き屋さん?」
「ほっほっほー。せっかく来たんじゃから買って行くかの」
「……」
俺が返事をする前に東に向いて、JR四日市駅に向いて歩いていた藤井寺先生が急に右に90度向きを変えた。そしてちょうど青だった横断歩道を歩きだした。
「ちょ、ちょ、藤井寺先生?」
「ほっほっほー。こっちじゃこっち」
俺—―ホント何しているんでしょうかね。とか思いつつちょっと早歩き。駆け足で藤井寺先生のもとへ。
うーん。藤井寺先生が向かうと言っていた駅。JR四日市駅は……南方向ではないのだが……とか俺が思っていると。先ほどまでディーゼル機関車の話をしていた藤井寺先生だったのだが――。
「あそこのたい焼きはの。他の店とは違っての……」
うん。たい焼きの話に変わっていました。
「ほっほっほー、での。これは昔のゼミ生が教えてくれたんじゃが……」
藤井寺先生。今日は赤ペンは走らないが。言葉が走る――うん。なんていうんだろうか。どんどん言葉が出てくるいるというか。どこかで飲み物買った方がいいと思います……と、思っていたらちゃんと水筒を持っている藤井寺先生でした。リュックの横ポケットに小さなボトルが刺さっていました。
それから藤井寺先生に付いていくと、本当にたい焼き屋さんを発見。古い。と言っちゃダメなのかもしれないが。昔から建っているような建物のところにポツンとお店がありました。これは……路地裏とは……言わないか。でもそんな感じのところにあった。
藤井寺先生はよく来ているのか。俺がポカーンと建物を見ていると、普通にドアを開けてお店の人に「たい焼き1つ」と、すぐに注文していました。うん。これは……常連の可能性ありですね。
「ほっほっほー」
そして藤井寺先生がお店の人と話しているので――俺はどのタイミングで注文すれば……と思っていたら。お店の人が「どうしますか?」みたいな感じで急に聞いてきたので俺もたい焼きを1つ注文した。
そしてたい焼きができるまでの間。藤井寺先生はお店の人と話していました。俺はお店をキョロキョロと……お店の中もすべてが懐かしい感じというのか。昭和の雰囲気とでも言えばいいのか。こんな店まだ残っていたんだ――と。
そして俺がめずらしいと思ったのはたい焼きを焼いている器具?調理器具?名前がわからないのだが……とりあえずたい焼きの金属の型ですね。あれが……普通は5個?くらい?まとめて焼いていたような気がするのだが――この店では1つ1つの型だったので何か目に留まりました。たい焼きを1つ1つ焼く。っていうスタイルもあるんですね。はい、1つ勉強しました。
そんなことを思っていると、たい焼きが出来たらしく。お店の人にお金を払いたい焼きをもらう。ちなみにすでに藤井寺先生は店内に置いてあった丸椅子に座り。頭から一口かじっていました。
俺は尻尾から――と思いつつ。出来立てのたい焼きを食べようとしたら……。
♪♪
スマホが鳴る。
誰からだろうかと思い。ちょっとスマホを確認。えっと……斎宮さんからですね。何だろうか。と思い。メッセージを開いてみると……。
「ごめん!30分遅れる!」
「—―」
――――うーん。これは……何だろう。これはどうとらえたらいいのか。まさか俺、寝ぼけたりして斎宮さんと今日出かける約束をした?とかちょっと昨日の事とかを思い出して見たのだが……うん。そんなことはないと思う。多分—―。
「……送り間違え?」
とか思いつつ。斎宮さんに返事をしようとしたら――。
♪♪
再度斎宮さんから連絡が来た。
「楓くん!ごめん。メッセージ送る人間違えたー。さっきの気にしないでー!」
はい。送り先を間違えた様子です。俺は了解。とスタンプを送ってからたい焼きを一口。
――うん。出来立て最高です。美味しい。そして尻尾にもちゃんとあんこ!と、声には出していないが。1人感動していました。いや、たい焼きはたまに食べるのだが……尻尾からだべると1口目であんこに到達しないことがありましてね。でもここのたい焼きはちゃんとあんこたっぷりでした。
ふと藤井寺先生の方を見ると……うん。お店の人と話しつつもすでに半分たい焼きが消えていました。食べるの早いな……。
それから数分後—―。
たい焼きを食べた俺と藤井寺先生はまた東に向いて歩き始めていた。
「ほっほっほー。あそのこお店のが一番おいしくての、ほっほっほー」
歩くのを再開してからしばらくはたい焼き屋さんの話続く。でした。
しばらくたい焼きの話が続いた後。駅が近くなってくるとまたディーゼル機関車のお話に戻りましたとさ。
これは余談、みたいなことになると思うが。藤井寺先生の目的地はJR四日市駅のはずだったのに途中でたい焼き屋さんに寄ったのは――先生のちょっと勘違いでこのままだと早くJR四日市駅に着いてしまうから。だったということが判明しました。はい。余談ですね。
っか、加茂楓。ゼミの先生とたい焼き食べたり。一緒に歩いたりしています。謎ですね。ホント――。
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