第158話 赤ペン動き回る未来 ~伊勢川島駅12時10分発~
夏休みは――。
あっという間に過ぎていった。うん。早かった気がします。
今年の夏休みはいろいろ出来事があったからか。気が付いたら終わった。そんな感じだった。
後期の授業1発目はゼミ。ほっほっほー先生からです。そのため現在は、川島駅で電車を待っている俺。乗る予定の電車は12時10分発の湯の山温泉行きの普通電車。ゼミに行く時はほぼこの電車。前期から変わることはない。って講義の時間、曜日ともに変わらないから。変わるわけがないか。
にしても……まだ暑い……早く電車来ないかな。
ちなみに、斎宮さんの実家にお邪魔した後の夏休みは……はい。海織が実家から帰ってきて……あー、途中花火大会に引っ張られていきました。
――。
「楓君楓君。花火見に行こうよ!」
唐突に行くことが決まって。行ってきました。はい。俺はいろいろ動いていました。
ホントこの夏休みは忙しい夏休みだったんです。だから近くのお祭りや花火大会の事などは完全に忘れていたというか。チェックなどほぼしていませんでした。
多分—―あの時、海織に誘われなかったら花火大会にも行っていなかったかと。そういえば、まだ9月にも花火大会あるとかどこかでポスター見たような……って今はいいか。
とりあえず、海織に花火大会に誘われました。というか。引っ張られていきました。花火ももちろん見ましたが……うん。屋台巡りも結構しました。食べ物や……うんうん。あの時のたこ焼き美味しかったな。って、食べ物じゃなくて普通は花火の感想ですよね。うん。何故俺は食べ物の話を先にしたのだろうか。
花火は……うん。人が多かった。って、これは花火大会の感想か。
3度目の正直。花火は今どきというのだろうか。音楽に合わせた花火が多かった。知っている曲が多かったので、見ていると花火の時間はあっという間に終わってしまった。という感じか。規模の大きな花火大会ではなかったからか。何万発も花火が打ちあがる。とかでは、なかったからね。でも夏に花火を見ました。はい。海織さんありがとうございます。
ざっくりだが。夏休み後半の思い出を思い出していたら。川島駅にいつもの3両編成の電車が入ってきた。そしてドアが開くと――。
「おはよー。楓君」
「おはよう。海織」
もうこれは完璧というのか。
いつものように電車がホームに入ってくる。そして、電車が停止すると電車に乗るために近くのドアに俺が向かう。すると、そのドアには海織がちゃんと待っている。ホントピッタリの……待ち伏せ。というのか。うん。今日も海織が立っていた。
「あっという間に夏休み終わっちゃったねー」
「春休みとかよりは短いからね」
「今年の春休みは……就職活動とかそんなことばかりなのかな?あっ、でもどこかには行きたいよね。うんうん」
「そう言えば来週?その次だっけ?それくらいに就活関係のオリエンテーション?だっけ、あったよね」
「あったあった。なんかスーツやら、マナー講座?みたいなことも書いてあったね」
「スーツか――一応あるけど……堅苦しいというか。着慣れてないからな」
「だね。準備もいろいろ大変だからね」
海織とそんな感じに話していると。菰野駅でいつものように斎宮さんと柊が乗ってきて――。
「楓ー、ヤバイ。卒論進んでない」
「……知りません」
「これ、俺真っ赤っかの未来予想図なんだが」
「……その可能性は高いかと。俺も怪しいけど――まあそこそこはやってきたから」
「なら、俺にヘルプを」
「……その余裕はないですね」
「いやいや、真っ赤っかは留年が見えてくる」
「まあ、4年生にはなれるかと。ちゃんと授業に出ていれば」
「でも、卒論書けないと卒業できないだろ?」
「だと……思うけど、まだ今から頑張ればなんとかなるかと」
車内で柊とそんな話をしていると。お隣では女の子2人が――。
「柊、遊んでばっかでね。昨日あたりから騒いでたんだよー」
「白塚君。この後大変そうだね」
「でしょでしょ、って、海織ちゃん海織ちゃん。どれくらいやってきた?私は自分の考え?っていうのかな?とりあえずいろいろ調べて書いてきたんだけど……」
「私もそんな感じ。楓君と。あーだこーだ言いながら作ったよ?」
「私その勉強会の話聞いてない!呼んでよー、海織ちゃーん」
「ごめんごめん、夜にしてたから」
「いつでも行くからー。早朝でも夜中でも!って、相変わらずのラブラブですねー」
「でしょ?ちょっと夏休みはお出かけ少なかったけどねー。楓君」
急に話がこちらに飛んできた。
「いや、まあ……はい。バタバタしていたので……」
「そう言えば楓君のお母さんから、いつ来るの?って連絡きたよ?」
「—―ちょっと待ってその話を俺は知らない」
「あれー?言わなかった?」
「聞いてない聞いてない。って、俺……実家には全く連絡してないんだが……」
「だから私のところに来たんだね。ちゃんと近況報告しておいたよ?」
「—―ちゃんと事実の事言った?嘘言ってない?」
「どうでしょうか?」
「めっちゃ怖いんですが……」
「楓君が相手してくれなーい。って言っちゃったかも」
「いやいや、そりゃ、お出かけは少なかったかもしれないけど――って、海織も暑いから室内でゆっくりしたい。って言って、結構くつろいでいませんでしたっけ?」
「ふふふー」
何だろう。ゼミの事の心配もしていたのだが……これはそのうち親から連絡が来そうなのだが……って、車内でワイワイごめんなさい。はい。
「あっ、楓くん楓くん。私も海織ちゃんの親友です。って、楓くんの実家に付いて行こうか?」
「あっ、いいね。沙夜ちゃんも行こう」
「待って、お願い。話をどんどんややこしく。大きくしないで」
これは本当に何とかしないと大変なことになりそうですね。ここの女の子2人は……怖い。はい。怖いですね。
「大変そうだなー。楓も」
「……柊は卒論が大変かと」
「—―」
「無視された」
「—―」
「完全に無視に入ったか」
電車はもうすぐ湯の山温泉駅に到着する。うん。いつも通りの4人ですね。はい。柊は……やばいよー、やばいよー。みたいな表情だが……さてこの後どうなるか。って、俺もまとめてきたこれで大丈夫だろうか――と、ちょっと心配。はい。
いろいろ心配があって困っています。
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