第153話 台風の日2 ~運転見合わせかな?~
俺の予想は……うん。今回はあたりだったらしい。
いや――まあ。うん。嬉しくないとかそう言うことはないのですがね……うん。もふもふされています。
俺が――。
「うん。やっぱりこれが落ち着くねー」
「……俺が落ち着いていない気がするのですが……」
「可愛い彼女ちゃんがくっついているのに?」
「……いや、うん。その、なんでこうなったのかなー。と思いましてね」
「お出かけもできないし。停電しちゃったしね。なら楓君にくっついているのがいいかなー。って、安全でしょ?」
「いや、まだ夜じゃないから。普通にまわり見えるのですが……」
はい。現在はまだ17時過ぎ。外は……台風本体?というのだろうか。まあとりあえず強めの雨雲が通過中なのか。風の音と窓ガラスにたたきつける雨がすごいです。
そして30分ほど前の事。突然部屋の電気が消えました。確か窓から見えていた街灯は、お昼の時点では確か付いていたはずだが――停電した際に見たときは消えていた。なので、スマホで停電情報を見てみると……。
確かに停電情報が出ていた。
――ピンポイントに。
「にしても、このあたりの地域だけ停電とはね。私の家は付いているみたいだけど」
「いや、だからね海織。海織が台風の中、ここに来なければ停電にもあってなかったかもしれないし。濡れることもなかったかと思うのですが……」
そんなやりとりを少し前にしたっけ。まあ、はい。現状停電しました。
テレビはもちろん付かない。一応……もしかしてのことがあると。ということでスマホは充電してあったのでまだまだ問題なく使える。なので停電情報もスマホから入手した。
――でだ。うん。停電してから、何故か海織が俺にくっついてきている。これは何故なのだろうか。
停電してしまい。テレビで台風情報を見つつ話すということがなくなり。どうしようかなー。とか思っていたら。急に海織が俺の前に移動して来て「失礼しまーす」と言いながらそのまま抱っこ?というのだろうか。うん。なんか。座っていた俺の前からくっついてきた。なので今はすごく海織が近いです。はい。顔が近いですね。うん。なんかすこしもぞもぞ動いていると思ったら。今は上手に海織は俺の足の上でコンパクトになっているし……。
「この体勢落ち着くよ?楓君に守られているみたいで」
「……もう何を言ってもだと思うので、自由にしてください。はい」
「はーい」
ということで何故か停電でちょっとくらい部屋の中。海織と密着中の今。何しているんでしょうか。俺たちは……。
「停電しちゃったからこのまま、だらだらしてるのもありだよね?」
「……まあ、うん。あいにくというか。この家にはそんな停電中に楽しめそうなものはないし。うん。もう少し暗くなると。懐中電灯とかがないうちは……ちょっと不便になるかも。まあスマホがあるから大丈夫だと思うけど。あっ、モバイルバッテリーはあるから。充電に関してはしばらく気にしなくても大丈夫かと」
「私も大丈夫だよ?まだ80は充電あるからね」
「……にしても、この体勢は何なんでしょうか?」
「普通だよ普通」
「普通ではないと思うのだけど……」
さらっと普通というこの笑顔の子は何なのでしょうか。こんなに甘えん坊だったっけか……まるで、酔っぱらった時の斎宮さんみた……い。うん?なるほど。
「海織」
「なに?」
「もしかして、この前斎宮さんが酔って甘えていたから……今甘えているとかじゃないよね?」
「……楓君が最近いい勘をしていますね。うんうん」
「……へっ?」
ふと思いついたから冗談で言ったんだけどな――。
「だってー。沙夜ちゃんニコニコだったから。これは私も甘えとかないとね。って」
「甘えるって言っていると恥ずかしくなってきたけど、海織は基本いつもくっついて来るよね?」
「えー。くっついてないよ?」
「いやいや、結構くっついて来てるよ?誰かな?最近寝る時に腕枕要求してくる方は」
「楓君でしょ?」
「……あれー」
俺の記憶がおかしいことになったのだろうか……それはないはずなんだが……。
「ふふふっ。楽しいね」
「ちょい」
「そうだ。今の状況の写真を沙夜ちゃんに送ろうよ」
「送らなくていいと思います。はい」
すると何故かシャッター音。海織さんいつの間にスマホを手に持っていたのでしょうか。手品みたいにすぐに出せるのかな?この方は。
「うーん。撮り直し。ちょっと楓君が写ってないかな」
「いやいや、撮らなくていいから」
何気に海織さん片手でもしっかり俺にくっついている。って、力強くないですか?これは俺が弱いだけ?とか思っていたら再度シャッター音。うん。スマホを回収しよう。送信されるとなんか……うん。またいろいろ会った時に言われそうなので。はい。
俺がそう思った時だった。超早業のように海織が俺から離れて1歩距離をとり。スマホを高速でいじりだした。
「はい、楓君、今は私に触れないでねー」
「なんで今までくっついてきていたのに、そうなるのでしょうか」
「楓君の顔が、私のスマホを奪えばいい。って顔してたからね」
「……」
顔に完全に出ていたようです――バレました。
「はい、送信完了」
「ちょっと!」
って、早いから。送るまでが早すぎますから!
それから……はい、海織さんは……再び俺にくっついてきました。そして1分もしないうちに送られた写真を見たからなのか。斎宮さんが海織のスマホに電話をしてきて……女の子の長電話が開始しました。
海織は俺の上から動く気はない様子で、何か斎宮さんのニヤニヤした声を海織の隣で聞くという時間となりました。隣の海織もめっちゃニヤニヤしてるし。これ俺がいじめれてないですかね?うん。いじめというより遊ばれていますね。女の子2人に、まあ、台風ですることのない中。女の子2人が楽しんでいるのはいいことなのか。
結局海織はしばらく斎宮さんとお電話していました。多分話している2人はあっという間の事だったと思うが……隣に居ただけの俺—―めっちゃ長い時間でした。はい。
その後は……何というか。うん。翌日まで海織の甘えタイムは続きました。そして、何故か途中でカピバラの着ぐるみ……パジャマ?なのか。まあいつものあれを着るように言われ……お断りをしていたら。強制的に着せられそうになったため。自ら着替える事となりました。俺海織に遊ばれまくってます。
台風の時海織は甘えん坊になる。という情報が俺の頭に追加された日でした。
そういえば、海織本人に聞くことはなかったが……実は海織は怖がっていた……?いや、それはないか。はい。ただなんかくっついている2人でした。
――そんな日もたまにはあるみたいです。はい。
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