第145話 予定変更 ~鵜方駅16時03分発~
「沙夜ちゃんと良い感じのホテル押さえたよ!」
海織が突然そんなことを言いだした。何がどうなっているのだろうか。どうしてこうなった?
柊は斎宮さんに確認していた。
「えっ、沙夜。マジで泊るのか?」
「もっちろん。だって今からなのに晩御飯OKだよ?バイキングだよ?食べ放題だよ?行くしかないじゃん」
「……楓……俺にわかるように説明を」
「無理かな……俺もまだ理解が追い付いてない」
男子2人。女の子の会話に付いていけていない状況。すると海織が柊の前に移動して……。
「白塚君はお泊り嫌かな?」
「喜んで付いて行きます!」
「「…………」」
今度は俺と斎宮さんが2人「—―??」と、なりましたとさ。
うん。完全に柊は海織に何か弱みを握られている。さすがに斎宮さんもくすくす笑っていた。
柊が向こう側。女の子側に落ちたということは……俺がイエス、ノーを言うことなく。泊ることが決定したので……。
「楓君どうしたの?」
「……温泉。大浴場あるかな。って」
泊るのが確定したなら。くつろぎを求めようかと思い。そんな感じにふとつぶやいたら。隣に来た海織がいい笑顔をして―――。
「あるよっ」
「行きます」
「ふふふっ。楓君も賛成になったよー」
はい、俺も向こう側に落ちました。その後は4人で車に乗り込み。
「楓君疲れてない?帰りは私でもいいよ?」
「大丈夫。何時間もかかるわけじゃないから」
「ありがと。じゃ、出発!」
御座白浜海水浴場を出発した俺たち4人。行きに走って来た道を戻る。ちなみに、海織と斎宮さんが見つけたホテル。というのは鵜方駅というより。志摩神明駅、賢島駅の方が近いところにあった。そのため――。
「楓君楓君。次の角左だって」
「了解。えっと――このあたり……あったあった。あれか」
途中から海織がスマホのナビアプリを使ってホテルまで案内をしてくれた。途中狭い道やらも少しあったが。無事にホテル到着。
うん。デカいですね。真新しい。というところではないみたいだが。普通にいい感じのホテルです。そんなことを思いつつ。俺は入り口近くに車を止めて斎宮さんと柊を降ろす。
「じゃ、海織ちゃん先に中入ってるね」
「うん。後で楓君と行くから」
「海織も先に降りても大丈夫だよ?一応場所わかったし」
「いいのいいの。準備もあるし。ほらほら、楓君車返しに行くよ」
「準備?う、うん?まあじゃ行こうか」
柊がドアを閉めるのを確認してから発車。すると。
「あー、柊。お金出してね。全額柊もちだから」
「はい!?」
何かホテル出発時に、海織の方の窓ガラスが開いていたからか、斎宮さんが柊に何か言っていた気がするが。うん、聞こえなかったかな……ちょっとミラーで後ろを見てみると……柊が悲鳴を上げてそうな感じだけど……今は気にしなくていいかな。とか思いつつ。一度ホテルを離れる俺と海織。
「ドライブ。ドライブー」
助手席のお方は楽しそうです。
「4人でお泊りって1年生の時以来だったかな?」
「海織の実家……以来かな?」
「楽しそうだね。あっ、4人で一部屋だからね」
「……大変そう」
「楓君。夜はマッサージ付くよ?」
「あっ……いや……大丈夫かと。うん。元気だから」
「遠慮しなくてもいいのにー」
「いや……ははは」
どうやって海織のマッサージから逃げるか。考える必要があるみたいです。
その後、ガソリンスタンドに寄ってから朝。車を借りた営業所に無事に戻って来た俺と海織。
その後海織は「ちょっと買い物するね」と、駅にあったコンビニで多分食べ物などを見に行ったのだろう。俺はその間に……近くにあったATMに……って、お金を出している時にふと「着替えないぞ?」と思い。お金を出した後コンビニに居る海織のところに向かった。すると海織はちゃんと気が付いていたから俺に付いてきたらしい。
「ちゃんと買ったよ?2人のも。服はコインランドリーがあるから大丈夫だよ洗濯して乾燥もできるからね」
「なんかごめん。こっちのも買ってもらって」
「ホテルの近くにコンビニあるかわからなかったからね。それもあって楓君に付いてきたんだよ?楓君1人でお願いしても女の子の買ってきてくれるか怪しいからねー」
「ははは……多分。うん。わかりませんでした。というか……買えなかったかも」
「ほら」
うん。海織やっぱりしっかりしてます。頭が下がります。ホント。
そのあとは、鵜方駅から賢島駅へ移動。海織曰く。賢島駅に行くと無料の送迎バスがあるらしい。便利だ。うん。今のホテルって良いね。ということで、現在鵜方駅で賢島方面の電車を待っている。
少し待っていると鵜方駅16時03分発の賢島行きの普通電車が駅に入ってきた。ちなみに、この区間の普通電車はワンマン運転のため。無人駅では一部のドアしか開かない。まあ鵜方駅は特急停車駅なのですべてのドアが開くが。確か次の志摩神明駅は無人駅だから前の車両の一部しかドアが開かないんだったかな?と、まあ今はいらない知識だったかもしれないが。電車が来るまでの間。海織とそんな話を少ししていた。
大学のある湯の山線もワンマン運転だが。どの駅でもすべてのドアが開くので。もしかしたらこのタイプの電車は海織が知らないかな。と思い。電車を待っている間にそんな話をしたのだが。さすが海織さん。知っていたみたいで「そうそう、このあたりは無人駅だと。前の車両に乗ってないと降りれないからね」とか言っていた。まるでよく使っていたみたいな感じで話していた海織。さすがです。いろいろ知っている海織さんでした。
鵜方駅から賢島駅までは先ほどから話に出ている。志摩神明駅が間にあるだけで乗車時間は5分だった。16時08分賢島駅到着。
そして駅の改札を抜けて、すぐ隣にある旅館やホテルの送迎車などが止まっているところに行くと……うん。海織たちが予約したホテルの送迎車も泊まっていた。俺と海織は無料の送迎車に乗り。ホテルへ移動した。
賢島駅から数分。送迎車に揺られてほんの少し前に来たホテルにまた戻って来た。
「沙夜ちゃんたちどこに居るかな?」
送迎車から降りると。すぐに海織は俺の手を握ってきた。海織は俺の手を掴んでおかないとどこかにふらふら行ってしまうとか思っているのだろうか。最近よく捕まる気がする。まあそんなことを思いつつ建物の中に入ると……うん。中は綺麗な建物でした。そして結構広めのロビーにあった椅子に柊と斎宮さんが座っていた。
「あっ、来た来た。海織ちゃん」
斎宮さんが気が付いてやってきた。そしてすでにチェックインは終わっているみたいで合流するとすぐに部屋へと移動した。
「えっと……どっちだろう?」
「あっちじゃないか?」
「あっ、そうみたい」
ちょっと館内が迷路みたいな感じになっていたので、斎宮さん少し迷っていたが。柊の助けにより。無事に部屋に到着。入ってみると――。
「おお、海だー」
斎宮さんが荷物を置くとすぐに窓際に移動していく。部屋は和室で結構広い。12畳?くらいあるだろうか。4人でも結構広々使えそうだ。
部屋に入ってすぐ、斎宮さんと海織は窓から外の写真を撮っていた。いい感じに部屋から海が見えている。うん。これがオーシャンビューってやつですね。綺麗だ。俺も撮っておこうかな。とか思いつつスマホを探す俺。はい。写真撮りました。
それからご飯の時間は19時の部。と指定があったらしく。その時間までは部屋で待機となるので、4人とも部屋でのんびりとしていた。
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