第120話 運ぶ ~終電後~
過去にも同じようなことをした俺と海織。また真っ暗の中を2人歩いています。何してるんだか。先ほどコンビニに寄り。飲み物だけ買ったので飲みつつ歩いている。いや、歩いていたのは先ほどもまでか。現在はストップしている。何故かって?
「あはは……ごめんね――楓君」
ばつが悪いという言葉はこういう時に使うのだろうか。そんな表情の海織。それは少し前の事。
――—―。
「夜歩くのって、なんかいいね」
「海織。ちゃんと足元見て歩いてね?溝とかあるし」
「大丈夫。楓君の手握ってるから」
「それは海織がこけたら俺もこけるということっでは……」
「そこは楓君が支えてくれるって信じてるよ?」
「そんな力あるかな……って海織本当に。飲み物飲みながらでもいいけど。気を付けてよ?この道。近道だけど街灯ないから」
「はーい」
そんな感じに話しながら田んぼの真ん中。というのか。多分両側畑?とりあえずメイン道路。車が走っている通りから少し離れたところを歩いていた。
そして俺の家まであと2キロ。1キロくらいかな?というところでトラブルが起きた。
「楓君楓君もっとくっついて歩いてもいいよ?」
「それは歩きにくくないかな?」
「私がこけないようにしっかり捕まえといてくれないと」
「なんかこけそうな未来を言わないでほしいのですが、、、。助けられる保証がないので」
「えー。楓君に見捨てられちゃった」
「見捨ててないですが……って海織ホント前向いて歩こうね」
「大丈夫」
そんなことを話していた時だった。
「きゃ――!?」
「って、ちょ!?」
急に海織がよろけた。そして、つられる形で俺もよろけてしまい。2人して地面に手をつく。
――だから言ったじゃん。急にこういうことがあっても、支えるとかの前に倒れちゃうんだよ。ヒーローとかなんかの主人公の人なら、さっと助けるのかもしれないけど……一般人には無理です。はい。とか思いつつ。
「海織。大丈夫?だからちゃんと足元見ないと」
海織に声をかけつつ俺は立ち上がり。海織を立たせようと再度手を差し出して立たせようとした時だった。
「痛たたた。ごめん本当に躓いちゃうとは」
「ケガしてない?」
「大丈……痛っ――」
「えっ――?」
立とうとしていた海織がまたそのまましゃがんでしまう。
「……海織?」
「あはは……ごめんね。楓君」
「うん?もしかしてどこか痛めた?」
「ちょっと立とうとしたら、左足が……」
「捻った?」
「—―かも」
珍しくというべきなのか。海織の声に元気がなかった。これはもしかして、本当にやばいやつですか?とか思いながら。一応安全確認。俺は周りを見るが……まあ真っ暗。ちょっと離れたところをたまに車が走っている程度。この道は車は……うん走ってくる気配はない。
「座るところは……ないよな」
「大丈夫。頑張って歩くから」
「いやいや、ちょっと待って。ストップ」
立ち上がろうとする海織を止めて、スマホを出して照らす。するとちょうど海織が躓いたあたりにちょっと大きめの石が転がっていた。多分あれを踏んでしまったのだと思う。その近くはトラクター?かな。畑を耕したみたいで道路に跡があったので、多分その時とかに石も道にたまたま落ちてしまった様子。そして海織の足を見てみる。とりあえず靴が脱げかけだったのでそのまま靴は脱がせた。そして足を見てみるが素人にはわかりません。はい。
ってこのまま海織を地面に座らせている形はダメだと思うので――。
「えっと、とりあえず。家まで行った方が早いと思うから。乗って」
「えっ?」
「おんぶしてくよ」
「……いいの?」
普段なら喜んで乗ってきそうだが、こういう時は遠慮をしてる海織だった。
「このままじゃさすがにだから。とりあえず早く部屋まで行って冷やしたりした方が良いと思うから」
そう言いながら俺は海織の靴を持ってから前にしゃがむ。そして海織をおんぶして立ち上がる。うん。軽い。ホント軽いよ。海織。心配になるのですが――。
「海織大丈夫?」
「う、うん。これなら痛くはないかな」
「じゃ、大人しくそのままお願いします」
「……はーい」
さすがに運ばれてるけが人。海織はいつもみたいにニヤニヤーみたいな攻撃はなく。大人しく俺におんぶされている。
って1キロ以上はあると思うから……俺のスタミナ大丈夫かな?とかちょっとした心配はあったが……それから夜の道を海織をおんぶして歩く。自分の体力の無さがよくわかりました。ちょっとした上り下り。段差が結構きつかった。まあ自分から「きついやつらい」は言いはしなかったが。何度か海織に心配されつつ。
「ふー。着いた」
家に到着。そして椅子に海織を座らせた。
「ホントごめん。楓君。大丈夫?」
「大丈夫、とりあえず、足を冷やそうって、確か氷は今無いから……コンビニにちょっと行ってくるよ」
「……ありがとう」
「海織。動かないこと」
「……はい」
海織は素直にうなずいてくれたので俺は24時間いつでも開いているコンビニに向かう。使えそうなものを買ってから急いで戻る。部屋に戻ると海織はちゃんと大人しく座ったままだった。
それからネット様情報を信じて冷やしたり。固定したりと応急処置。しばらくすると海織は楽になったと言っていたが。素人判断は怖いので、翌日整形外科に一緒に行くことにした。
そして、翌日朝から近くの整形外科を探して海織を連れて行った。結果—―。
「よかったー。ちょっと痛めただけで」
「ホント。でも無理はしないように」
「はーい、今回は楓君に迷惑かけちゃったね」
「まあ、大きなけがが無くてよかったよ」
「折れてたら楓君のお世話にしばらくなってたね」
「ははは……その場合はすぐに斎宮さん呼んでるよ」
「もし折れてたりしたら――ずっと一緒に居て、お風呂とかのお世話もしてくれたのかな?ニヤニヤ」
どうやら本当に問題ないみたいで、いつも通りの海織がまた戻ってきました。戻って来るの早いよ。
「……懲りてないとみた」
「えー。そんなことないよ?ニヤニッ。痛っ」
ニヤニヤ言い出した海織がちょうど俺の顔を見るようにのぞき込んできたので、いい感じの高さにおでこがあったため、何となくデコピンをしてみた。って――俺は何してるんだよ。
「ご、ごめん海織。ちょっとなんか流れでしちゃった」
「楓君にいじめられたー。ちょっとうれしいけど」
「いじめてません、いじめてませんから」
「これは沙夜ちゃんに報告だー。楓君にデコピンされたって」
「待って、ストップ。って海織はすぐに調子に乗らない」
「てへっ」
なんかありましたが。今日も2人楽しくバカやってます。そうそう。ここまだ整形外科の待合室でした。この後会計に呼ばれて俺は恥ずかしい思いをすることに――海織は……ニコニコ楽しそうでした。
皆さんも足元にはお気をつけて。後、自分の今いるところを忘れないように。俺みたいに恥ずかしい思いをするかもしれません。はい。同じく待合室に居たおばあちゃんがニコニコこちらを見ていました。あと、受付のお姉さんも――。
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