第119話 大富豪 ~同じことを繰り返す~ 

近鉄四日市駅18時41分発の湯の山温泉行きの普通電車に乗った4人。菰野駅に向かっているので、もちろんだが俺は普段降りる川島駅を通過。なんか普段降りる駅を通過するのは変な感じだが。そんなことを思っている間に電車は菰野駅に到着した。


19時00分菰野駅到着。そこから柊の家へ歩く4人。


「ヤバイ腕が痛い」

「それは柊たちが必死に勝負していたからかと」

「楓は平和にプレイしてたな」

「下手過ぎたからな。溝は綺麗にしておいた」

「まあそういうこともあるさ。っかなんで俺たち荷物持ちなんだよ」

「まあ敗北したから?」


先ほど買った食べ物などを持っているのは俺と柊。女の子2人は前を楽しそうに歩いています。って全く疲れてませんね。前のお2人さん。すごい体力。


「そういえば楓。宮町さんへの誕生日プレゼントちゃんと準備したか?」

「あ。うん。今は持ってないんだけど、家には準備してある。まさか自分の家2回も通過するとは思ってもなかったけど――」

「まあ、同棲してるから、明日でも渡せるな」

「ははは……宿泊が多すぎるのも……だが」

「うちは同じところだから何時まで居ても結局帰るからな。俺の部屋じゃ寝れないって。あっ楓のところはずっと居れるとか言ってたな。俺もそのうち遊びに行くわ」

「満員です。はい」

「楓のところは女子ばっかりなことで」

「自然と来ちゃうというか。まあ海織が居付いているので――」

「幸せなことで」


そんなことを話していると柊の家到着。部屋に着いてからは、まず買ってきたものをわいわいと食べる4人。何故か柊の部屋だが――「ごめんね汚い部屋で。そのうち掃除させておくから。まあまあ座って座って」と斎宮さんが仕切っていたが。まあ、これがこっちでは普通の事なんだろう。ってそんな座れないとか、物が置けないとかなく。普通に綺麗な部屋だと思いますが……うん。


そして、斎宮さんがちゃんと海織へケーキを準備しておいてくれたため。誕生日会らしくなって。そして、晩御飯の後は――何故かまた勝負が始まっていた。


「じゃあ、えっと、ルールは……革命と8切り。スぺ3。とかだけにしておこうか?縛りとかあるとややこしくなりそうだから」

「だねー。いろいろルールあるとわからなくなるから」


現在海織がトランプを配っている。なんでこうなったんだっけか。ご飯食べ終えて……俺と柊が片付けしていたら……そうそう部屋の方から「トランプしよう!」って斎宮さんの声が聞こえてこうなったのか。うん。突然始まることが多い。


そして大富豪をすることになったので、テーブルを囲むように座る4人。


「っか柊よくトランプとかあったな」

「あー。一時期サークルの人たちとよくしていたから。それでな」

「トランプとか久しぶりだわ」


柊と話していると海織がトランプを配り終えた。


「よし。じゃ3回勝負で1番だった人がほかの3人に命令できるってルールしよう!1抜けが3点、2抜けが2点。3抜けが1点。大貧民は0点でどう?」

「私はいいよー」

「絶対勝つ。トランプなら勝てるだろ」

「ははは……楽しそうなことで」


なんかいろいろルールが決まって始まる大富豪。


「……まずは2枚からかな」

「おー。海織ちゃんいきなり強い数字から勝負してきたー」

「……ヤバイ」

「—―」


どうしよう。3人ともめっちゃ真面目なんですが……ちなみに、そこそこのカードがある俺。トランプなら……1回くらい勝てるかな?とか思いながらしていたのだが……大富豪がめっちゃ強いお方が1人いました。


「8切り。で。最後にハートの5。はい。上がりー」

「うわー。宮町さん。強いなー」

「海織ちゃんどんどん減ってったー」

「俺まだ半分もあるのですが――」


1回戦海織が早々に上がった。その後の3人は――。


「やった!上がり」


斎宮さんが抜けて。斎宮さんが7で上がってくれたので。俺が8切りで4を出しあがり。3位。


「負けたー。手札が弱すぎる……」


1回戦目は柊が最下位だった。2回戦からはカード交換のちスタート。柊が海織に「ジョーカー取られたー」とか言っていたので……海織はいいカードを持っている。というか強いと思っていたが……。


「いきなりいくよ?」


とか言いながら――。


「革命!」

「「「うそー」」」


という3人でした。ちなみに俺キングや1が多くあったので斎宮さんと交換してもそこそこ強いと思っていたが……一気に弱くなりました。誰も革命返しが出来なかったため。弱いカードと強いカードが入れ替わったままゲームは進み――。


「やったまた1番」


海織が1番に抜けて……運よく俺が2番で抜け、3番が斎宮さん。最下位が柊となった。


「海織強いね」

「へへー。いいカードが来てくれるからね」

「宮町さんが強すぎる。誰か止めろー。ってこれ3回戦の前に結果出たんじゃね?」


柊に言われて表を見る4人。現在海織が2連勝で6ポイント。俺と斎宮さんが3ポイント。柊が0ポイント。


「とりあえず柊は負けだね」

「うん、柊は最下位確定―」

「次の勝負で、俺か斎宮さんが1位になって。海織が最下位なら同点か」

「まあ、完全に勝ちが決まらないならやろうよ」

「だねー。やろやろー。楽しいし」


ということで3回戦も行われた。結果は――。


「キター。これで海織ちゃんに勝てる!8切りからの革命!」


勝った。と言わんばかりの斎宮さん。すでにゲームは終盤。みんなが持っているカードが少なくなった時の革命。これは……実は俺勝てるかも。とか思っていた。いや、3回戦カードが弱くてですね。俺が最下位になるかと思っていたところで斎宮さんナイス。とか思っていたら。残り手札が5枚しかなかった海織が……。


「ふふふ」

「え?」

「海織……まさか出せる?」


俺が聞くと……。


「……革命返し!」

「嘘だー。海織ちゃんひどーい」

「で――誰も出せないなら――あがり!」


斎宮さんの出した革命はキングが4枚。この時点で弱いカード強いカードが入れ替わったので……海織はクイーン4枚。マジか。女性陣強いよ。おかしいよ。


結果海織が抜けて、斎宮さんが抜けて俺が抜けて柊が3連続最下位で大富豪は決着がついた。


「やばー。海織ちゃん強すぎーで、海織ちゃんお願いは?」

「あー、どうしようかなー」


海織は少し考えて――。


「じゃまたこの4人でどこかお出かけしようよ」

「えっ?それでいいの?海織ちゃんあれだよ?パシリに使うとかもっといろいろ命令しても怒らないよ?」

「いいのいいの。またみんなでお出かけ計画しとかないと、行けないかもだからね。これから忙しくなるかもだから」

「あー。ゼミ始まるからね。でも海織ちゃんの命令だから、どこかではお出かけ行かないとね」


という命令がくだりました。って、うん。そうだな。今は平和だけど、もうすぐ大変になるかもしれないというのは……何となく予想できる。まあ今はまだだが。


それからは「もう少しトランプしようよ」ということになり。4人でババ抜きしたりダウトしたりと結構盛り上がった。っか1つ発見がありました。俺。ダウトは強い。ババ抜きはなんか1位から4位すべて経験したが……。


「ダウト」

「あー。なんで楓わかるんだよ」


「あっ、ダウト」

「えー。またカードたくさんになったー」


「海織ダウト」

「むー。楓君が強い」


何故かカードのあたりが良かったからか。単に3人がわかりやすかったからか。ダウトだけは3回して3連勝した俺でした。


そしてトランプに夢中で盛り上がった結果……。


「あっ!やばい。海織もう23時過ぎてる」

「あっ本当だ。電車なくなっちゃうね。ごめん沙夜ちゃんそろそろ帰るね」


ふと時計を見るとすでに23時10分。うーん。なんかこんなことが昔もあったような……。


「ありゃ、盛り上がりすぎたね。海織ちゃんも楓くんも気を付けてねー。あっ、この部屋の片付けは柊がしとくからー」

「ちょ、沙夜。沙夜は手伝うだろ?」

「おやすみー、私はスタミナ切れー」

「ちょっとー!」


なんか楽しそうな2人のやり取りを聞きながら俺と海織は荷物を持って柊の家を出る。


「楽しかったねー」

「あっという間だったね。時間経つのが早い。って海織ちょっと急ごう。電車来る」

「じゃ楓君。手繋いでー」

「……どうしてこのタイミングで――」

「ほら」


手を差し出してくる海織。結局ちょっと停止して……。


「はあ――はい」


海織の手を握って歩き出す……って、ここでちょっと止まったことが――結果として……。


――数分後。菰野駅。


「あちゃ――行っちゃったね」

「……マジですか」


こんな経験。昔もした気がする。とか思い出していた俺。菰野駅が見えてきた時に電車が駅に入って来た。2人とも急いだが、時すでに遅し。電車は発車していった。


「……乗り遅れた」

「それも最終電車にだね」

「……なんか海織。楽しんでる?」

「あれ――?バレちゃった?」

「もう……タクシーか……また歩くか」

「晴れてるから、ゆっくり歩こうか。夜のお散歩」

「……まあ……そうしようか。明日休みだし」

「あら。楓君が今回はすんなりだね」


とかちょっと横腹を海織に突っつかれながら。とりあえず。昔みたいにまずはコンビニを目指すことに。まだ暑くなくてよかったかな。


菰野駅を徒歩で出発した俺と海織。手を繋いでいるからわかるが。歩き出すと海織は……ルンルンって感じだった。元気だなー。大学行って、そのままボウリングしたりやらやらあったのに。とか思っている俺でした。はい。

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