第113話 ホワイトデー ~部屋から出ていません~

これはまた春休みの話。何故大学生活の話がなかなか始まらないか?ってそれは……とある理由がありまして。今のところ大学は普通の講義しかなく。今までと同じような流れで生活しています。はい。って俺はいきなり何を言っているのだろうか。いろいろあって疲れているのだろうか……うん。そうだろう。


とある日の休み時間。大講義室にて次の講義が始まるのを今は待っている。


「楓君?どうしたの?」

「うん?あっ、どうしたの海織?」

「最近の楓君はよくぼーっとしてるね。お疲れかな?」

「いや、大学3年になってなんかもっと就活やゼミとかがどんどん来るのかと思ったら……あまり変わりないなって思ってた」

「そういえば、そうだね。今のところは……今までとあまり変わらないね。ちょっと就活のセミナー?オリエンテーションは入って来たけど」

「だね。そこはなんか……うん。どうなるかなー。だけど。もう1つ」

「あっわかった。ゼミでしょ?」

「そうそう、柊経由で聞くと他のゼミの時間はもうテーマの検討?っていうのかな?そんなことしているところもあるみたいだけど、うちのゼミ……ずっと休みだからね」

「先生が居ないとね。もしかしたら白塚君の言う通り。すごい先生なのかもね?」

「いや、うーん。過去の講義的には……ほっほっほー先生?」

「あー!それそれ、沙夜ちゃんも言ってた。本当にそうなの?」

「うん。そのイメージしかなくて」

「それはどんな先生か楽しみだね。って、もしかして楓君はゼミが始まらないから、ぼーっと。してるのかな?このままで大丈夫なのかな?とか考えてるのかな?楓君はやっぱり真面目だね」

「いや、まあ。ちょっとイメージと違うというか。予想通りにはならないなー。って」

「じゃ、そういう時は明るい思い出を話そうよ」

「思い出?」

「あっそうそう、ちょうどね。ママがまた楓君連れてくるように。ってこの前言ってよ」

「……何故に?」

「そりゃ楓君が気に入ったから?」

「ははは……」

「まあ多分ホワイトデーでパパ以外にプレゼントもらったから喜んでるんだよ」

「いやいや、ちょっと違う気がする。確か……斎宮さんへのお礼を探していたらら……」

「あれー?私の記憶は、楓君がお世話になったからお礼をしたい!って言いだして、ちょうどホワイトデーだから……じゃなかったかな?ニヤニヤー」

「ニヤニヤ言いながら、過去を変えないでください」

「えー。違った?」


海織の顔はどんどんニヤニヤ顔に――これは……いつものように遊ばれていると見た。間違いない。うん。


「だって、あれは。偶然というか。なんか海織が送ったら?って言いだしたよね?」

「あれれー?そうだったかな?ニヤニヤ」

「ニヤニヤ言いまくってるんですが……」

「ふふふっー」


これは3月の初めの頃だったと思う。俺は海織にバレンタインのお返しの事で相談していた。


「なるほど、なるほど、楓君は彼女より。彼女の親友にバレンタインのお返しを先にしたいと。うんうん。ニヤニヤー」

「ちょちょちょ。何もまだ言ってない。言ってないから」

「楓君が慌ててるー。楽しい!」

「海織」

「はーい。で、えっと?バレンタインのお返しだよね?」


現在俺の部屋に海織と2人で居る。春休み中だからとよく遊びに来ている海織。ほぼ住んでいる。と言っても良い。まあそれは今はいいとして。俺はもうすぐあるホワイトデーについて海織と話していた。


「海織へのお返しは……作ったらいいんだよね?ずっと言われてるから……いろいろできそうなのもう考えてるけど……」

「そうそう。楽しみにしてるよ?楓君」


バレンタインの時。少しフライング的な感じで海織と斎宮さんからはチョコのお菓子をもらった。もらったということは返す必要がある。


海織に関しては2月下旬くらいから。俺の部屋に居る時などに――「私、楓君が作ったお菓子が食べたい!」や「一緒にお菓子を作るとかもありだよ?」やらやら言われていたので。すでに何となくは決まっていたのだが……斎宮さんはどうしようか?と考えていた。で、結局海織に相談したら。なんか変な会話が始まった。それが今。という事。ちなみに柊と斎宮さん。今のところ、あそこのお2人さんは大変平和なので……大丈夫かと。柊が変わりすぎてなんか反動があったらどうしようとか。ちょっとは思っているが。今のところはいい感じらしい。ずっとこのままであってほしい。もう連行は……大丈夫です。


「やっぱり沙夜ちゃんはお菓子が喜ぶと思うよ?」

「だよね。だから斎宮さんが喜びそうな……お菓子を一緒に選んでいただければ……と」

「ふむふむ。じゃ、ついでに私のママにもこの前お世話になりました!って送っといたらどうかな?喜ぶと思うよ?」

「あー、そういえば、あの時しばらくお世話になったのに何もお礼してないか……」

「で、パパがそれを知って楓君とバトルかな?」

「ちょっと待って、海織なんか楽しそうに恐ろしいこと言わないで。っかそれが狙い?」

「えー。そんなことないよ?ふふふ」

「本当にもう……でもお礼はした方が良いと思うから……一緒に何か見つけて…送ろうかな?」

「なら楓君。ネット通販で探してみるのもいいかもよ?私沙夜ちゃんの住所知ってるから。沙夜ちゃんへのお返しも良い物があったら送れるよ?急に送られてきたらサプライズみたいだし」

「なるほど……それはありかも」

「でしょ?今のネットなんでもあるからね」


それからは海織と一緒にパソコンを見ていた……ってなんで海織は胡坐をかいて座っていた俺の足の上に普通に座って来るのですかね?ちょっと!?画面が見にくいのですが……ってなんでこうなった!?ちょっと。海織!


「楓君?探さないの?手が止まってますよ?」

「—―どうしてこの体勢になったのでしょうか?」

「ふふふ。密着?」

「いやいや……ってどかないよね」

「うん!いい感じにフィットしたから」

「じゃ――ちょっと画面だけ見えるようにお願いします」

「了解しました!もたれまーす!」


海織は少しずれてくれたが……なんか後ろから海織を抱いているような形になってしまうので……画面に集中できないのですが――。


結局それからその体勢で1時間。2時間ほどか。パソコンで斎宮さんへのホワイトデーのお返しと海織ママさんへのお礼の品を探していた。


「あっ、これ美味しそう」

「あっ。見てみて楓君。これすごい」


ってなんか海織が一番楽しそうに見ています。俺がマウスを使っているとその上に海織の手がきて「これみたい」とか言いながら、勝手に動かされて……ちょっと脱線が多くあり……結構な時間パソコンを見ていました。


いろいろあったが、何とかその日の夜には、一応プレゼントお返しは決まった。


「斎宮さんへは抹茶のお菓子詰め合わせ。海織のママさんへは、ごはんのお供?おつまみ?っていうのか。これでいいかな」

「これだけいろいろあると悩むね」

「ホント、ネットってすごいよね。まあ、口コミが正しいかは……だけど」

「でも評価がないよりは、ある程度評価があるもので探したから大丈夫じゃないかな?」

「だと良いけど、って後は注文しとかないと」

「じゃ、コンビニかな?」

「かな。コンビニで支払う設定できるみたいだから。そうしようかな」

「じゃ、この後一緒にスイーツ見がてらコンビニに行こう!」

「ははは……海織。今日こそは……帰るよね?」

「えー。まだ春休みだよ?私の晩御飯食べたくないのかな?」

「いやいや、いつもありがとうございます。って、たまには帰らないとずっと留守は……」

「大丈夫。明日には一度様子見に帰るから」

「……本当に?」

「—―てへ?」


そんなやりとりがあったのが。3月の初めだった。 

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