第111話 大楠撮影会 ~箕田駅14時21分発~

大学3年生になり。すでに数か月が経過しているが……うん。特に今までの2年間の大学生活とあまり変わりなく。平日は大学へ行き講義受けて、休み時間はよく4人で雑談。放課後はたまにどこかにぶらぶらと。そして休日は海織が部屋に住み着いているので2人でのんびりの時間が結構ある。

ちなみに……平日も結構な確率で住み着かれている日が多くなっている気がする。


って、うん?なんかおかしいこと俺言ってないか?言ってるよな。住み着かれていることが普通はおかしい気がするのだが……でもすでにいつもの事となっているので……慣れてくるってホント怖い。


そして今日の事。朝起きる。そして窓を開ける。外を見るといい天気。雲一つない快晴。だったからか――。


「いい天気だねー!そうだ楓君。今日は講義休講だから。近場にお出かけしよう!」


そんな声が隣から聞こえてきた。うーん。間違っていなければ、ここは俺の部屋で現在まだ朝の8時過ぎなのだが……隣には、冬のもこもこからちょっと春用というのだろうか。

もこもこがなくなったパジャマを着ているお方が隣に立っている。今日も朝からすごくいい笑顔で隣にいらっしゃいます。


柊に何度か言われているが。うん。幸せな事なんでしょう。こうやって週に何回か「おはよう」を言う相手が居ることは。


「まず。おはよう。海織」

「あっ、そうだね。おはよう、楓君。じゃ、朝ご飯食べてお出かけしよう!」

「……はい。ちなみにどちらに?」

「まあまあ、とりあえず。洗面所借りまーす」

「……どうぞ」


それからしばらくして、出かける準備をした俺と海織は伊勢川島駅に居た。今日は平日なので、まだそれなりに人がいる時間。大学方面は……ピーク過ぎたかな?ちなみに今は四日市方面の電車を待っている。


起きて、すぐくらいだったか。海織が言っていたが。今日は本当なら講義があったのだが先生の都合で休講になった。なので、大学に行く必要はない。それが前日にはわかっていたから。海織が普通に泊まっていたのだが……って、どこ向かっているんだろうか。


「海織。ちなみにどちらに?」

「うん?今から楓君と写真対決でもしようかな。って」

「はい?」


今日もなんか振り回されそうな気がしました。はい。


俺がそんなことを思っていると、伊勢川島駅09時50分発の近鉄四日市行きの普通電車が駅に入って来た。海織に「ほらほら」と手を掴まれて車内へ。そのまま近鉄四日市駅まで電車に揺られていく。車内はそれなりに人が乗っていたので2人ともドア付近で立っていた。


09時59分近鉄四日市駅に到着。そしてちょっと早歩きして乗り換え。近鉄四日市駅10時01分発。津新町行き普通電車に乗り込む2人。セーフ。って俺はただ引っ張られていただけです。


それから30分もしないうちに目的地に着いていた。


「で、海織。説明を――」

「はい。今から一番いいと思う大楠の写真を撮って沙夜ちゃんたちに判定してもらいます!」

「はい……ってまあこれだけ快晴だと綺麗な写真は撮れるかもだけど……」

「でしょ?」

「って急にどうしてこうなったの?」

「もちろん――思いつき!」


めっちゃかわいい笑顔ですね。はい。この笑顔をされると最近なんでも許してしまっているような気がする俺。ちょっと考えないとな。とは思っているが……負け続けています。ホントいい笑顔を海織はしていた。


そして、というのか。今は近鉄四日市駅から普通電車で箕田駅まで来て、そこからはすこし歩いて、長太なご大楠おおくすまでやってきていた。うん。すごくいい感じ。この青空に大楠。そして海織は楽しそうにこれからすることを話しています。簡単に言えば、この大楠をいかに綺麗に撮影するか。らしいです。


ちなみに、久しぶりに来たが。今日は先客も居た。おばあちゃんが1人でお参りをしていた。なので、おばあちゃんが帰ってから。

これは……なんというのか……海織と大楠の撮影会?が始まりました。


「じゃ、負けた方が1つ言う事聞くことね」

「突然ルールを追加しないように」

「今決めたからセーフ」

「……」


という事らしいです。そういうと海織は大楠全体が入るようにだと思うが。小走りで大楠から離れていく。これガチで勝ちに来そうな海織。もしかしてまたなんか裏があるのか……とか思ってしまうが。俺も撮影開始。まあ撮影会と言っても2人ともスマホで撮っているだけだが。


それから20分もしないくらいだと思う。


「楓君どう?」

「一応。いい感じの撮れたかな?と思ってる」

「どれどれ見せてー」


海織が俺のスマホをのぞき込んでくる。


「おー、綺麗。青空に大楠だね」

「そう。空がきれいだから。空多め。って感じで。海織は?」

「こんな感じだよ?」


見せてもらうと。海織は――あれ?海織って遠くに行ってなかったっけ?海織るが見せてくれたのは多分真下?かな?見上げる感じで大楠。そしてその先に青空だった。大きさが伝わって来るし。なんか太陽の光でキラキラしている。あれ?この時点で負け?いや、まだ大丈夫……のはず。


「確か海織って遠くに行ってなかった?」

「うん。遠くからも撮ったけど。さっき近くから撮った方がなんか綺麗だったからこっちにした。じゃ、沙夜ちゃんたちに評価してもらおう!」


それから俺の写真を海織に送り。海織が4人のグループメッセージのところに。


「この写真どっちが良いかな?」


という言葉とともに2枚の写真を載せていた。まあこれならだれが撮ったかはわからないか。


「……まあ、さすがにすぐには返事来ないよな」

「だね。2人ともまだ見てないから。あっ、ちなみに楓君は答えちゃだめだよ?」

「わかってます」

「じゃ、とりあえず私の家行ってお昼食べようか」

「その流れになるところまではちょっと予想してた」

「さすが楓君。じゃ行こう」


柊と斎宮さんからの返事を待つ間に、俺と海織は箕田駅にまた歩いて戻る。そして12時21分発の近鉄四日市行き普通電車に乗り数分。12時25分には楠駅に到着。それから――。


最近よく来るな……海織のところ。とか思いつつ。海織の家に入っていく。


「ラーメン食べようか?ちょうど2つあるんだ」


と海織にお昼を作ってもらいました。って海織。絶対俺がここに来ること想定して材料買ってあるよね?いつ来てもちゃんと2人分あるし……ってまあそれはありがたいし。悪いことではないので、いいとして。海織にお昼ご飯を作ってもらい。美味しくいただいた。そしてタイミングよく食べ終えて少ししたくらいに、柊と斎宮さんから返事があった。


結果は――。

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