第106話 温泉に行こう! ~女風呂はわかりませんよ?~

――翌朝。


「楓君。朝ですよー。温泉ですよー。早く起きてねー。起きないと襲いますよ?」


外が明るくなってきた頃だったと思うが。そんな声が耳元で聞こえて、俺は今日起きた。はい。まだ海織の実家に居ます。帰らせてもらえる雰囲気は――ありませんね。はい。大人しく従うが安全かと今は思っています。はい。って海織今何言った?


「沙夜ちゃんも起きないと温泉行けないよ?」

「もう少し……寝たい」

「ほらほらー。朝だよー」


少し離れたところで今日はちゃんと自分のところで寝て居た斎宮さんも海織に起こされている。斎宮さんは布団の中でもぞもぞしている感じ。うん。その気持ちわかります。もう少し丸まっていた。うん。とか思っていたら。


「楓君ー。二度寝したら……わかってる?」

「なんかわかってないけど、起きます。はい。起きました。着替えてきます」

ホントに何されるのかとかわからないけど、起きた方が良いと。身体が警告を発してくれたので起きる。はい。起きました。

「うんうん。ほら沙夜ちゃんも」

「はーい……眠い」

「起きないと、沙夜ちゃんに手突っ込んじゃうよ?」

「それ冷たいからやめてー」

「ほらほらー」

「きゃ。ちょ。冷たい!。海織ちゃんの手冷たいから!いやー。楓くんー。海織ちゃんが襲ってくるー。楓くんー。助けてー」

「はい。沙夜ちゃんも起きた」


なんか後ろで聞いちゃいけないようなことが聞こえた気がするが……気のせいかな。うん。


極端に早起きではないが。休みにしてはそこそこ早めに起床。そして着替えてからは海織ママさんの準備してくれた美味しい朝食を食べて。朝からちゃんとした和食食べれるのうれしい。そのあとは車に乗り移動を開始した。


そして今の俺。眠いです。はい。まわりの3名様は早朝から元気ですが……助手席に居る俺。いつでも寝れそうです。そういえばどこに向かっているのか。また俺だけ聞いていないような……とりあえず日帰り温泉しか聞いていない。


にしても。海織はホント元気だな。朝も多分早くから起きていたんだろうけど。元気。うん。あと海織のママさんも朝からテンション高め。


「露天風呂も楽しみだけど。岩盤浴もあるんだよね?」

「うんうん。体操?ヨガもできるみたいだよ」

「おー。なんかすごい」

「で、ランチ。お昼も食べるところあるんだよね?ママ」

「そうよー。お昼がついたプランがあるみたいで。ママはまず温泉入ってマッサージしてもらってくるわー」

「あー。海織ちゃん私たちは岩盤浴まず行こう?」

「うん。行こう。ヨガもできたらしたいね」

「うんうん、私ちゃんとしたことないけど、気になるからできたらしたいかも」

「お肌つるつる温泉入ったらパパびっくりするかしらー」

「海織ちゃんのママ。大学生でも通じそうだよね?」

「ちょっとそれは恥ずかしい気もするけどね」

「あらー。何言ってるの。私高校生でも入れるわよ」


マジですか。と、会話には入らないが。助手席で聞いている俺。っか。女子旅だよね。俺。必要かな?すると海織が後ろから話しかけてきた。


「楓君。残念だね」

「えっ?何が?」

「混浴なくて」

「ちょ、誰も希望してないですから」

「あらー。彼氏君は混浴希望だったの?それならそういうところ探したのにー」

「大丈夫です。海織が勝手に言っているだけです」

「えー。楓君が言わなかった?」

「あららー」

「海織お願い捏造しないで」

「ふふふー」

「楓くんも男の子だからねー。ニヤニヤ」

「ニヤニヤが斎宮さんにうつっている!?」


車内はかなりにぎやかな感じで、途中コンビニとかで休憩しつつ。約2時間弱かな?あまりちゃんと時間を見てなかったから正確な時間はわからないけど、多分それくらい車で移動していたと思う。結局今がどこに居るのかはあまりわかっていないが、とりあえず。日帰り温泉が楽しめる場所には着いたみたい。


車から降りると目の前の建物には「ゆ」と、大きく書かれていた。まだ午前中だが、駐車場も半分くらい埋まっていた。ってお風呂はみんな朝から来るのか?とか思いつつ。テンション高めの3名様に付いていく。


ってそれから数分後には。俺1人なんですけどね。


「楓君も楽しんできてね」

「うん。海織たちもごゆっくり」

「うん。行ってきまーす」


先ほど海織たちとは別れました。っか。別れてから気が付いた。海織。俺のスマホまだ抱いてるよね?どうやってこの後連絡すればいいのでしょうか――。


連絡方法が無いことに気が付いたが。すでに3名様は居ない。女子の方に突入とか言うことはできるわけもなく「まあ……ゆっくりするか」と、俺も中へ。


普通。女の子のキャッキャッ。言っているお風呂でのお話が良い気がするが……って俺は何を言っているのだろうか。まあいいか。とりあえず俺は1人のんびりお湯につかっている。周りにはジェットバス?でいいだろうか。ぼこぼこしているところがあったり。サウナもあったりと。中はなかなか楽しめそうな感じ。うん、お湯も気持ちいい。この後は露天風呂も行こうかとか。思ったりしていた。


3名様の方はわかりません。多分楽しんでいると思う。よし。俺は露天風呂行こう。ちょうど人が居なくなった。


結局俺はぷかぷかとほぼすべてのお風呂を体験してから。脱衣所へと戻った。


そして、しばらくロビー?かな。待合スペースみたいなところがあったので、そこの椅子に座って、ぼーっと待機。途中何となく目についたコーヒー牛乳飲んだりしていた。


「これから――どうしようかな……」


俺が1人ぶつぶつ言っていると。


「何がどうしようなのかな?」

「……急に来るね海織」

「うん?」


声の方に振り向くと海織が立っていた。どうやらかなりお湯に浸かっていたのか顔が赤い。


「斎宮さんたちは?」

「まだまだ入ってるよ。まだ出てこないかな?」

「なるほど――って海織は良かったの?」

「さすがに熱くなってきてね。のぼせる前に出てきたよ」

「賢い判断かと」

「まあ、のぼせたら楓君におんぶしてもらうだけだけど」

「どうしてそうなるのでしょうか」

「あれー。放置されちゃうのかな?私」

「いや……まあ……運ぶけど」

「うんうん。さすが楓君。で、どうしようか。多分ママも沙夜ちゃんもまだ出てこないし。同じ敷地にある特産物扱っているお店見てこようか?」

「座ってるだけも……だからね。そうしようか」


それから30分くらい。海織と2人でぶらぶら敷地内にあるお店を見ていた。っか。腕にしがみついている海織がとっても暖かかったです。はい。なのでなかなかお風呂で温まった身体は冷めそうになかったです。

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