第102話 お片付け ~いつまでここに居るのでしょうか?~
現在の状況—―。
「食べたー!満腹―。海織ちゃんママのケーキ最高ー!ここ住みたーい!」と斎宮さんがお部屋で寝ころんでいます。
そして「美味しかったね。ちょっと食べすぎちゃったかな?」と、隣で海織も座っていて……少し離れたところでは「彼氏君ー。お酒まだある?」と海織ママさん。って、そろそろストップしませんか?ママさん。ホントに。ずっと飲んでますが大丈夫ですか?見た感じは大丈夫そうですが……さすがにそろそろやめましょう。はい。やめましょう。
そして俺はというと――お片付けを頑張っています。はい。なんやかんやで準備もほぼ俺がしたので片付けもわかる範囲でやっています。なんか途中で海織に写真撮られた気がするが……あの写真はどこで使うつもりなのだろうか。俺が1人で片付けているところ撮っても何も無いと思うのだが……とか思いつつ。片付け頑張ってます。はい。熱い。鉄板まだ熱いよ。
などとちょっと片付けは苦戦しつつも。ある程度終わって来たころ。後ろで声がした。
「ほらー。ママそろそろ家の中入って入って。ほらー」
「うー。娘が意地悪ー」
「はいはい。お片付けの邪魔ですよー。ママが寝ちゃったら運ぶの大変なんだから」
「まだ飲みまーす」
「パパの居る時に飲んでよ。ホント運ぶの大変なんだから」
「もう1本!」
海織が海織のママさんのお相手しています。ちょっと大変そう。ちょっと海織が苦戦しつつも、何とか海織のママさんは室内へ連れて行かれましたと。それを見た俺は海織ママさんの使っていたところを片付ける。ホントお酒の空が多いことで――。
「楓君。楓君」
海織のママさんが使っていたところを片付けていると、今度は俺が呼ばれました。
「うん?海織どうしたの?」
「楓君1人で片付けているからね。お手伝いしに来たよ」
「もうほとんど終わってるから――1人でも大丈夫だよ?」
「いいの。沙夜ちゃんはお風呂に先行ったから」
「そういえば、斎宮さん居ないね」
先ほどまで斎宮さんと海織が居たところは誰も居なくなっていた。
「あー。楓君が沙夜ちゃんのお風呂覗こうとしてるー」
「どこをどう見たら今その可能性があるのか説明してほしいんだけど……俺結構真面目に片付けしてますが……」
「一瞬沙夜ちゃんのお風呂を想像してたね。うんうん」
「いや、たださっきまで居たところには居なくなったな。って見ただけですが……」
「ふふふ。まあ、楓君はそんなことしないよねー」
「っか海織」
「なに?」
「俺……いつまで海織の実家に居るのでしょうか……」
「うーん。まだしばらく居てくれないと。白塚君どんな様子かなー」
「先が長そうなのですが……あっ。そういえば、俺のスマホはまたどこにいったのでしょうか。姿が見えなくなった気がするのですが……って全く見てないのですが……」
「秘密ー」
「……ところで、なんでスマホを預かられているのでしょうか」
「そりゃ、楓君が勝手に連絡したらだからね」
「誰に?」
「まあまあ」
まあ海織の雰囲気から何となく柊かな。とは思ったが……柊よ。俺は返事してないからな。うん。それだけは今言っておこう。意味ないかもしれないが……。
そんな会話をしつつも片付けは無事終了した。残りは明日で大丈夫かなと周りを見ていると……なんか背中に人がくっつきました。すごく優しく捕まりましたって。
「うん。楓君からいいお肉のにおいがする」
「……そりゃ。煙の中に居たりしましたから。って。今くっつく理由が無いと思うのですが……」
「まあまあ。楓君補給だよ」
「何それ?」
後ろからもごもご声が聞こえるが……歩いていいかな?
「あのそろそろ座りたいのですが……室内に入ってもよろしいでしょうか?」
「どうしようかなー」
「なんでそうなるの?」
「じゃ、楓君。おんぶおんぶ。はい。しゃがんでー」
「—―海織に恥ずかしいとかはないの?」
「どこが恥ずかしいの?」
「—―はい。すみません俺の気のせいでした。っておんぶ!?」
「うん。はい。しゃがんで。しゃがまないと離れないから」
「……しゃがんだらまたくっつくのと変わらない気がしますが……」
「早くー」
「はぁ……」
何故か海織をおんぶする。ってなんで軽いのこんなに。っか声には出さないけど。結構食べてたよね?どういう仕組み?ホント。
「……あの。この後はどうしたら」
「ちょっと視線が高くなった。楓君楓君。耳にふー。していい?」
「やめなさい。どう考えてもくすぐったいから」
「えー。やりたい」
「海織。最近やんちゃになった?」
「変わらないよ?」
「うそー」
「……ふー」
――なんか耳に息があたってます。ってくすぐったいから!
「……海織。降ろすよ?」
「ダメ。室内までレッツゴー。ふー」
とか耳に攻撃しつつも。しっかり捕まってくる海織これじゃ降ろすということは自分の首を絞めることになるので……。
「耳に息を吹きかけない。くすぐったいから!」
「楓君早く移動しないと。沙夜ちゃんが鼻血出しちゃうよ?」
「うん?」
海織に言われてキョロキョロと周りを確認すると――。
パシャパシャ。
シャッター音とともに……ってタイム。斎宮さん!絶対またバズタオル一枚でしょ!
「2人ともー!いい写真撮れたよー!」
「斎宮さん何してるの……って。お願い。ちゃんと服着てから出てきて。っか風邪ひくから」
「うん。着てくる。さすがに寒かったー」
そんなことを言いながら足早に斎宮さんが消えていくが……。
「楓君が沙夜ちゃんのバスタオル姿見たー」
「……いや、あれ向こうから居ましたが。俺は今、1歩も動いてませんから」
「で、沙夜ちゃんのバスタオル姿の感想は?」
まるでマイクでも持っているかのように手でこぶしを作って俺の口の前に持ってくる海織。
「……ノーコメントで」
「ダメー」
「いやいや……って海織俺たちも中そろそろ入ろう。火が消えたから冷たくなってきたし」
「じゃ、中でちゃんと聞かせてね?」
「……なんでそうなるか」
「ほらほら。歩いて歩いて」
「暴れない、俺こういうの慣れてないからホント暴れないで」
「ふふふー。楽しい」
――しばらく海織に遊ばれました。はい。
――――。
「マジでどうした?メッセージ見てないのか?既読は付いてるぞー」
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