第91話 春休み12 ~3日目夜~
――鵜方駅20時38分発の名古屋行き特急に乗った俺たち2人。鵜方駅の時点では車内は結構空いていた。ぽつぽつと座席に人が座っている程度だった。
「外真っ暗だね」
宮町さんが外を見ながら言う。うん。本当に外は真っ暗ですけどね。
外が暗いからか。電車の室内が窓ガラスに写っているという状況だった。
「ホント。ってこのままアパートに帰る選択肢もあったけど。なんで俺ホテル予約しちゃったんだろうって今ちょっと思っていた」
「それは楓君がまだ私と一緒に居たいってことだね。ニヤニヤ」
「車内でニヤニヤしない」
「大丈夫。声は小さめだから」
「って。まあ伊勢神宮行ってないからね。2人の希望の」
「そうそう、食べ歩きと伊勢神宮外宮内宮。他の別宮とかも回りたいから」
「何気に4日目が2人の希望が一番入っているよね」
「そうだよ。にしても楓君がどんなホテル選んだのかなー」
「いやいや、そんなに期待されても。普通に駅前です。はい」
「私の勘は。大浴場か温泉があるホテルと思っているんだけど……」
「—―鋭い」
「ふふふ」
などと座席で宮町さんと話していると電車は鳥羽駅に到着するところだった。鳥羽駅では少しお客さんが乗ってきて、その後も五十鈴川。宇治山田で人が乗って来たので座席の半分くらいかな?人で埋まった。そして21時18分。俺たちは伊勢市で降りるという……なんでこんな流れになったのかな。まあいいか。と伊勢市駅で降りたあとは、駅前のホテルに宮町さんをご案内……ってホント目の前だけど――。
すぐにホテルに到着し。チェックインして――部屋へと入る。
「どうでしょうか……親の支援あったので、普通に選んだんだけど……」
「ふふふー」
どういうことか。すごくご機嫌な宮町さんが居ます。どうしてでしょうか。
「楓君もちゃんと。ツインルームじゃなくて、ダブルルームの部屋。選んでくれたんだね」
「—―あ。そういえば、あまり気にしないで選んでた」
部屋の中を見て気が付いた。
「ふふふー」
「—―なんでしょうか……」
「なんでもー、あっ楓君いろいろあったからお疲れでしょ?まず大浴場へどうぞ―」
「……とりあえず……ゆっくりしてこようかな」
部屋に荷物を置いた後は大浴場へ。くつろいでから部屋に戻ると。まだ宮町さんは帰ってきていなかった。
♪♪
すると、部屋に入ると同時位にスマホが鳴っていた。多分宮町さんの物だろう。一応俺も確認したが何もメッセージなどは来ていなかった。
それからはベッドに座りスマホをいじる。にしても1日でいろいろあった。ホント。って、付き合うことになったのか。いや、でも体験やらやら言いながらいろいろあったし……うん。あまり考えないでおこう。そうだ、特に変わらない。うん。落ち着いた。変わらないんだ。多分。
♪♪
するとまた宮町さんのスマホが鳴っている「さすが宮町さんメッセージもよく来るな」と思っていると。
♪♪
♪♪
「うん?俺にも?」
と
珍しく俺のスマホが鳴った。誰からだろうとみてみると――。
「柊か」
メッセージを開いてみると。
「どうよ。このイルミネーションと、元気馬鹿少女」
という文章と画像が届いていた。画像を見てみると……。
「—―楽しそうなことで」
画面を見つつつぶやく俺。
送られてきた画像はどこの施設?場所?かはちょっとわからないが――綺麗なイルミネーションの中でポーズしている斎宮さんが写っていた。
俺はすぐにスタンプで良いね。グー。としている動物のスタンプを送っておいた。
すると、柊からはすぐに返事があったのでしばらくやり取りをする。
「おつー。どうよこの元気な子供。ガキ」
「ガキも子供も言ったら怒られると思うよ」
「いやいや。急にどっか連れて行け。ってうるさいし。誕生日だからプレゼントもくれとか言ってきてさ。お金が消えた」
「写真の斎宮さん楽しそうにしていたからよかったんじゃない?」
「まあ機嫌は今のところいいな。って沙夜が行ってたけど。楓も宮町さんとデートだろ」
「……まあ、なんか近畿地方をぐるっとまわっているよ」
「楽しそうなことしてるじゃん。っかデートに反応なしかよ」
来たので、どう返事しようか思ったが。まあすぐバレるというか。今までもなんか……うん。すでにそんな感じだと思われている。と思っていたからか。すんなりと。
「なんか。完全包囲されて、本当に付き合うことになった――みたいな?」
と返事をすると。
♪♪~
「……なぜに斎宮さん」
柊から電話ならわかるが。何故斎宮さんからか。と思いながら電話に出る。
「……もしもし」
「やっほー、ねえねえ海織ちゃんと本当に付き合ったの?」
「なんで今柊に言ったことが柊より先に斎宮さんに伝わるのでしょうか」
「あっ、柊なら今カウンターに料理取りに行ったから」
「お食事中?」
――ガチャ。
「そうそう、イルミネーション見に行ってね。で、私が海織ちゃんに画像送ってる横で柊が誰かとメッセージしてるなー。って思ってたら。ちょうど柊がニヤニヤして、見て見ろよってスマホ置いて料理取りに行ったから」
「ははは……」
「にひひー。で、楽しそうなお話聞ける?」
「……宮町さんから後日お聞きください」
「えー。ってそういえば海織ちゃんは?まだ一緒だよね?さっきから全然返事ないんだよー」
「あー、ホテル着いてすぐに大浴場行ってまだ戻ってきてないから」
「なるほどー。いいなーいいなー。楽しそう。あっ、柊!今度は温泉連れてって……「なんで次の予定がもう入るんだよ!」まあまあ……」
「……にぎやかなことで」
なんか柊の声が聞こえた気がするが……すると。
「ごめん。柊が料理持って来たからまたねー」
「あ、はい」
そこで電話が切れた。
まあ向こうも楽しそうなことで何よりです。
このまま平和が続いてほしいです。はい。
俺はスマホを机に置いて、ベッドに寝転ぼうとベッドに座ると。
「やっほー」
「—―ひっ!ぐはっ」
おかしい。大浴場に行っていたはずの宮町さんがベッドに居た。そして後ろ?横?から飛びついてきた。そのため俺なんかベッドに伸びています。なんかこんな事夕方もなかったか?
「……宮町さんいつ帰ってきたの?音しなかったけど」
「そっとね。なんかドア開けたら楓君の話声が聞こえたから。そこからは忍者みたいに」
「全く気が付かなかった」
「で、楓君は窓側向いて話していたから。そっとね。ベッドの隅っこで待機してた。いつ行こうかな。いつが面白いかな?って」
少し前の記憶を思い出すが……全くドアの音も気が付かなかったし。ベッドに俺座っていたのに宮町さんの気配を感じなかったような――。
「……ちょっと怖いのですが」
「えー。で、誰とお話かな?いきなり浮気かな?」
ニヤニヤした宮町さんの顔が近いです。はい。
「近い近い。って柊と斎宮さんです」
「だよねー」
「知ってたの?」
「ちょっと声聞こえてた」
「……まあ、それは良いとして……この今の状況。何とかなりませんか?」
「私が楓君を押し倒している状態を?」
「……まあそうです」
結構密着してますし……はい。と俺が思っていると――。
「じゃ、楓君!」
「……はい?」
「今日も仰向けになって」
「……それなんか俺が悲鳴あげることにならないかな?」
「さすが。いい勘だよ」
「いやいや、今日は大丈夫です。はい」
「じゃ、このままを私は選ぼうかな」
「……うーん」
「悩んでる悩んでる」
このままは……うん。なんか。いろいろ大変。
「……仰向けを選びます」
「よし。今日もマッサージするよ」
宮町さんがパッと起き上がる。で、俺を転がす。俺されるがままです。
「今日は昨日の倍ね」
「昨日の半分で良いです」
「ダメ―」
とか言いながらすでに足を押す宮町さんって――的確過ぎる。即—―激痛!
「—―—―!!タ……イム」
「早いですよー。お客さん」
「—―!!」
しばらくの間マッサージという名の激痛ツボ押し今日もされました。途中なんか宮町さんに乗られていた気がするが……軽い。足をめっちゃもまれたり踏まれたりしました。
「—―!!ちょ、タイム!」
「ふふふー」
宮町さんお出かけ3日目でも大変元気です。むしろどんどん元気にパワフルになっている気がします。
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