第90話 春休み11 ~20時38分発近鉄名古屋行き特急~

砂浜に座り。ぼっと海を見ている。あっ。釣りしている人。魚連れたみたい。楽しそう……じゃなくて。お隣のニヤニヤの方どうしましょうか。と思っていたら、話しかけられました。


「さあ楓君」

「なんでしょうか……すごくニヤニヤしてませんか?」


――宮町さんがなんか……とっても楽しそうです。はい。怖いくらいに。


「楓君の知らないところで起こっていたことを真実にしないとね」

「どういう事でしょうか?」

「……楓君は私の事嫌いかな?」


――急に宮町さんに聞かれたが……いや、嫌いということはありません。はい。嫌いならこんな生活してませんよ。って――うん?


「えっと……それは、なんというか。一緒に居ると落ち着くという事でしょうか……」

「て、ことは何かな――?ニヤニヤ」

「—―何この作られた感じの雰囲気――言いにくい」

「ニヤニヤー」


めっちゃニコニコの宮町さん。いやすごくかわいい表情ですが……裏ではなんかすごいことしている子です。はい。


「……その、好きな方ですね。はい」

「—―方?」


うん。ちょっとお怒り?の声が聞こえましたので――すぐに……。


「好きです。はい」

「よく言えましたー。パチパチー」


隣に座っていた宮町さんが抱きついてきましたと。急に来られても支えれないため……まあその後の俺。砂浜に寝ころんでいます。ニコニコの宮町さんの顔が近くにありますが……なんか砂だらけになった気がします。


「ちょ……ナニコレ……」

「あっ、ごめんごめん。楓君が砂まみれだね」


宮町さんがやっと動いてくれる――そして主に背中が砂まみれの俺を宮町さんが砂を払ってくれています。


「ということで、ちゃんと楓君が告白してくれたっていう事実ができたね」

「―—――え?……うん?」


そういえば――うん。好きとは……言いましたね。はい。


「本当はいつ楓君が告白してくれるか。沙夜ちゃんと勝負してたんだよ?」

「—―そんなことしてたの!?」

「してないけどねー」

「ちょっと!?」


ちょっと舌を出して悪い顔をしている宮町さん。なんか宮町さんの思う通りの展開になっている気がします。


「私はずっと楓君の事好きだから、これで楓君が嫌い。って言わない限り。、私はそばに居るよ?」

「……なんか。うん」

「にしても……本当はもっと楓君が照れるかな?って思ったんだけど――最近生活で慣れちゃった?」

「それは……あるかも。なんかずっと1年生の頃から宮町さんがそばに居た感じはするから」

「でもこれで、めでたく。体験期間が終わりました!」

「—―忘れてた」

「これで人目気にせずくっつけるね」

「—―えっと――お願いだから大学ではやめましょう」

「えー。あっでも他ではいいんだね?」

「いやいや……場所は考えてください。はい。本当に。周りからの目線が……」

「仕方ないなー、とりあえずもう少し大学では我慢してあげよう」

「……助かります」


その時に宮町さんのスマホが鳴る。


♪♪


「あっ、楓君のお母さんからだよ。晩御飯の準備できたって。じゃ帰ろうか」

「なんで宮町さんの方に普通に連絡がいくのか。って――うちにしてはえらい早い晩御飯のような……」


それから海織に引っ張られるように車に移動して――家へと。って。砂浜からの短い距離ですが。宮町さんはしっかりお隣にくっついてきました。これ……付き合いました?になるの?なんかいろいろありすぎて――わかりません。はい。


まあ無事に安全運転で帰宅はしました。はい。


そして家に帰ると――。


「……おかしいな。うちじゃないみたい」


いつの間にか父親も居るし。早速宮町さんと父親が話しているし。机にはなぜか刺身やらがたくさんあるし。母親曰く。父親が買ってきたと。って……こんな家だっけか?うちって。


そんなことを思いつつ4人で夕食になり。なんか俺だけ蚊帳の外というのか……宮町さんが質問攻めにあってますが。宮町さんは楽しそうに答えているので、俺は口を挟んでません。何か……聞いてると恥ずかしい事も聞こえてくるが……とりあえず……俺は黙々刺身を食べよう。うん。美味しい。


それからしばらく食事も一段落すると。


「あんた、こんな狭くて汚い部屋に海織ちゃん泊めるわけにはいかないから。どっかホテルでも行きなさい。海織ちゃんが言ってたけど。明日は伊勢神宮まわるんでしょ?だから朝から回れるように伊勢市の方でホテルとりなさい。お金は出してあげるから。ほら。失礼のないようにするのよ」


――――やっぱりここ……。

俺の家じゃないのかもしれません。親の態度がおかしいです。はい。おかしい。何がどうなっちゃったんでしょうね。うん。


ちなみに――宮町さんはまだ親と話しているので……。


俺は、一度自分の部屋に行き。親に言われた通りというか。多分のんびりしているとこの後家をすぐ出ることになりそうなのでスマホを開いて伊勢市の周辺を調べている。


すこしスマホとにらめっこしていると……とりあえず偶然にも京都で泊まったホテルと同じ?かななんか似た名前のホテルがあったのでそこを調べてみると空室ありだったので。予約完了。到着予定は……一番遅い時間にしたから大丈夫だろう。と、思っていると宮町さんが部屋に入って来た。


「おお、ここが楓君の部屋」

「……結構親に捕まってたね」

「楽しかったよ?」

「—―それは良かったです。はい」

「あっ、やっぱり楓君過去の時刻表も残してるんだ」


宮町さん見つけるのが早い。早速部屋のチェックされています。


「まあ一応ね。たまに見たくなるから」

「なるほど。あっ。そうそう」

「うん?」

「ホントは、今日は楓君ところで泊まる予定だったんだけど……なんか。こんな狭いところじゃ悪いから……楓君にどこか連れて行ってもらえって。今言われたんだけど……どうしようか?私はここで全然問題ないんだけど……」


どうやら宮町さんも似たようなことを俺の親に言われた様子。


「同じく親に先ほど言われたので、このまま居るとまたなんか俺が言われそうだから……伊勢市駅近くのホテル予約しました。はい」

「おお。楓君早いって。なんかごめんね。楓君に手間かけさせちゃったね」

「まあ、支援ありましたから」

「どんなところを楓君が選んだか楽しみだなー」

「……なんかハードル上がった――」


そのあとは、しばらくは家に居て――。


「鵜方まででいいか?」


――と父親。何故かどっちが送っていくかで揉めていた俺の親。結局。2人とも同行で、鵜方駅まで送ってもらいました。普段2人ともが送ってくれるとかないのに……絶対ここ。俺の家じゃなかった。うん。と、俺は思うことにした。


そんなこんなで――20時過ぎに鵜方駅に到着。


親と別れて……て――やっとなんか。親からは――解放?された。うん。


「どうしたの楓君?」

「いや、なんでも……うん」

「じゃ、窓口行こうか」


っか。解放とか思ったが――まだ違った。宮町さんが居ますからね――ってこれは――拘束?うん。宮町さんくっつくの早すぎ、まだ後ろに多分親いるから。絶対に次親と会う時これなんか言われる……ってまあもう言っても無駄か。と諦めつつそのままの状態で駅の中へ――。


そして、鵜方駅20時38分発の名古屋行き特急ががあったので、その電車で伊勢市駅まで行くことにした。発車まで少し時間があったので待合室の椅子に座る。このあたりだとほぼ最終電車の時間なので待合室は誰も居なかった。ちなみに特急はこれが名古屋まで行く最終。大阪方面はもうないかな?ちなみに普通だと次の電車でもまだ名古屋まで行けたりする。鵜方駅20時50分の伊勢中川行き普通電車で伊勢中川駅まで行くと。急行と普通の名古屋行きに乗れる。まあ名古屋に着くのは0時前後になるが。と、これは余談か。あまりに自分の実家の事を考えたくなかったからか余計なことを考えてしまった。


「楽しかったー。楓君のところの実家居心地良いね」

「俺は……恥ずかしかったです。はい。いやそれもあったけど――なんか変な感じが強すぎてか――」

「そう?普通に見えたよ?楓君」

「まあ、気にしないようにしてた」

「ポーカーフェイスかな?」

「いやいや、そんなことできないから」

「次来るときはどうなるかなー」

「……しばらく帰りたくないなー……」

「えー。帰ってあげないと」

「ははは……なんか、いろいろおかしい」

「あっ。もちろん。次も私は付いていくからね。よろしく」

「……はい」


などと宮町さんと待合室で話していると電車が入ってくる放送が聞こえてきたのだった。


本日はまだ移動します。はい。暗くなろうと関係ないというか――はい。まだ電車に乗ります。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る