第76話 風邪 ~18時40分発津新町行き普通~
それはホント突然だった。いや予想してなかった。
今年の年末は、最近いろいろといろいろと。なんかホントいろいろやってくれた。柊、斎宮さんがすでに居ない。実家に2人とも帰っている。そして宮町さんも少し前まではうちに来て「楓君。今年も年末年始はうちに遊びに来る?あー、でも今年はおせち来ないんだよねー。2年連続は買ってくれなかったんだー。ケチだよねー」やら言っていて――。
俺はというと、毎年お邪魔するのも……とか返事をどうするか考えていたら。急に宮町さんがメッセージで「ごめん。急に用事できちゃった、、、」と数日前に言って来た。というかメッセージが送られてきていた。ちょっと珍しいな。とはじめは思ったが……。
いやね。最近の宮町さんだと、もっと残念がったりするというか。愚痴るというか。楽しみにしている感じで話していたので、そんな様子がありそうとか思ったのだが。シンプルに用事。とかだったのでちょっと違和感みたいなのはあった。確か夏?は実家で用事があってで、結構いろいろ愚痴を言っていた気がしたが――。
それに冬休み入ってすぐは宮町さん普通に家に来ていたけど、用事と連絡が来てからは来てないという。まあ用事と言ってたから実家の方で何かで急いで帰ったのかな?とその時は俺は思っていた。
そしてみんなも各自実家帰って居ないなら俺も年末年始は実家へ帰るかと思って、実家の方に連絡をしたら。それはすぐだった。親から留守だから帰ってきても誰もいないよ。やら言われたので1人年末年始が俺は確定した。 一体親はどこへ行くのかは知らないが。俺が知らないところで楽しそうです。はい。子は……1人ですが。
まあでもとくに問題なし。で。1人ゆっくり過ごす予定になっただけだったのだが……。
大晦日の日。
そういえば去年は宮町さん斎宮さんと一緒だっけ?とか思いつつ。なにもしないでダラダラも選択肢にあったが――。
結局朝から部屋の掃除をしていた。ちなみに片付けはするが触らないスペース。ゾーンもあります。はい。宮町さんゾーン。なんか日に日に物が増えているような……そのうち住みそうな雰囲気……って、それはないか。冬休み入ってからは普通に何日も泊まるつもりなのかという感じで荷物運んできていた宮町さん。けど結局ほぼ運んだだけで、冬休み入って数日しかここには来ていないという。用事とやらが本当に急だったみたいで、最後に来た時に置いていった本もそういえばそのまま置いてあった。まるで次の日来るから大丈夫。みたいな感じに。まあ年が明けて実家?の用事が終わったらすぐ来るつもりなのかな?とか思いつつ宮町さんゾーンは触れないで掃除を続ける。
1人だからか、黙々とやっていると時間は結構経って夕方過ぎ。普段しないような窓掃除や。ベランダも綺麗にして、結構いい感じに綺麗な部屋なったんじゃないか?と自画自賛しつつ。そろそろ終わるか。とか思っているとスマホが鳴った。
♪♪~
「うん?電話……?」
音のもとへと俺は移動し――机の上に置いてあったスマホの画面を見てみると――。
「斎宮さん――?もしもし」
冬休み前に話したのが最後の多分今は実家に居る斎宮さんからの電話だった。
「あっ楓くん。急にごめんね」
「うんん。問題ないけどどうしたの?」
「楓くんは今海織ちゃんと居るよね?」
「えっ?いや、1人でアパートの部屋を片付けてるけど……」
「えっ?居ないの一緒に!?」
電話の向こうで驚いたような結構大きな声が聞こえてきた。
「斎宮さん……ボリュームボリューム」
「いやいや、えっ?じゃあ海織ちゃんずっと1人なの?」
「うん?1人って。宮町さんも1人暮らしだし――あっ。でも用事できたとか少し前に言っていたから。今は実家じゃないかな?」
「えっ……それはないよ。だって海織ちゃん数日前から風邪ひいてるもん」
「……えっ?」
――ここで俺の知らない情報が入って来た。まあ宮町さんのことを全部把握しているとかいうことはないんだが。それなりによく一緒に居たので……ある程度は知っているつもりだったが――風邪?
「あっ、なるほどー。海織ちゃん楓くんに迷惑かけたくないから黙ってるなー。一緒に居るんだと思ってた」
「うん?どういうこと?」
「いや3日くらい前かな?いつもみたいに電話したら鼻声?で風邪ひいた?って聞いたら。そうなんだよ。寒さに負けたかも。みたいなこと言っててね」
「それって――ちょうど、用事とか言い出した頃……」
「でしょ?もう。海織ちゃんこういうときこそ甘えないと。ほら楓くん出動」
「—―えっ?」
「お世話しに行かないと。って多分海織ちゃん結構悪いと思うよ?私がさっき電話したら。電話には出なくて。すぐにメッセージで「ごめんまだ体調悪いんだ……声ガラガラで」って送って来たから。だから楓くんが一緒に居ると思ってどんな様子か聞きたくて電話したんだよ」
「いや、そんなに一緒に居ないよ?」
「いやいや。海織ちゃんが言ったんだもん」
「なにを?」
「ちゃんと楓くんに助けてもらってるって」
「—―えっ?」
用事があると言ってからは、一度も宮町さんからは連絡が来ていない。そして特に用事がないので邪魔しちゃ悪いとこちらからも連絡はしていない。ってそもそも風邪という言葉を俺は宮町さんから聞いてもないし。そんな雰囲気も見たことなかった。
「ほら。楓くん。海織ちゃん倒れてるかもだから」
「返事してるなら……大丈夫と思うけど。まあ時間はあるから。とりあえず様子見てくるよ」
「うん。お願いで。あとで状況報告をー」
「……了解」
という斎宮さん経由で宮町さんが風邪ということを聞いたので、行くのは迷惑?と一瞬は思ったけど斎宮さんが気にしているという理由があったのでさっと部屋の片付けを終わらせてから。出発したのだった。
――外はすでに暗くなっていた。
伊勢川島駅17時55分の近鉄四日市行き普通に乗り四日市へ。
なにもいらないかもと思ったが。さすがに手ぶらで行くのは――だったので、フルーツくらい買っていくか。と、四日市駅周辺で俺は買い物をしてから。近鉄四日市駅18時40分発の津新町行きの普通に乗り楠駅へ向かう。
楠駅到着は18時53分。
もうあたりは真っ暗。そして冷えてきた――。
ちょっと様子を見に来るにしては遅い時間だな。と思っていたが。仕方ない斎宮さんからの連絡も夕方だったし。ちょっとなんやかんやしていたら家を出るのが遅くなったが。まあとりあえずここまで来たので少しだけと思い。
宮町さんところのインターホンを押したのだった。
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