第63話 とある日のディナー ~14時29分発伊勢中川行き普通~

戸締りちゃんと確認してから、家出発。そして、大学へ――ではない。

今日は、土曜日。講義はない。そして、いつもは、金曜日だとお決まりのように、俺の家に泊まっていくようになっていた宮町さんが昨日はいなかった。その理由は「ちょっと準備があるから」と。昨日は、ちゃんと自分の家に帰っていった。

まあ、つまりのところ。大学に行くのではない。となると行先は、宮町さんのところなんだが。


家を出てからは、伊勢川島駅を14時16分発の近鉄四日市行き普通に乗り。14時25分。近鉄四日市到着。それから乗り換えて。近鉄四日市駅14時41分発の伊勢中川行きの普通に乗り。宮町さんところの最寄り駅。楠駅まで移動した。


楠駅からは、宮町さんの家に向かい歩く。そのあとは――。


「あっ、楓君わざわざごめんね。どうぞ」


宮町さんところに着くと。ドアの前で待っていたのだろうか。という速さで、インターフォン押したらすぐ、宮町さんがドアを開けてくれた。


「……邪魔します」


と、ちょっと久しぶり?だろうか。宮町さんの家に入る。


何故こうなっているかは、数日前の4人でした宮町さんの誕生日会まで戻る。

去年と同じように、4人で集まり、宮町さんの誕生日会を大学終わりにした。今年の場所は、斎宮さんのところで、で、それは、それで、わいわいと楽しく終わったのだが……その帰り道。


「楓君楓君」

「どうしたの?」

「来週の土曜日時間ある?」

「えっ?まあ、空いてるけど」

「じゃ、最近泊まったりお世話になってるから、晩御飯ごちそうするよ」

「へ?」

「決まりね」

「いや、でも、宮町さんちゃんと、食材とか、提供して――」

「いいのいいの。今日もプレゼントもらっちゃったから」

「いや、それは、誕生日のプレゼントで……」

「ということで、決まりね。お昼過ぎに来てほしいなー」

「—―はい」


流れに負けたというか。予定がない。と言った時点で断れないので、そのまま決まった。


「よし、じゃ、まず楓くん。座って座って」


と、ソファに座ると。宮町さんも隣に座る。何が始まるんだ?と、思っていたら。


「ごめんね楓君。ちょっと嘘ついちゃった」

「—―嘘?」

「そう、本当は、楓君と2人でも誕生日お祝いしてもらいたかったから。呼びましたー」

「……」


楽しそうに話す宮町さん。とても楽しそうです。はい。


「でね、私の希望は、一緒にご飯作って食べたいなー。って。ダメかな?」

「もう来てるし……ご飯作って食べるくらいなら――全然問題ないけど」

「よかった。じゃ、チーズフォンデュ食べたいです」


と、どんなものかはわかるのだが。それ、作れるのかな?と、今の俺の頭の中。


「……えっと……買いに行けばいいのかな?作り方わからないかど――」

「だね。来たばかりで、楓君には悪いんだけど、まず一緒に買い出しかな」


と、なんか楽しそうな宮町さんに引っ張られて買い物に。チーズフォンデュって、作ったことないけど……と思っていたが。宮町さんはちゃんとネットで調べていたらしく。すでに、買うものリストが作られていた。そこに書かれていたものを探して買っていく、という簡単なお買い物でした。


スーパーで材料を買った後は、戻る。荷物は俺が持って歩いているが、その反対側は、俺が宮町さんに捕まっている感じ。なんか最近よくある光景です。


「よかったよかった。楓君ちゃんと来てくれて」

「いや、そりゃ、言われたら来るけど。そういえば、一緒に料理とかなら、毎週金曜日に、宮町さんうちに来てるからその時でもよかったのに」

「たまにはね。楓君がうちに来る。ってのもいいかなー。ってで、あとね――あっ、これは後で言うよ」

「うん?」


などと、話しつつ。宮町さんところに帰宅。


そのあとは、ネット情報見つつ。2人で台所でチーズフォンデュを作る。思ったより簡単というか。パン切ったり。野菜切ったりなどは、普通に一口大に切っていくだけだし。その後に、チーズとかしたりしていたら。そんな風なものが、ちゃんとできました。今のネット情報すごい。雑談しつつでもちゃんとできました。


「いい感じに出来たね」

「うん。思っていたより簡単というか。考えたら付ける材料ってなんでもいけそうだもんね」

「うん。この後は、チーズが固まらないように、温めながら早く食べないとね」


宮町さんところには、小さなホットプレートがあったので、の上にチーズの入った皿が乗り。ちょっと早めだが夕食開始。


結構いろいろな食材切ったので、温めつつ。チーズ付けて食べる。

と、食べていると……。


「はい、楓君」

「—―あの、それは何でしょうか?」

「一口どうぞ?」


ニコニコこちらを見つつ。なんか、チーズのついたパンがこちらに向けられてます。もうすぐチーズが落ちそうですが――。


「……えっと?こっちにもありますが」

「ほらほらー」


こっちから食べなさい。というようなプレッシャーと言うのか。なんか迫ってくる。


で、まあ、食べないと不機嫌宮町さんが予想できたので――食べる。


……なんか。うん。大変恥ずかしいのですが――。

一方宮町さんは、めっちゃ笑顔でした。


「はい、次楓君の番」

「ば、番?」

「そう、私もパンが食べたいなー」


――何でしょうかこれ……すっごく恥ずかしいことしている気がするが。宮町さんはノリノリというのか。楽しそうにしてるし。いや、これ、恥ずかしいですよ。はい。


が、宮町さんがやめる。ということはなく。しばらくそれが続く。

いや、なんかすごくすごく長い時間のように感じました。とにかく、恥ずかしかったです。宮町さんは、とても満足したみたいですが。何度でもいいます。これ恥ずかしくない?


そのあとは「これもあったから、楓君呼んだんだー」と、冷蔵庫からデザート。ケーキが出てきた。


「これ、パパとママが送ってくれたんだけど、3つしかなくてね。みんなでの時は食べれなかったから今日食べようって思って、解凍しておいたんだ。あっ、1つは、私がまた後日いただきます」

「俺食べていいものなのかな?」

「いいのいいの。いつものお礼だよ。あっ。これも食べさせてあげようか?」

と、まだノリノリの宮町さんでした。めっちゃニヤニヤしてました。

「ゆっくり1人でいただきます……はい。ゆっくり味わおうよ」

「楓君。今日はかわいいなー」

「主に――宮町さんのテンションが高いかと」

「うんうん。楽しいねー」


と、ケーキは、ゆっくり1人で食べました。ずっと、前からはニヤニヤ見られていた気がしますが……。

そして、ケーキを食べている時の会話で。この食べさせあいというのか。このことになった理由は、斎宮さんであったことが発覚。誕生日会の時に何か、斎宮さんの話から、このことを思いついたとか。そのおかげで、かなり恥ずかしい数時間となりました。まあ、宮町さんが楽しんでくれたならいいが――しばらくは、このようなことは……ご遠慮したい。恥ずかしい。いや、ホント。他の誰かに見られていたとかではないが、恥ずかしいということで。はい。


その後は――。


「えー、うちに泊まるもありだよ?」

「いや、まだ電車あるから……それに何も持ってないし」

「まあ、今日は、ご飯って言っただけだからね。それはまたの機会かなー。次は着替えも持って来てって言わないとね」

「ははは――」

「次は、どうしようか?あっ、そろそろ、お出かけもちゃんと決めないとね。早くいきたいなー」

「検討しておきます」

「うん。楽しみ楽しみー」


と、帰る時になんか、今後のことが決まりかけましたが。今日は、ちゃんと帰りました。はい。


しばらく、というか。数日宮町さん見ると恥ずかしいみたいな感じがあったが。ホント、女の子の考えることはわかりません。

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