第39話 訪問者 ~ドッキリの18時54分着~

結構、バタバタとしたが、無事?戻って来た。

家で、出迎えてくれた、宮町さんからは――。


「楓君、結構、早かったね。もう少し時間かかると思ってたよ」

「……いや、なんかね。急がないと、怒られそうで」

「いやいや、怒らないよ?ちゃんと来てくれたらね。そりゃ。来ないと怒るけどねー。でも、急いで来てくれたのは、ポイント高いよ」


宮町さん宅へ、戻ってからしばらく、買って来たものや、家にあった食べ物を、宮町さんに、渡した後。

宮町さんが先ほど、言っていた。おせちを見せてくれました。

1段のおせちだったが、結構いろいろ。って、結構内容豪華じゃない?これ、と。思っていたより、大きさもあり。和洋?で入ってるのかな?リッチだ。


「これ、1人で食べてたら、2日分は、普通にあるよ。パパ、絶対、私を太らす気なんだよ。絶対」

「いや、それはないと思うけど、豪華だね」

「うち、毎年、どこかのおせちは、買うからね。ちなみに、冷凍のおせち、最近のは結構おいしくなったみたいだよ?パパも言ってたから」

「そうなんだ、うちもおせちは、買ってるけど、冷凍は、買ったことないかな?」

「まあ、解凍がね。買ったところにもよると思うけど、パパが送って来たのは、1日とかかかるみたいで、」

「……結構長いね」

「ゆっくりしないと、味が落ちるんじゃないかな?でも、ほんと、美味しいから。だから、おせちは、もう少し待ってね?」

「あ、うん、それはいいんだけど、で、宮町さんは、今何してるの?」

「夜は、ビーフシチュー。作ろうかなー。って、これなら、温かいし。多めに作れば、しばらく食べれるかな。って」

「なるほど。効率的だね。まあ、年末年始言っても、大学は、三が日終わったらすぐ始まるけどね」

「だよね。もう少し休みあってもいいのに……だから、ちょっと、どこか遠出は、忙しい感じになるから、家で、ゆっくりのお正月もいいよね」

「じゃ、俺、邪魔じゃない?」

「そんなことないよ?楓君も、のんびりしてくれたらいいよ?」


果たして、宮町さんの家で、落ち着けるのかは、わからないが。

それから、俺は特にすることもない為。部屋で待機……いやいや、落ち着かないな。


「—―宮町さん」

「どしたの?」

「いや、なんかすることある?」

「え?寛いでくれてていいのに、自分の部屋みたいに」

「いや、なんというか。さすがに自分の部屋みたいには、、、」

「うーん。まだ、ちょっとご飯も、時間かかるし……あ。そうだ、じゃ、楓君、買い物って、お願いできる?」

「え、うん、そりゃ、いいけど」

「じゃ、パン買ってきてほしいなー」

「パン?」

「いや、お恥ずかしい話。ご飯炊くの忘れてたんだ。あははー。で、ビーフシチューなら、フランスパンとかも合うから。あとで、さっと買いに行くつもりだったんだけど。どうかな?」

「いいよ。駅前にあったスーパーで、売ってるよね?」

「うん、あそこなら、大体のものはあるよ」

「便利だね。スーパーが、近くにあるって」

「でしょ。じゃ、ちょっと、お願いしていいかな?」

「うん。じゃ、ちょっと買ってくるよ」

「ごめんね。ありがと」


宮町さんのところから歩くこと数分で、スーパーには着いた。

大晦日だが、通常通り開いているスーパーに感謝。時間短縮は、しているみたいだが、まだ開いていた。

パンのコーナーに行くと、ちょうど、フランスパンがあったので、それを買って、ついでに、飲み物とかも、買って帰ることに。


暗くなるのも早く。今日も、夜は冷えそう。

空を見る限り、雲はなく快晴。街灯などがないところなら、今日も、よく星が見えそう。とか、考えながら、来た道を歩いていると、ちょうど、駅の方から来るときに渡った、横断歩道近くのところで……。


「……あれ?楓くんじゃない?」

「……えっ――?」


周りを見るが、誰もいない。なんか、聞き覚えのある声が、聞こえた気がしたんだが……。


「おーい、楓くん。こっちこっち」


また聞こえた。

声は――道の反対側からで――。


「えっ――斎宮さん?」

「やっぱり、楓くんじゃん。何してるの?こんなところで」


道の反対側には、スーツケース持って立っている。斎宮さん。いやいや、なんで斎宮さんがここに?実家帰るとか、大学の最終日言ってなかったっけ?


信号が変わると、斎宮さんが、こちらに渡って来た。間違いなく、斎宮さん。


「どうしたの?斎宮さん実家に帰ってるんじゃ……」

「うん、今、実家からこっちに、来たんだ。特急乗って、白子しろこ?駅で乗り換えて、この駅、18時……54分着の電車だったかな?って、なんで、楓くんもこんなところで……なんでパン持って歩いてるの?」

「……いや――その――ですね」


ここはごまかす……は、無理なので。本日、今の現状になっている流れを説明したのだった。


――――。


「ありゃー、それはそれは、楓くんも、とっても、気に入られてますね。ホント。ニヤニヤ―。幸せそうだよ。うんうん。って、私完全に、邪魔しちゃうところだった」

「え?」

「いや、ね。海織ちゃんが、今年は1人で、年越しって、言ってたから。それ、おばあちゃんと話してたら。一緒にいてあげればいいじゃん。みたいに言われてね。で、簡単だけど、って、おせちまで、おばあちゃん作ってくれて、で、ドッキリしよう。って、思って、今来たところなんだよ」

「……斎宮さんの行動力もすごいよ。って、もし宮町さん留守だったら、どうするつもりだったの?」

「え、そりゃ、楓くんに、連絡かな。って、楓君も帰らないかも見たいなの言ってた気がしたから。で、まあ、2人ともいなかったら、1人で年越しもいいかなー。って。だって、1人暮らし初めての年だから。ちょっと、初体験?みたいな感じで、してみたい。も、あったからさ」

「やっぱり、斎宮さんすごいよ。うん」

「そう?まあ、でも、今日は帰るよ。2人のお邪魔しちゃだから」

「え、でも、わざわざ降りてるのに、、、」

「えー、いいよいいよ。私、1人年越しするから。だって、海織ちゃんの計画完全に、邪魔する形だから」

「いやいや、そんなことないと……って、計画?」


すると、正面の方から声がした。


「あ、楓君。よかった。ちょっと、遅かったから、様子見に――え……?沙夜ちゃん?」

「ありゃ……海織ちゃん」

「えっ?えー!?どうして!?」


――それから約10分後。


「邪魔って、そんなことないって、もうー。にしても、ホントびっくりした。楓君見つけたら、横に、沙夜ちゃんって」

「ホント、邪魔してない?私あとで、刺されるとか……嫌だよ?楓くん盾にするよ?」

「ないからー。3人で年越しとか。とっても楽しそう」

「いいの?」

「うんうん。2人だと、楓君カチコチだから」

「いや……その……まあ、なりますよ。うん」

「今もだね。楓くんカチカチ」

「いや、なんか場違いな気がして」

「そんなことないよ?ね、沙夜ちゃん」

「うん。じゃ……私も、2人の年越しに、参加させてもらいます。参加するからには、遠慮はしません!って、忘れてた。海織ちゃん。これ、おばあちゃんが作ってくれたおせち。簡単なやつだけど」

「え?沙夜ちゃんのおばあちゃんから?私、会ったことないと、思うんだけど……いいのかな?」

「大丈夫大丈夫。写真は見せて話したから。で、1人寂しく年越し予定言ってた。海織ちゃんのこと話したら。持ってけー。みたいな。あ、美人さん言ってたよ?」

「もう、勝手に写真見せないでよ……でも、じゃ、せっかくだから、ご飯と一緒に食べようか。うちにも、パパが買ってくれた冷凍のおせち。今解凍中だから、明日には、それが食べられるから」

「え、何それ。気になる気になる」

「あ、見る?こっちこっち」


宮町さん宅に、女2男1の状態に、なりました。

外で、斎宮さんと話していたら。宮町さんが、一通りでき。パンだけ、買いに行ったはずの俺が、帰って来るの遅かったので。と、様子見に来たところ。先ほどのところで会いました。と。


今は、斎宮さんも、参加が決定し。この状態。冷蔵庫前で、女の子2人が、キャッキャとしてます。


それから、宮町さんの作ってくれた。ビーフシチュー食べつつ。いや、パンつけながら食べるのもありです。とても美味しい。っか、宮町さんの料理レベル高い。

そして、斎宮さんのおばあちゃん作のおせち。煮物とか、多分、自分ところのおせちで、準備していたのを、入れてくれたみたいで、こちらは、懐かしい味というのか。味もよくしみていて、美味しかったです。


「にしても、この3人で、年越しは、予想してなかったね。楓君」

「俺は、2人でも、予想してなかったんだけどね」

「ホント、お邪魔が入ってごめんね?」

「いやいや、そんなことないよ?ね、楓君」

「うん。慣れます。頑張って慣れます」

「楓くんまだカチカチだねー」


なんか、俺。すごいところに、いる気がしたが。それでも、時間は、止まらないので、過ぎていく。いろいろあったから、ちょっと、遅めの食事になっていたが。それでも、年明けまでは、まだまだ時間はある。


部屋では、女の子2人が、楽しそうです。宮町さんが、今日行った、椿大神社つばきおおかみやしろのこととか、御朱印帳も見せつつ。2人話してます。時たま、話が飛んでくるので、同じ机には、いるのだが。やっぱり女の子2人といるのは、落ち着かない。うん。


それから、しばらくして、テレビ見つつ。3人で、まあ、なんやらかんやら、話していると、22時過ぎに。宮町さんが「あ、おそば、食べようか」というと。それに、斎宮さんも、賛同し。2人が作ってくれた。俺、出番なし。座っているだけでした。


「はい、楓くん、海織ちゃんの愛情たっぷりそばですよー」

「沙夜ちゃん。もう、余計な言葉、入ってるから」

「はははー」

「ほら、食べようよ、楓君に、沙夜ちゃん、冷めちゃうから」

「だね。これ食べたら、あとは、新年待つだけ。って、感じだねー」

「それはわかるかも。実家でも、そば食べて、1年終わったって、感じだったから」


シンプルなそばだが、それがいい。実家で食べる時も、シンプルだし。

3人で、話しながら食べたらあっという間だった。それからは、また、テレビ見つつ。という感じで。


日付が変わると。


「ハッピーニューイヤー!!海織ちゃんに、楓くん。今年もよろしくー!」

「あけましておめでとう。楓君に、沙夜ちゃん。今年もよろしくお願いします……いや、なんか、いいね。こういうのも」

「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「この3人で、年明けは、私予想してなかったけど。まさか、大晦日から、海織ちゃんが、楓くん捕まえてるとはね」

「捕まえてるって、楓君には、連行って言われたし」

「あー、それそれ。連行。うん。そうだね」

「沙夜ちゃんー」


何も言わなかったが。多分、俺が一番驚いている。宮町さんと、斎宮さんと年明けするとは、夢にも思っていなかったので……でも、やっと、こういうのも、なんかいいなと、思い出しました。


1つ言うなら、夏みたいに柊も居ると……ちょうど、よかった。かと、男女バランスは同じ方が――俺はうれしいです。はい。

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