第31話 帰路 ~久しぶりの12時01分発~

宮町家に、かなりお世話になり。今日は、帰る日。本当は、昨日帰る予定だったが。

朝起きると……地味に体が重いというか。まだ、身体が、疲れていますのサインを出ている気がしたが。何とか、起きた。

今日も、宮町さんが、一番に起きていた。というか。やっぱり、いつも通りの、宮町さんなんだよなー。寝起きで、いつも通りになるものだろうか。ちなみに、俺は先ほど、宮町さんに「髪の毛がはねてる。かわいい」とか言われ、すぐ直しました。


昨日、散々暴れていた2人は、まだ、夢の中。


それから、今日も、宮町家母の美味しい朝ご飯ができるころには、柊と斎宮さんも起きて。みんなで、いただきます。ごちそうさま。


そのあとは、片付けやらして、部屋借りたので掃除してから。宮町家母に、駅まで送ってもらいました。ちなみに、帰るのは、3人で。宮町さんは、もう少し実家に、居るとのことで。


「お世話になりました」

と、言ったら、宮町家母に、「また来てね。いつでも歓迎するから。あ、みんななら、住んでも、大丈夫よ」とか言われたが……ホントいい母だな。


ちなみに、帰りは、柊頼み。行きは、大変混乱した2人。柊に付いていく。


宮町家の最寄り駅は、日中は、1時間に、普通、急行、特急。普通、急行、特急。と、とてもきれいに、並んだ時刻表で、行先も2つくらいしかなかったので。ここなら、まだ、管轄外の俺も、大丈夫だった……しかし。名古屋はダメだ。名古屋に、近づくにして、休日ということもありか。人が増えてきて、車内も混んできた。名古屋の2つ前では、なかなかの乗車率に。途中、高齢の夫婦が近くに来たので、俺と、柊が席を譲ったのだが。駅に止まる度。人の波に少しずつ押されていき、柊と斎宮さんと距離ができていた。


そして、名古屋駅。行きに迷駅。と、個人的にも認定したところだが。


「—―迷った」

「あ、楓くん発見」

「あ、斎宮さん。柊は?」

「わかんない」

「おぅ……どこ行った……」


車内が混んできて、場所も離れたため、途中からは、話しながら来たわけではなく。とりあえず、名古屋駅に、着いたから周りの人の波とともに、降りたが。まあ、人の多いこと。多いこと。人が一気に、エスカレーターや階段に流れ込み。気が付いたら、1人だった。そして、今、後ろから斎宮さんが声をかけてくれた。


「すごい人だね」

「うん、ここは……レベルが違う。とりあえず、近鉄の方行こうか。ここで柊探しても邪魔になるだろうし。メッセージだけ入れといて、近鉄の改札近く行くって」

「了解。連絡入れとくね。あ、楓くん」

「うん?なに?」

「楓くんカバンからいい感じの紐が……持たせて」

「—―迷子予防ですか」

「まあまあ、かわいいでしょ?」

「……まあ、とりあえず行こうか」

「うん。よろしく。私、わかんないから」

「俺も、看板見てだが、近鉄に入ればいいけど」


たまに斎宮さんに引っ張られるのか。カバンにちょっとした違和感を持ちつつ歩く。声はしているので、斎宮さんは後ろにはいるみたいだが。次々電車が着くので、人がずっと多い。早く近鉄の改札の方へと、思い。そこから、階段上り、改札出て。そこで、気が付いた。「あ、連絡通路あったんだ」と。でも、改札出てしまった後なので、また階段下り、上り。下る。名古屋駅周辺階段多くないかな?気のせい?ではないよね?

そして、少し歩き。やっと、近鉄の乗りばに、ここに来る頃には、人の量も普通になり。斎宮さんは、俺の横を歩いている。


「よかったー。見覚えのある電車が止まってる」

「だね。ホント、なんか安心した」

「わたし、近鉄だけ、乗れたらいいや。実家も帰れるから」

「同じく」

「そういえば、柊どこだろう。いないよね?」

「さっき、俺もメッセージ入れたんだけど、既読付かないんだよね。もう1回送ってみる」


改札近くの人の少ないスペースで2人待機。


「私のにも、既読付かないなー、電話かけてみるよ」

斎宮さんが、しびれを切らしたらしく。柊に、電話をかけだした。

「—―出ない。どこいるのよ、柊」

出なかったみたいで、再度スマホの画面を見る斎宮さん。すると、「あ、既読付いてる」と、斎宮さんが言った時。


♪♪~


斎宮さんのスマホが鳴った。

返事があった様子だ。


「……はっ?」

「どうしたの?斎宮さん?」

「楓くん。これなんて読むんだっけ?見たことはあるんだけど。しん――ぬま……?」


斎宮さんがスマホの画面を見せてきた。そこには、


「悪い、途中で、前の席空いて座ったら。寝たみたいで、今、新鵜沼にいるわ」

「うぬま。だね。確か。って、柊、降りてないじゃん」

「どうも途中で、姿見えなくなったと思った。あいつ、また、座ってたかー。私もあの後席子供に譲ったのに……女の子立たせて……むー」

「鵜沼から戻って来ると、どれくらいかかるんだろう?」

「楓くん!」

「はい」

「帰ろう」

「—―いいの?」

「いい。待ってる時間がもったいないもん」

「……まあ、なら、ちょうど1分の松阪行き急行あるけど」

「よし、乗ろう!」


近鉄名古屋駅。12時01分発の松阪行き急行に、斎宮さんと乗車。

あ、久しぶりの感じ。やっぱ。管轄外より。管轄内の方が安心する。

あ、もう一つ。ちょうどこの電車の出る前、12時発の大阪難波行き特急がひのとりでした。俺の持っている、近鉄の時刻表の表紙になっている特急。偶然だったが、ちょっと見れて、個人的には満足。次こそは、どこかで乗りたい。隣で斎宮さんも「うわー、今までの特急とやっぱ全然違うよね。私も乗ってみたい。でも、榛原通過なんだよねー」と、言ってました。


しばらく急行に揺られて、12時34分。近鉄四日市着。乗り換えて、12時30分発の湯の山温泉行の普通で、2人は無事帰りました。

柊は、遅れること2時間くらい?後に、帰ったとか、後から聞いた。


自分の部屋着いた後は、一度宮町さんから「そろそろ着いた?」と、メッセージ来ていたので、返して、少し横になってから……夜中まで記憶なし。


いろいろあった夏休みも、あと数日。残りの休みは、ゆっくりと、いつも通り。1人。いや、最近は、いつも通りだとみんながいるか。まあ、いいか。1人で、のんびりしました。結局……実家には連絡しただけだったな。まあ、忙しいから、とか向こうも言ってたから。冬休みは帰る予定を考えておくか。


それから数日後、大学の後期授業が始まった。

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