第17話 お土産 ~16時05分発帰路ちょっと寄り道~

「海織ちゃん。ごめんねー。突然楓くん借りて、これには訳がありまして……」


遊覧船の旅終わり。駅へと戻ってきていた。

現在、待合室にて、斎宮さんお電話中。相手は間違いないく宮町さんだろう。

俺は、隣に居ても……なので、飲み物でも探しにと、立ち上がったところ。


なんで、斎宮さんは宮町さんに俺を借りたこと。いや、あれは拉致。したこと謝っているかがいまいちわからないのだが……まあいいか。


少し前に、メッセージの返事をしておいたが。普通に返事きたし。ちなみに――。


「朝、拉致されて、気が付いたら電車乗ってました」


と、動物が笑っているスタンプを宮町さんに送ったら、爆笑しているスタンプが返ってきました。


時間的にはもうすぐ15時。

駅前のロータリーに人が集まっていた。これは旅館やホテルの送迎場所だろうか?

多くの車バスも来ていた。

少し前に電車が着いたから、駅も人が多い。多分この辺りは店が閉まるのも早いから、今から来る人はホテルへとかだろう。結構この辺り人でざわざわしている。


それを見つつ、コンビニで買った飲み物を外で飲んでいると。


「あ、いたいた。ごめんねー。いやー、海織ちゃん怖くて」

「いやいや、それはないでしょ」

「いや、あの優しさの裏には……」

「ないと思うよ」

「で、とりあえず、柊の馬鹿はまだ反応してないけど、海織ちゃんがここにきているの知っちゃったのにお土産無しは……だからお土産を見に行こう」

「あ、だね。えっと、賢島といえばか……」

「あ、楓くんは、海織ちゃんに真珠とかは?」

「破産するから、ってなんで真珠?」

「ふと浮かんだんだけど、さっきも見たし」

「ははー、まあもっと普通にお菓子とかさ」


とりあえず、先ほどいたコンビニをチェックする。


しばらく見て、無難にお菓子をいくつか――。


斎宮さんは、柊にはいらないでしょ。言っていたが、一応来たんだしで、俺が購入。宮町さんへは、洋菓子?マドレーヌ?貝の形をしているのがあったのでそれにした。

と、あとは個人的に気になったもの、斎宮さんもいくつか買っていた。


それから駅の窓口へ。


「えー、いいよ。私が全部出すつもりだったんだから」


斎宮さんに言われたが、行きの電車代も出してもらってたので、っかこんな遠く来るとか思ってなかったが。帰りは俺が出した。


直通の電車がなかったので、

賢島駅16時05分発大阪難波行きの特急で鳥羽まで。そして、乗り換えて鳥羽駅16時40分発名古屋行き特急で四日市までの特急券と乗車券。

なぜか斎宮さんが「楓くん、四日市で1回降りるよ」と、言っているので、どうやらまだ拉致は続くらしい。


「はい、特急券と乗車券」

「すみません……連れてきておいて、うん?ねえねえ。楓くんこのマークなんだっけ?鳥羽からの」

「あー、鳥羽からはアーバンライナーみたいだね」

「あっ、白いやつね。わー、今日は運がいいね。いろいろ乗れるから楽しい」


偶然だったのだが、喜んでもらえたのならそれはよかった。

乗り換えだったから、よかったかな……思っていたのだが、次の直通まで30分以上ぼーっともなので。


「えっと、四日市到着は……17時47分ね。うん、ちょうどよさそう」

「うん?」

「海織ちゃんに、連絡ーっと」

「—―えっ?」

「いいからいいから。着いてからのお楽しみー」


斎宮さん楽しそうにメッセージまた送っていたが……うん?どうして宮町さんがまた出てきた?と思っている間に電車に乗れるようになったので、車内へ――。


16時05分—―賢島駅発車。


それから30分ほど揺られて鳥羽駅に到着した。


「ここも初めてきた。さっき駅の前にあったのが水族館だよね?」

「そうそう、あそこ良く来てたけど1日見てれる」

「えー、見てみたい。かわいい動物いるかなー。わたし来たことないし。海もめっちゃ近いしいいところだねここも。これはまた来ないと」

「いろいろ見るところあるからね」

「で……次の乗り換えは……あれ?」

「そうかな。案内放送でも言ってるし」


すでに電車は止まっていたので、ホームを移動。


16時40分—―鳥羽駅出発。


揺られ揺られ。


16時52分—―宇治山田出発。


17時15分—―伊勢中川発車。


17時47分—―定刻通り四日市に到着した。


鳥羽を、出てから少しずつ人も増えて、四日市着いた頃はなかなかの込み具合だった。四日市で、湯の山温泉行きに、乗り換えれば帰れるが。


「えっと、こっちかな?」


まだ斎宮さんに拉致されてます。

いつ解放されるのかなー。まあ嫌なことはないんだが。


「あ、いたいた。海織ちゃん」

「あ、沙夜ちゃんお帰り」

「……斎宮さん説明を――」

「あっ、楓君もおかえり」

「あーえっと…・・・ただいま?宮町さん」


駅の改札出てしばらく、普通に宮町さんがいる光景。どっかの帰りか、袋持っている。あ、そういえば斎宮さんが、宮町さんは予定があるから断られたとか言ってたか。で、なんでこうなったんだ?


「いやね、ちょうど夕方帰ってくるって海織ちゃん言ってたから。ご飯食べよって」

「なるほど」

いうことで、3人になり。駅近でどこかないか……というので探した結果。

「パスタいいね」

「うん、ここの美味しいよ、何回か来たことあるから」


女の子2名の意見でパスタ屋に決まり移動。

それなりに人がいたが、まだ満席ではなかったのですぐに案内してもらえた。


「で、沙夜ちゃん、白塚君からは反応ないの?」

「そう、見もしてないんだよー」

「そういえば既読付いてないな、柊」

グループのメッセージを見る。

「でも、2人ともどこいるの?ってはじめ思ったよ」

「拉致です」

「そう、拉致しました。ごめんね?」

「え、え?だからなんで?」

「まあまあ、楓くんと海織ちゃんはセットだからね」

「セット?」

「せ、セットじゃないよ?」

「えー。海織ちゃんさ」

「はい、ストップ。注文しようよ」

「切られた。まあ、だね。メニューメニューっと」


女の子2人楽しそうです。

俺たまに飛んでくる会話に入る。以上。

っか、なんか周りからの視線が、、、あ、そうか目立つ2人といるからだ。

それから食べ終えた後に、ふと思い出した。


「あ、そうだ、宮町さん、お土産」

「え、わざわざ?よかったのに」

「いや、せっかくだから」

「ありがと」

「あ、そうだね。忘れるところだった。はい、私からもー」

「沙夜ちゃんも?ありがとー」

忘れかけていたお土産ちゃんと渡して。

「そろそろ疲れたから、帰ろうかー。明日はよく寝れそう。って、柊なんで反応しないわけ?」


いう斎宮さんの合図でお店を後に。

そういえば……柊なんで反応なしなんだ?とか思いながら駅へと歩く。


「じゃ、私こっちだから、沙夜ちゃんに楓君おやすみー」

「うん、おやすみー」

「気を付けて」

「うん、じゃねー」


宮町さんとはホームが違うため改札で別れて、斎宮さんといつもの3両編成の電車のもとへ。その時—―。


♪♪


俺と、斎宮さんの2人のスマホが同時になる。

ということは、グループのメッセージだろうか?

と、まず斎宮さんが確認していた。すると。


「なっ」

「……どうしたの?」

「むーー。楓くん。次は山行くよ!」

「—―へっ?」


それはいきなりだった。


「見てよグループ」


斎宮さんに言われたので見てみると


「おつかれー。楓―、ありがと、わがまま娘の相手。俺、サークルの人と、登山して今帰って来たわ」


なんか眺めのいい山頂?からの景色の画像が一緒に載っていた。

あ、なるほど、だからメッセージ見てなかったのか。

って、柊なんのサークル入ってるんだろう。ほんと、っか、1つじゃないとか……と、思っていると。


「私、山もそのうち行こう。って言ったのに……柊のやつ……嫌がらせか!」


やばい――横の人キレてる。逃げたいが、周りの人の迷惑になるとだし……。


「斎宮さん。駅。ここ駅だから」

「もう!」


とりあえず、斎宮さんなだめつつ帰路に。

そのあとのことだが、宮町さんからもメッセージが来て。


「楓君、今度は私ともどっか行こうね」


と、メッセージが来ていた。

これは……また後日のこと。

いや、見た瞬間、えっ?と思うのと。なんで?というのがあったが。

宮町さんもどっか行きたいところあるのかな?いや、斎宮さんと同じ理由……え?とかいろいろ考えたかったが……。


いやね、今はお隣のどっかの誰かさんのところの方が暴れるので――。


「柊のばかー!」

「斎宮さん。車内だから。静かに」

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