第7話 休日ダイヤ ~10時51分発の偶然~

大学生生活も始まりしばらく経った。


初日では、予想してなかったが。無事新しい友人もできて、高校生活の時とは違う生活が始まっていた。

たった3人。というかもしれないが。大学行って会えば話す友人ができたことは大きなことだった。


今週は履修登録期間というのか。高校とかでいう時間割を作る期間。とでもいうのか。大学では高校とかのように決められているではなく自分で作らなければいけないので、その作業に追われていた。


1週間ほどで回った講義。その中から必須のものはすでに決まっていたが。それ以外の科目の登録作業をしていたが。まあこれが難しい。というか。どのくらい登録するべきなのだろうか。取れるだけ単位を早いうちにとれるなら取った方がいいのやら

結構悩んだ。あまり詰めすぎると大変かと思ったが。親からは留年するな。バイトより勉強しろやら言われていたので。まあ詰め込んだ。空きコマというのか。1限と5限。とかでは時間がもったいないので。

なるべく連続になるところはとった。

そのため、平日は、ほぼ大学内生活の時間割が完成していた。

まあ、ちゃんと土日は休みである。一部土曜日やらの講義もあったが。それは該当していなかった。


決めている途中、講義の間や昼休み、講義終わりなどに。3人ともいろいろ話したが。

結局みんな初めてのことなので、なんやかんや悩みながら組んでいた。

柊は早々と作った言っていたが。

斎宮さんは、「詰め込みすぎたら絶対嫌になってひきこもる」やら言ってたり。

宮町さんは、「1年2年で単位稼いでおいた方があと楽じゃないかな?」と、言っていたが。まあ、俺も後者。後であわてるより。と思い詰め込んだ。


無事期限内に4人とも完成。

他の3人がどんな時間割かは知らないが。

できたというのはこの前昼休みに話したので知っている。

まあ、同じ学年なので同じ講義も多々ある。選択などが少し違うくらい。


履修登録も済ませ。今日は土曜日。休日である。

特に予定はなかったが。ノートやら少しほしいものもあった。

大学内の売店で買ってもよかったが。この後テキスト購入やらもあるらしく。混みそうなので他で買えるものは他で買っておくことにした。


雑貨買うならと……考えたときこの辺りより市内に出た方がいろいろあるかと思い。市内に行くことにした。


ちなみに、今週は1度も時刻表をもって大学へは行ってない。というか。それが普通と思うのだが……。

はじめがおかしかったのか。とにかく少しぶりに時刻表見て、


「今からだと……休日ダイヤの……四日市方面は……10時17分か」


時計見ながら確認。今から歩いて駅向かっても余裕の時間。準備して出かける。


よく考えたら大学方面以外に乗るのはこっちに来るとき以来である。

駅に着いたら券売機で切符を買う。定期区間ではないので、普通に切符を購入する必要がある。

川島。四日市間なので230円。

出てきた切符を持ち改札を抜ける。


それからしばらくして、いつもの電車が入ってくる。

四日市までは10分弱くらいか。あっという間だ。


休日ということもあり、四日市に着くころにはそれなりの乗車率に。

四日市駅は特急停車駅で、名古屋、大阪、伊勢志摩方面の直通が走っているため。本数もそれなりにある。

ちょうど名古屋方面の急行が入ってきていたからか。着くと同時に走り出す人がいた。

同じホームではなく。階段を下って、上る。なので結構ハードな乗り換え。

俺は乗り換えとかではなくここが目的地のため。

急ぐ必要はないのでゆっくり降りた。

その時には急行はゆっくり走り出していた。

うん。やっぱりハードな乗り換えだ。


四日市は駅周辺にそれなりにお店がある。

人も結構駅周辺歩いているし。タクシ、バスもいる。

が、ほぼ初めての俺。何がどこにあるかわからないので、とりあえず改札出て、案内板を見ていると。


「あれ?楓君?」

「……マジですか」


ひょっとしたらストーカー。ではないと思うが。

案内板見ていたら。隣に宮町さんが立っていた。

なんかこのパターン多いなと。行動が似ているのだろうか。


「買い物?」

「あ、うん。ちょっと雑貨買いに」

「そうなんだ。私は本買いに。ここが一番大きいから」

「確かに大学の近くとか本屋さんないから。そうか。ここが一番多きのか。後で見とくか」

「楓君も本よく読む?」

「えっ、あ、コミックやライトノベルだけどね。暇つぶしにはいいから」

「あー。わかるわかる。一人だと何かと時間余るからね。あ、邪魔した?もしかして誰かと待ち合わせ?」

「いやいや一人だよ」

「なら、一緒に本屋見に行く?案内するよ?」

「え、あー、うん。ならお願いしようかな。ところで、宮町さんはいいの?誰かととかじゃ」

「大丈夫大丈夫。私も1人だから」

と、言うことで。そのまま宮町さんに本屋へと案内してもらった。

かなり大きい本屋でいろいろとあった。


にしても、周りから見たら俺と宮町さんどう見えるのだろうか。

自分でも思っているのだが、多分俺はパッとしない感じだと思う。が、宮町さんはオーラが違う。一緒にいてよいものか。宮町さんはそういうの気にしないのだろうか?俺が気にしすぎなのか。

うーん。と、歩いているときに考えながら付いていく。


しばらく本屋滞在。広いのでいろいろ見るところがあった。

結局買う予定にはなかったが、欲しかった本を見つけたため購入。


「いいのあった?」

「あ、うん、ちょうどほしかった本が」

「私も。楓君あとはどこ見るの?」

「えっ、あー雑貨。文具ちょっと見たくて」

「なるほど、じゃ、こっち」

「えっ」

「ほらほら」


文具の方にも宮町さんの案内付き。後ろをついていくことに。

どこに行くのだろうと思ったら駅ビル?というのか。その中だったためかなり近かった。


「ここそれなりにあるよ」

「ほんとだ、種類もあるね」

「でしょ、駅にも近いし。この前大学帰りに見つけたんだ」

「そうか、宮町さん定期区間だから乗り降りできるからね」

「そう、乗り換えで絶対降りるから探索もしてたから」


と、案内してもらった文具店でしばらくそれぞれ買い物。

とりあえず、欲しかったものは買い。本日の目的終了。

すると。


「楓君まだ時間ある?」

「え?まあ、なにも予定ないけど」

「じゃあ早いけどお昼食べない?今なら空いてると思うし」

「え、まあ、いいけど」

「少し歩いたところにカフェあったんだ。行ってみない?」

「お任せします」


それから、宮町さんの行きたかったというカフェに向かった。ちょっとお昼には早いからか混雑はしていなかった。

と、いうかまさか。休日に女の子とカフェにいるとは、数週間前の俺では考えられない。


最近よく話すからか前ほどの変な緊張はしなくなってきた気もするが。

それでもやっぱり宮町さん目立つから。俺としては周りが気になる。

気にしなければいいんだろうが。やっぱり。気になる。


「美味しそう!」


と、俺がいろいろ思ってる前で、宮町さんいきなりスイーツ頼んでいた。そして運ばれて来るなり。スマホで写真を撮っていた。

いや、パンケーキ?みたいな感じだから……どうなんだろう?軽食?スイーツ?

ちなみにこういう店になかなか来ない俺。わからないので、おすすめと書いてあったランチセットのサンドイッチを食べている。


「楓君は休みの日何してるの?」

「え、うーん。基本家?かな」

「あ、そうなんだ、なんか電車乗っていろいろ行ってるイメージあったけど」

「いや、そこまでは、たまにはあったけど」

「私は結構1人でぶらーっとどっか行くかな」

「そうなんだ」

「うん。目的地決めないで。ぶらり旅みたいな?かな」

「なんかいいね。そういうの」

「でしょ。で、大学でこっちに来たから。まだ行ったところないから。そのうちいろいろ見ようかな。って」

「宮町さん結構、アウトドア派?」

「どうだろう。でも家にいるときはずっと家かなー」


など、話しながらお昼を食べ、その後も飲み物でしばらく話していた。

今思えば自分でもびっくり。こんなに女の子と1対1で話せるとは。


なんか、小学生くらいまではそんなに気にしないで話せた気がするが。

中学、高校は誰かと話をするが。記憶にあまりないから。

不思議な感じもあった。宮町さんのオーラが話しやすいのか。

そこはわからないが、宮町さんと話しているときに話しにくさはなかった。


ピロリン。


すると、宮町さんのスマホがなる。


「あ、反応した。反応した」

「?」


なんだろうと思っていると。


「沙夜ちゃんに、さっきの写真送ったんだ。食べたいだって」

「あ、なるほど」

「完食ー。って、返しとこ」


と、スマホの画面を見せてくれた。メッセージ画面でかわいいキャラが、ずるいずるい。と動いていた。

斎宮さんとはほんと仲良くなったみたいで、よく大学でも話しているし。

連絡も頻繁にしているみたいだ。

俺は、、、そんなにないか。まあ前よりはスマホも使うが。

主に柊が何かと連絡してくるから。まあそれが助かっているが。

自分から何かというのは、まだない気がする。


それからお店を後にした。


「いやー。話したね」

「久しぶりにこんなに話した気がするよ」

「そう?」

「いや、大学とか普段でもそんなに多く話すことないから」

「じゃあ、また話そう!」

「え?」

「嫌?」

「いや、そんなことはないけど。むしろ……うん。いい気分転換みたいな……」

「よかったー。じゃ、また大学でね。私、食品の買い物して帰るから。ごめんねいろいろ付き合わせて」

「そんなんことないよ。こっちの買い物もできたし」

「ならよかった。じゃ、またねー」


と、駅近くで別れた。それからホームへ向かい俺も帰る。

急なことでいろいろあって、宮町さんと行動することになったが。

なかなか充実した、休日となった。

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