第55話 ユダヤのラビ

 あるとき、カトリックの神父とプロテスタントの牧師とユダヤのラビが出会った。


 三人は寄付金から、どれだけ自分の取り分にするかという話をした。


 神父が発言した。


「自分を中心に円を描くんですよ。それからお金を空に投げて、円の中に落ちた分を私の取り分、円の外に落ちた分を神の取り分としています」


 牧師が発言した。


「私も似たり寄ったりですね。地面にまっすぐな線を引いてから、空にお金を投げます。左に落ちた分を私の取り分、右に落ちた分を神の取り分としています」


 ラビが発言した。


「誰しも考えることは変わりませんな。私も空にお金を投げます。そして、落ちた分は私の取り分、落ちてこなかった分を神の取り分としています」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る