枯渇

作者 saw

「普通に生きてきた人は、幸せが続くと信じて疑わないんです。」

  • ★★★ Excellent!!!

レビュータイトルは本文から。

死というものは、わたしたち人間が生物である限り、決して避けることのできない陥穽のようなもので、そして、その訪れを予期することもできない。わたしたちは明日死ぬかもしれないし、十年後死ぬかもしれないし、五十年後死ぬかもしれないし、一分後に死ぬかもしれない。

そこに至るまでに、人生という、幸せだったり不幸せだったりする長い暇つぶしがあるだけだと、わたしは考えています。人生が幸せか不幸せか、人間は自分のこととなるとことさらに騒ぎ立てますが、全ては程度問題のような気もしています。

だってみんな死ぬのだし。

「人間は必ず死ぬから幸せなうちに死んでおく」という思想は、まあ間違いではないなとわたしも思ったりします。

最後の男の台詞は、その境界線を超えてしまった人間として、「普通」を生きている家政婦が、理解できなくても仕方がない、という諦念の言葉だと受け取りました。

よい死の物語でした。ありがとうございます。

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