第4章 邂逅

第1話

朝7時。目覚ましが鳴るより早く起きる。昨日は久しぶりに長く人と接したのと初対面かつ三人に散々揶揄われ疲れたのか、いつの間にか寝てしまっていたから。二度寝をしたいところだが無理やり体を起す。

 今日は昨日と違い若干暖かい。しかし寒くなるかもしれないと一応シャツの下にTシャツを着こんでシャツに腕を通す。

 帰りが寒くなることを予想して念の為にパーカーを鞄に詰め、学ランと紙袋を手に取り一階へ降りていった。いつものようにパンと珈琲をセットし朝のルーティーンを開始する。


 顔を洗っていると父親が姿を見せる。

「今日は早いな」

「おはよう。寝るのが早かったからな」

「そうか、お金は5万置いとく。父さんのTシャツをそこから買っといてくれ。余ったら小遣いにでもして服でも買いにショッピングでもしたらいい」

「何枚? コックコートにの下に着る用?」

「あ、ああ~そうだ。え~い、いや2枚でいい」

「了解」

「じゃ頼むな。いってくる」

「行ってらっしゃい」

 そう言って一は仕事に出かけた。郁はリビングに行き朝食をとりながらぼそりと呟く。

「なにを珍しく気にかけているのやら……バレバレな嘘いいやがって……」

 そう呟いて朝の準備をし、郁も登校の準備をすすめる。


「さてそろそろ行くか」

 学ランを羽織り鞄を肩にかけ、昨日用意しといた紙袋に手にとろうとして一瞬手が止まる

「またこれを着ることになるとはな……」

 そう呟き家をあとにする。


 紙袋の中身はバスケ時代ランニング用で使っていたジャージだった。


 今日の外は昨日とは違いほのかに暖かさがあり、綺麗な青空が広がっていた。


 登校し朝から終業式の演習をする。大半の生徒が卒業式でもないのに演習とはなにすんの? と疑問に浮かべるが決まっているものは仕方ない。この学校は本当に公立の中では進学校なのかと疑いたくなることが、結構あったりするので皆この一年で慣れてしまったこともあり、授業があるよりましかと、もくもくと支持に従ってこなしていく。


 今日は昼までなのであっというまにHRになり担任が連絡事項を述べている

「明日は終業式やって、通知表渡して終わりだ。あとは明日に言うことなんだが面倒だから今伝える。始業式は4月7日だ。で、登校してきたら掲示板にクラス表貼ってるから、それ見て各々クラスへ行くように。あと落合は残れ。以上だ」 

 ほんとこの担任は適当だ。これで教職で人気があるのだから世の中わからないものだ。

 そう言った瞬間、昨日の再現が起きる。 


「落合! 帰ろうぜ!」

「古賀! うるさい! あと早い! って昨日も言ったな! お前HRうけてるのか!?」

「受けてますよ。たぶん」

「たぶんとはなんだ! たぶんとは! まぁいい。ちょうどいいからお前もこっち来い」

「うっす」

 なんなんだろうか、このコントはと呼ばれた郁は行きたくない気持ちを全面に出しながら教壇まで行く。


「なにをそんな嫌な顔をしている。これからは俺のとこに来る事も多いのに」

「どういう意味でしょうか? 俺何かしましたかね?」

 担任の言葉に意味がわからない郁。

「柔道部、入ったんだろ? 俺が顧問だ。名前だけどな」

 そう言って郁の肩を掴む。

「そう名前だけな!」

 そう言った俊彦は拳骨をくらっていた。

「そういうことで引退まで面倒みてやるから。あと本当に素人だから柔道については答えられん。それ以外の事で何かあるなら相談に来い」


 相談にはのるつもりのようで一応教師してるんだなと郁はつぶやく。

「あのな、聞こえてるぞ? 漏れてるぞ? まぁそゆことだ。でお前たちが部長やるんだ?」

「部長? それはもう福本部長っているじゃないですか」

「あれは女子柔道部部長だ。男もいるだろ。本来はあの事件があるまではいたんだからな」

「そうですか、なら古賀でしょう。俺は素人だし」

 そういう事かと納得し郁は古賀を推薦する。


「そうか、と言ってるが古賀、お前でいいのか?」

「はい。それでいいです。誘ったのは俺だしな。まだ中学からここ来てたし、わからなかったら兄貴に聞きます」

「わかった。じゃそれだけだ。一応今日から男子部員がやるってことで見に行くから。まぁ監修と言うなの監視だがな」

「ぶっちゃけすぎ!」

 そう言って担任と俊彦は盛大に笑っていて、なんかこのタイプの人間が多くなってないか? と郁もとりあえず無理に笑った。

「ということでお前たちは心配してないが一応言わんといけないから言っておく。あのバカ共みたいに問題起こすなよ?」

「うっす」「はい」

「じゃ。行っていいぞ」

「「失礼します」」


 教室を後にした郁達は部室へと来ていた。

「で? このあとは? 昼食べずに練習か?」

 とりあえず終われば集合と運動着を持ってくる事しか言われておらず古賀に尋ねる。

「今日はとりあえず、何にもしない! 本格的な練習は明日からだ。明日も今日と同じ時間に終わるだろうから2時からだ。帰って食ってからかここで食べてから集合だな」

「なんだよ、それなら荷物なんで用意させたんだよ」

「いやほんとはその予定だったんだが、先輩らが遊びたいんだとよ。てことで荷物は部室置いとけ」

「遊びたいって……」

 本当に緩い部活に呆れてしまい俯く郁。そんな時頭にふわっとそえられ撫でられた。


「何を落ち込んでるんですか?」

 顔を上げると背後から微笑んで見下ろして撫でている百華の顔。

 またしても固まる郁。すると逆側からも手の感触がする。

「かーくん、待った?」

 声の方向に顔を向けると同じようにニコニコ顔の真帆の顔。

 そして郁は昨日と同じように揶揄われる一日になるんだろうなぁと考え、力なく答えるのだった。

「全く……待ってません……」

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