第272話インフルエンサーと爆上がりたなりん株
「電話が繋がる、ラインのコールが鳴るってことはシャバにいるってこと」
「え、そうなの。間宮君」
「ああ。だからシャバのどっかにいるのは間違いねえと思う。懸賞金でもかける?ああいうのって相場いくらぐらい?」
「え?懸賞金?うちの連中に声かけるの?」
「そんなかったりいことしねえよ」
そう言ってスマホを弄る間宮。たまねぎ(トーア)の入った他人名義の三台のスマホでツイッター捨て垢ではない健全そうなアカウントを開く。作ったばかりの捨て垢に意味はない。それなりの期間利用され、それなりに使い込まれたアカウント。そういうアカウントをいくつか購入して持っていた。それを使う。
「うーん。とりあえず忍だけでいっかあ」
そう言いながら忍の鮮明な顔写真と個人情報が入ったツイート。
『友人がこの男から性的被害を受けました。どうしても許せない思いでツイートしました。有益な情報には謝礼(十万円~。当事者に繋がる情報にはそれなりの金額をと考えております。まずはDMでお願いします)をお支払いします。
#人探し
#藻府藻府
#中山忍』
ご丁寧にスマホのメモ機能で書かれた『どんなことをされたか』のスクショまで添付されたツイート。〇年〇月〇日〇時ぐらい。〇〇県○○市○○町○○駅から移動中にいきなり頭部を鈍器のようなもので殴られる。そのまま車?(本人の記憶が曖昧であることと、ショックで未だに正確な聞き取りが出来てません)で連れ去られ数人から強姦の被害。友人は今もショックで引きこもってます。三人の有志で懸命に探しましたがようやく加害者のリーダー格の男の名前などは分かりました。本名:中山忍、住所〇〇県○○市○○町〇〇―〇。自宅には戻ってないようです。
忍の写真は藻府藻府の特攻服を着たもの。
「えー。間宮君。これはまずくない?大丈夫なの?」
「そうなの?知らね。こんなハッシュタグ使うの初めてだし。そもそもこういうのあんま使わねえし」
「効果あんのかなあ。でも実名に顔出し写真はキツイかなあ」
そしてそのままスマホをスピーカーモードにし、電話をかける間宮。
「はい」
「オレオレ。間宮」
「間宮さんですか?どうされました?」
「今よお。うちの人間のツイッターアカウントでハッシュタグっての?藻府藻府とうちにいた中山忍でハッシュタグつけて呟かせたから。そっちで拡散しといてくれる。そういうの得意だろ。お前」
「少々お待ちください。あ、この人探しのハッシュタグが付いたものですか」
「そうそう」
「分かりました。すぐに拡散しておきます」
「よろしくね」
そう言って電話を切る間宮。
「今の誰?」
「インフルエンサーって奴?知らんけど」
一方。
「あと二日。二日で残った三原と天草を狩れ。探せ。負傷してようがあいつらは大人しくしてるようなタマじゃねえ」
「おす!」
『藻府藻府』による元『藻府藻府』の天草、三原狩りが宮部の号令で続けられる。江戸川は宮部と勝の一方的なラッシュにより潰した。
「あと、世良には手を出すな。うちが動いてりゃどっかでぶつかるかもしれねえがあいつのことは俺がサシでやる。たなりんのツレでもあるんでな。俺も実際に会ったが比留間やマシマシとは全然ちげー」
「え?お前、世良とツラぁ合わせたの?」
「おお」
「いつ?」
「今朝。マックで」
「何ぃーーーー!?」
「たなりんも一緒だったからよ。たなりんと朝マック行こうぜってなって。行ったら世良も朝マック食いに来てよ。しかも間宮と二人で」
「何ぃーーーーー!?間宮と二人でえええええええええええ!?」
「ああ。たなりんがいなきゃ修羅場になっててもおかしくなかったわ」
「え?たなりんがいなきゃ?修羅場?マジか?」
「まあ、世良もたなりんには頭が上がらねえみたいだからよ」
「マジか…。あの世良が…。たなりんって…ナニモンだよ…。あのエコや冴羽をもってして『モノが違う』と言わしめたあの世良が…頭が上がらねえって…」
たなりんにざわつく十代目『藻府藻府』メンバー。
「そのたなりんと飯塚さん、田所さんは途中から合流するからよ。いいな」
「おす!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます