第238話キセキの世代の七人目
「そう言うわけでして。田所さんに飯塚さん、この三日間は要チェックですよ」
宮部から元『藻府藻府』の三原、江戸川、天草のことを聞く田所と飯塚。飯塚の部屋で緊急会議的なものである。
「へえー。でもいい動画が取れそうだね。内容からして『たなりん』のVチューブで流すとオモシロそうだし」
「で、その三人ってナニモンなんすか?」
「あれ?自分ら世代だとかなり有名なんですが。やっぱり田所さんぐらいになると知られてないようですね。まあ自分もOB連中に『藻府藻府』は九代目の京山しか知らんと言われてる始末ですからね。自分ら世代では有名な馬鹿どもなんです」
「うーん、三原…、江戸川…、天草…。ごめん。宮部っち。俺も知らねえーわ」
「そりゃあそうですよ。京山さんが別格過ぎですんで。京山さんの名前は自分らの世代でも多少粋がってる連中なら誰でも知ってましたので。むしろ知らない奴はもぐりどころか『にわか』でしたね」
へえ。健司ってそんなにすごいんだと思う飯塚。
「おほん。こほん。まあ、私も世代ではナンバーワンと呼ばれてましたが。おやじの教え曰く『キセキの世代の七人目』と言われてましたっすねえ」
田所のあんさん…。神内さんの教えもいいけどなんですかそれ?怒られますよ、それにあれは幻の六人目が主役でしょ?と思う飯塚。ポカーンとする宮部。
「田所さん…。あれって六人目が主役の…」
「いえ。おやじの教えでは七人目が自分なんす。その名も『金保留』!でも結構期待だけ持たせてあっさり外れるんで周りからは使えねえなあーと言われたもんすねえ…」
遠い目でタバコを吸う田所。飯塚の部屋を汚さないように。場の空気を引き締めようと宮部が言う。
「まあ、うちのメンバーが今その三人を探してます。何かあれば自分の方へ連絡が来るようになってます。すぐに動けるように準備だけはしといてください。前にトンキの駐車場でマシマシと比留間を潰したじゃないですか」
「ああ、あのポン刀振り回してたのとウルフマンか力士マンかどっちが正解やねん!はっきりせえよ君っすね」
うーん、だよなあ、ウルフマンと力士マンってどっちが正しいかすぐには出てこないもんなあと思う飯塚。
「ええ。あの二人レベルでも瞬殺できるレベルと思っててください。自分や新藤、うちのメンバーでもサシでやれば絶対勝てるとは言い切れないレベルです」
「へえー。宮部っちレベルねえ。あ、そういや心の師匠であるたなりん君は遅いっすね」
「あー、そういや今日、たなりんから誘われてたの断っちゃったんだよなあー」
「え?飯塚さんもですか?」
「うん。ことぶきん屋の『あるらきゅうへいあおい』再販バージョンの発売日だったでしょ」
「そうです。それで『ホビーショップみえね屋』へ一緒にって。自分はさすがに地元なんであそこには行けませんので。マメゾンでポチリましたが」
「ああーーーー。俺も同じくだよ…。たなりん、また拗ねなければいいんだけど…」
「やっぱり『合わせ目』が一番気になるでござるよね」
「そうそう!分かるー!少しでも線が残ると許せなくなるよね」
たなりんに最後の一体であった『あるらきゅうへいあおい』を譲ってもらった世良義経はお礼として『ホビーショップみえね屋』のカードバトルコーナーでたなりんにジュースを奢り、一緒にジュースを飲みながら『いかにことぶきん屋が素晴らしいか』を語り合っていた。
「やっぱり基本は『ケツ』だと思うなりね。そう思いませんかでござるよ」
「だね。『ケツ』大事!『まてりあー』で『ケツ』をがっつりかつ丁寧にヤスってさあ」
「そうそうそう!なり!パンツのデカールなんか貼るわけないなりよ!」
「それな。あれ貼る奴いんのかなあ。そっから『おーらい』もよかったし」
「『おーらい』のポニーテールがまたなりよ!あれこそ『合わせ目』でガンガンヤスってなり!でも『ことぶきん屋』も味をしめて最近は価格が強気なのだけがマイナスなりね」
「ホントそれ。いやあ、今日はたなりん君と出会えてよかったよ!俺は…、『つねりん』とでも呼んでくれよ!世良って言うんだけど『たなりん』『つねりん』でこれからはいこうよ!」
たなりんは世良義経とラインの交換をしていた。
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