第183話悪魔の目

 アプリとは様々なものが存在する。パソコンならソフト。スマホならアプリ。便利なものから基本無料、課金や広告で収入を得られるよう開発される。ただし、海外の怪しいアプリ。国によってダウンロードできないものも多い。そういう面でいえばアイフォンはお上品、アンドロイドはなんでもありな面がある。「ケルベロス」と呼ばれるアプリが存在する。そのアプリはまず『アイコン』が画面に表示されない。そして『ケルベロス』がインストールされたスマホは遠隔で使用者本人に気付かれずいろいろ出来る。GPS機能で位置情報も分かる。通話内容を盗聴することも出来る。遠隔コントロールで操れる。『不正指令電磁的記録共用』としてこのアプリを悪用することは日本では犯罪である。そして間宮はそんなかったるい真似はしない。現在、この世には『ラインライト』というものが存在する。文字通り『ライン』の簡素化版。日本国内ではグーグルプレイからは入手出来ない。またお上品なアイフォンでは基本使えない。その『ラインライト』とはアンドロイドでは簡単に使用できる。そしてスマホから専用サイトでダウンロードできる。この『ラインライト』を使えばメインアカウントを二台のスマホで使用することが出来る。メインのラインは通常使用で。そしてもう一台のスマホ、『ラインライト』をインストールしたアンドロイドスマホでもメインアカウントを操作できる。出来ないことはスタンプが遅れないことや壁紙設定などが出来ないだけ。簡単に説明すれば『ライン』をインストールしているスマホで通話してようが、もう一台の、『ラインライト』をインストールしているアンドロイドスマホで『ライン』機能を同時に使うことが出来る。逆もまた可能である。『ラインライト』で通話しながらメインのスマホを同時に使うことも出来、いろいろと便利である。そして『ラインライト』だと『グループライン』で誰が既読をつけたかも簡単に分かる。そして。もし、他人のラインアカウントを使用者に気付かれずに別のスマホにインストールされた『ラインライト』と紐付けすることが出来れば。結果、他人の『ライン』の使用状況が簡単に把握できる。送った画像からメッセージもスクショできる。メッセージのやり取りもスクショできる。通話内容までは把握できないがそんなものは必要ではない。『ライン』と同じように既読をつけてないメッセージは『ラインライト』でも通知を知らせる数字が表示される。それが消えれば、つまり『ライン』本体を使っているものが既読をつけたものはそこからいくらでも閲覧可能となる。そして誰と繋がっているかもわかる。バレるのを覚悟すれば通話発信も可能である。間宮は先ほどの奪ったスマホの『ライン』を自分の別で用意した『ラインライト』がインストールされているスマホと紐付けした。紐付け方法は簡単でその二台のスマホでどちらかにQRコードを表示させ、それを読み取れば紐付けは終わる。そして持ち主が『ラインライト』を使用していなければ、『それ』をされても絶対に気付くことは不可能である。そしてこの日本で『ラインライト』の存在は知られているようで知られていない。間宮が言っていた『爆弾のスイッチ』とはこのことである。『ライン』アカウントにはこれまで過去ログが残っている。簡単には新しいものには変更したくない。何とかしてスマホの持ち主はスマホを新しくしても『ラインアカウント』は引継ぎさせる。結果、男の『ライン』情報は間宮へと筒抜けとなる。間宮はそういう『ラインライト』をインストールしているスマホを何十台と持っている。また、現在使用中、つまり『ライン』情報を抜きまくっているアカウントもいくつか所持している。


※『ラインライト』のサービスは令和四年二月末をもって終了となります。

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