第168話みねうちともみなり!
「…という訳なんですよ。田所のあんさん」
「ちょ、ちょい待ってくださいよ。飯塚ちゃん。えーと、ラインの誤送信っすか?」
自分のせいでちょっと明日は修羅場になっちゃいますよ、と説明する飯塚。と、同時に、なかなかたなりんの説明が難しいなあと思う飯塚。
「ええ、宮部っちに送ったつもりだったんですが…」
「でも説明を聞いてると飯塚ちゃんの『弟分』であり、あの『宮部っち』の『アニキ分』でもあるんですよね。その『たなりん』君は。『兄弟分』なら話し合えば分かり合えるんじゃないっすかねえ」
いえ、話し合っても話し合いにならないんですよ…と思う飯塚。そんな飯塚へ拳を掲げながら熱く語る田所。
「漢なら話し合いで『解決』しない時は『これ』で語り合えばいいんすよ!」
いえ、宮部っちとたなりんが『拳』で語り合えば…、自転車がダンプカーに勝てますか?と思う飯塚。と、同時にヤムチャがフリーザ、いや、地球に最初に着た時のベジータ…、うーん、さすがに『あの時』のベジータには最後の方のヤムチャなら勝つか…、あれ?ヤムチャって最後の方ってどれぐらいの戦闘能力があったっけ…、いやいや、そんな例えはどうでもいい!とにかくそんな簡単な話ではないんですよ!と思う飯塚。
「いや…、今回の件は完全に僕のせいですし…。宮部っちも『たなりん』君には一切手を出さないでしょうし…」
「ほお…。さすが宮部っち。腰が据わってますねえ。アニキ分には逆らわないんすね。健司にも最初は手を焼いたもんっすよ。昔を思い出すなあ…」
「…。なので、明日の日曜日はちょっと席を外してもらっていいですか?」
「え?いやいや。自分は黙って見てますから。見たいじゃないですか。その『たなりん』君。飯塚ちゃんの『弟分』ならこれは回り兄弟っすよ。あの宮部っちの健司とはまた違う『アニキ分』でしょ。いやあ、これは絶対見たい!会いたい!是非紹介してもらいたいっすねエ!」
「…ホントに見るだけですよ…」
うわー、ハードルがあー!実写版『まるおすえお』君を見たら田所のあんさんはあ!とか、『たなりん』みたいなタイプは逆に怖い!『肉球会』に『藻府藻府』に『まるおすえお』君ですよ!『混ぜるな危険』ですよ!と心の俳句どころか心の筋肉少女帯が熱唱し始める飯塚。そして田所が一言。
「よし。こうしましょう。自分が見て『たなりん』君に光るものを感じたらスカウトしてもいいっすか?」
「はい?」
「いや、これはもう運命と言いますか。『四人目の組チューバー』の匂いをプンプン感じましてね」
うーん、もうそれが一番手っ取り早いかなあ…とも思う飯塚。田所のあんさんもこう見えて僕より大人だし…、でも…、宮部っちの『趣味』のことは…。
~そして日曜日~
「せ、せ、正座するのですよ!」
たなりんが拳を振り上げながら精一杯頑張る。え?どっかで…、あ、実写版『まるおすえお』君か…、え?これが宮部っち?寝起きっすか…?と思う田所。
そして手刀を宮部へと振り落とすたなりん。
「安心するなり!今のは嶺内ともみなり!」
『(お、おやじの教えを…。この『たなりん』君は只者ではない…!)』
思わず飯塚、宮部の隣に並んで一緒に正座する田所であった。
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