第151話eスポと半グレ。どっちが儲かるんだろう。
十代目『藻府藻府』集会所にて。
「俺抜きで楽しみやがって…」
「まあまあ。そう拗ねるなよ。長谷部ぇー」
「そうそう。これからガンガン暴れられるからよお」
「それより長谷部。『模索模索』の方は調べてくれたか」
「おす。だいぶ分かったよ」
「おめえの情報はまとめサイトにも載ってねえからな。で」
「ああ。ザコはいいとして間宮の下に幹部クラスが五人だ。うちを割った忍と軍紀。あと世良と比留間と鹿島っつう奴だな」
「比留間と鹿島…。あいつらが間宮の『下』についたのか…」
「世良って聞いたことねえな。知ってる?」
「知らねえ」
「ありがとうよ。長谷部」
「おす。それより『蜜気魔薄組』の方はいいのかよ」
「ああ、そっちはまた『蛇の道は蛇』ってやつだ」
「いいんじゃね。なんじぇいにも載ってねえし」
「比留間のバカが間宮の下にねえ。あのバカを躾やがったのか」
「つーか、あいつがシャバにいんのが不思議だわ。あのバカさあ。その辺の小僧の学ランにオイルぶっかけて火を点けまわってたんじゃねえの」
「それなあ。燃える学ランを見ながらゲラゲラ笑ってたってんだろ。キチガイにもほどがあるっつうか…。バカだよな」
「新藤が一回シメたんだろ。あれからよくうちにつっかかって来てたよなあ。新藤。あのバカどうよ」
「ん?たいしたことねえよ。ただのバカだよ」
言葉とは裏腹に新藤は思う。比留間はつええ、と。
「鹿島ってあの『マシマシ』だろ」
「ラーメン好きなの?あいつって」
「いや、中田氏みたいなもんだって。鹿島氏で『マシマシ』」
「そうなの?長谷部。おりゃあ『エレカシ』から来てるって聞いたことあるけど」
「どっちでもいいよ。あのバカも宮部がシメたんだよな」
「ああ。中坊の時から何度もつっかかってきてたなあ。あのバカは道具ばっか使うんだよ。『なんでもあり』でケンカも数だろうと道具だろうととにかく『勝てばいい』って野郎だ」
「あのバカもチーム組んでうちに何度もつっかかって来てたよな。『宇佐二夜』だっけ。数はやたら多かったけどそのまま間宮の下にって訳なの?」
「ああ。でも『宇佐二夜』は数は多いけど名前が売れてる奴っていねえよな」
「知らね」
「で、長谷部よお。その世良っつうのはどういう奴なんだ?ルーキーデビュー?新しくどっかからきた奴?」
「あんまり情報がまだねえな。ただ分かったことが一つ。間宮の『ツレ』だってこと」
「長谷部ありがとう。助かるよ。これからもいろいろ引き続き集めてくれ」
「おす」
部屋で友達と格闘ゲームに興じるジャニーズのようなイケメン爽やかボーイ。
「あ!くそー。負けちった」
「世良さん。すいません。でもガチプレイなんで」
「馬鹿野郎。俺は『eスポ』目指してんだからガチでやらなきゃ意味ねえし。もう一回やろうぜ」
「はい」
「ゲームやって金貰えるっていいよね。プロになるとかなり貰えるんだろ?なんかプロゴルファーやプロテニスプレイヤーより稼げるって。いいよねえ。あ、くそ。うわうわ」
そしてコントローラーを液晶に思い切りぶん投げる世良。そしてゲーム機本体を思い切り蹴り飛ばす世良。
「すいません…。世良さん」
「なんで?ガチでやらなきゃ意味ねえじゃん。それより新しい本体と液晶買って来いよ」
「はい!」
「あ、それからさあ。間宮君と意見が割れちゃってさあ。これからは間宮君の敵になるから。『eスポ』より儲かるかもね」
間宮と五人の悪党たちにこれから多くの悪どもが踊らされることとなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます