第140話『ぶっかけてみた!』

「でもあれっすね。よく健司の後輩の連絡先を知ってましたね。宮部君ですよね」


 編集作業をしながら飯塚と会話する田所。あ!そうだよなあ、よくよく考えると健司も飛び越えて今回は宮部っちと直でやりとりしたんだもんなあ、と思う飯塚。


「そうですね。宮部っちです」


「え、仲いいんすね」


 あ!そう言えば宮部っちは『オタク友達』であり、『同じ趣味』で繋がった兄弟なんですとは言えないし他の人には秘密にって言ってたよな…、と思う飯塚。


「ええ、まあ…、共通の友人と言いますか…、お友達がいまして。それでお互いに連絡先を交換してましたんで…」


「へえー。名門『藻府藻府』のトップと『マブダチ』で共通の『ツレ』っすかあ。なんかそのお友達もやっぱ『イケイケ』なんすかね。今度、自分にも『紹介』してくださいっすよ」


 いえいえいえいえいえ!共通のお友達は『たなりん君』ですよ!まあ、『イケイケ』なのは間違ってませんが…、田所のあんさんにたなりん君を紹介?無理無理無理無理!と思う飯塚。と、同時にパンチパーマを無理やり7・3にしている田所のあんさんとたなりん君と一緒に『コミケ』に行くことを想像してみる飯塚。と、同時に、やばい!やばい!やばい!と思う飯塚。


「ヤバいですよ…」


「え?そんなに『ヤバい』奴なんですか!?へえ…、飯塚ちゃんが言うぐらいなら相当『ヤバい』んでしょうねえ…。それにしてもあの『宮部』君とすでに『マブ』とは…。さすが飯塚の兄弟っすね」


 ああ…、実は宮部っちもたなりん君とも『兄弟』なんです…と思う飯塚。と、同時に、『登園の誓い』を思い出す飯塚。と、同時に、あ、でも今回はたなりん君が宮部っちを紹介してくれたから直で連絡も取れたんだよなあ、たなりん君にお礼の連絡をしておかないとと思う飯塚。そしてたなりんに『ありがとうライン』を送る飯塚。


「ええ、とっても『頼もしい』ツレですね」


 そして作業も同時に行う田所と飯塚。するといきなり飯塚のスマホがなる。画面には『たなりん』の表示。


「あ、電話ですよ」


 まじかー!と思う飯塚。そして部屋を出て電話に出る飯塚。


「あ、もしもし」


「あ!飯塚の兄者ですか!一人寂しいたなりんに連絡をくれてありがとうでござるです!今、ちょうど『コイパツ三者面談』をやってたところであります!」


「あ、そうなんだ…」


「ええ!末弟の宮部っちには内緒で『コイパツ三者面談』をダウンロードで購入したのでござる!いやあー、買って正解でした!兄者も是非買うべきです!VRモードが『ヤバい』でござる!」


「そうなんだ…、実は今、職場でね…。ちょっと仕事中なのね」


「え!?お仕事中でありましたか!それはすいませんでござる!お仕事とは…、ひょっとして『ユーチューバー』の方でありますか!?」


「うん…。そう…。動画の編集中でね…」


「ひょっとして…『ぶっかけてみた!』とかですか!?」


 まあ…、『ぶっ飛ばしてみた』みたいなもんだから同じようなものかなあ…と思う飯塚。と、同時に、やっぱり田所のあんさんにたなりんを紹介するのは危険すぎると思う飯塚であった。



 一方その頃。


「え?こんな金払えないってなったらどうなるんですか?」


「それはお客さんにちょっと『痛い目』にあってもらうことになりますね」


 ぼったくりバー潜入系のユーチューブを見て勉強中の二ノ宮のおじき。


「(…。普通はこんなまどろっこしいこと言う前にぶん殴るかさらうやろ…。こんなん言葉で言うてる時点で『脅す』気しかないやろ。つーか、こんなんで『脅される』か?うーん、分からん…)」


 いまだにこういう動画が何故受けるのかさっぱり意味が分からない二ノ宮のおじきであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る