第92話極道VS暴走族

「おい、兄ちゃんたち。ガキのケンカじゃねえぞ。こっからは」


 小沢と呼ばれる『血湯血湯会』の男が言葉を言い終わる前に宮部の『空中二段蹴り』が男にさく裂する。一発目が足元を、二発目が顔面を捉える。そしてその強烈な二発目に思い切りぶっ飛ぶ男。


「あ、ごめん。ついうっかり。えーと、なんだっけ。『こっからは』の続きはなんて?」


 宮部の『空中二段蹴り』でぶっ飛んだ男がものすごい形相で立ち上がる。鼻からはぼたぼたと血が。口からも血は流れている。宮部の初撃で男はバランスを失い、顔面が完全無防備状態となり、強烈な二発目をもろに食らったのである。


「ボケがっ!極道舐めとったら殺すぞ!」


 そう言って宮部に向かって猛烈な勢いで突っ込んでいく小沢。


「おい。おっさん」


 新藤がそう言って、怒りで宮部しか見えてない突進している小沢に回し蹴りを放つ。新藤の強烈な回し蹴りは小沢の横っ腹を捉える。


「ぐえっ!」


 濁った声と共に口から汚物を吐き出す小沢。


「おいおい。この街をゲロで汚すんじゃねえよ」


 そう言いながら横っ腹を押さえて中腰になっている小沢の頭を掴み、どてっ腹にガンガンと膝をぶち込む新藤。


「ぐおっ!ううっ!うっ!うっ!」


 強烈な膝がものすごい速さで何度も繰り出される。


「まだまだ」


 そう言って次は顔面に膝を何度も繰り出す新藤。


「小沢さん!」


 『模索模索』幹部・忍がそう叫んだ瞬間、忍もぶっ飛ぶ。


「おい。喧嘩中によそ見してんじゃねえよ。馬鹿かお前」


 宮部の右肘が忍の顔面を捉えた後に宮部がそう言った。


「わりい。お前の相手は俺がやっちまったわ。そっちは」


「あ、あと、相手になる奴いる?」


 自らを『極道』と名乗る小沢も半グレ集団『模索模索』幹部であり間宮直属の忍も気を失った状態で、その二人が瞬殺されるのを見ていた他のメンバーは散り散りとなってこの場から逃げ出す。


「おい。このこきたねえ二人を連れて帰れよ」


「は、は、はい!」


 逃げようとする『模索模索』らしき小僧どもに宮部が言うと小沢と忍を抱きかかえてこの場から逃げ出す『模索模索』頭・間宮がよこした部隊。そしてお互いにタバコを取り出し、それを口に咥えて火を点ける。


「なんか『極道』とか言ってなかった?」


「あ?関係ねーよ。別に『看板』でケンカしてるわけじゃねえんだし。それより…」


「あ?」


「新堂…、お前、『携帯灰皿』持ってねえ?」


「そんなの持ってねえよ」


「いや…。京山さんは『歩きタバコ』とか『タバコのポイ捨て』には今、めっちゃ厳しいんだよなあ…。これ、今吸ってるのを見られたら『地獄』だぞ…」


「あ…。それは…、まずいな…」


 そう言いながら急いでタバコを吸い、吸い殻を地面に擦りつけて完全に火を消し、そっと道路の排水溝の穴に投げ込む宮部と新藤。そして二本目に火を点ける。


 一方その頃。


「いてええ!」


「こらこら誰が正座崩していいつった。正座しろ。正座」


「こらこら誰が正座崩していいつった。正座しろ。正座」


 『どごーん!』と『鞭打ち』を使い、ハコを変えたばかりの悪徳デリヘル『グッドフェラーズ』を壊滅させつつ、しっかりと動画撮影もしている田所と飯塚であった。

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