第15話『お墓参りにいってみた!!』

「よろしくお願いします。あれから自分なりに一生懸命考えてみました。ご指導のほどお願いします。まず最初のアイデアなんですが。『お父さんに普段は言えない感謝の気持ちを手紙にして読んでみた』というのはどうでしょう?」


 お父さん…。やっぱり血が繋がってないお父さんのことだろうと飯塚は思ったがとりあえずそこはスルーして答える。


「今のアイデアはちょっと分かりづらいですが。具体的にどういうイメージでしょうか?」


「はい。よく、結婚式などで新郎新婦が今までお世話になった両親に手紙を書いて、それを皆さんの前で読み上げるじゃないですか。やはりああいう、『普段は言えない当たり前に感謝』の気持ちを伝えることは涙を誘うと思います。そういうのは受けませんかね?」


「すいません。ちょっとイメージしずらいです」


「ああ、すいません。自分はなかなか不器用でして」


「いえいえ。こちらこそすいません」


 とりあえず謝る飯塚。住友が続ける。


「分かりやすく言いますと、お父さんでなくてもいいと思います。やはり、何と言いますか。お恥ずかしい話ですが、私どもは少しやんちゃな過去があります。『あの時は若すぎて気付かなかった、いや気付けなかったこと』を反省すると言った方がいいでしょうか」


 まったく理解できない飯塚。


「それは具体的にどういうことでしょうか?」


「『お父さんに感謝の気持ち』でもいいですし、『傷つけた人に反省と謝罪の気持ち』を伝えるでもいいと思います。実際に足を運んで『お墓参り』して心から謝罪の気持ちを伝えるのもいいのかなあと思います。どうでしょうか?」


 お墓参り…。え?誰か殺してしまったんですか…?恐ろしい…。めちゃくちゃ恐ろしい…。言葉に詰まる飯塚。


「えーとですね。先ほどの山田さんのアイデアに似ている部分もあり、煮詰めると面白いかもしれません。ちょっとお時間いただけますでしょうか?」


「はい。よろしくお願いします」


(やっぱりなかなか難しいもんやなあ…。一生懸命考えたけどやっぱり分からんなあ。テレビとかでわしならついついホロっとするんやけどなあ…)


 『ユーチューブ』の難しさを改めて感じる住友。そして真剣にメモを取る屈強な組員たち。


「お墓参りは個人的にですがいいと思うんですが」


「あ、自分もすごくいいなあと思いました」


 昔気質で屈強で腕っぷしに自信を持つ組員たちが口々に住友のアイデアに共感の声をあげる。


 え…。こんなにお墓参りが…。ま、まさか…。いやいやいや。自分の考えすぎでしょ。うん、そうに違いない。まさか殺してるとかないない。そう自分に言い聞かせる飯塚。


 とりあえず保留ということで住友の番は終わり、舎弟頭である二ノ宮が立ち上がる。

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