閑話 在りし日のルゴート
短いですm(__)m
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「あ!姫様♪ご機嫌麗しゅうございます♬」
羊角のルゴートが1人でテラスに出ているブレナを見つけて挨拶をしてきた。
「はぁ・・・・ルゴート、ふざけないで。あと、猫を被らなくていいわ。」
ため息を付いて振り返ったブレナに、ニコニコしていたルゴートは素の表情に戻した。
「そう??分かってたんだ。」
「ええ。気味が悪かったわ。」
「くくっ。言うねぇ。流石は魔物を率いるだけあるね。」
ニヤッと歪な笑顔を浮かべながら、ブレナの隣までやってきた。
「別に率いてるわけじゃないわ。それより・・・あの話はホントなの??」
「本当だ。イヴァリアの地下にアンタの母親が軟禁されている。」
「そう・・・・。」
俯いたブレナの手摺を握る手にギリギリと力が入った。
「姫・・俺はね。人族を殲滅したいのさ。」
「は??何??急に・・・。」
「ははは!!俺にとっちゃ急じゃねぇさ。俺はずっ・・・・・・と俺の家族を殺した人族が憎くて憎くて仕方がなかったんだよ。あの結界の中でぬくぬく暮らしてるあいつ等がさぁ!!!!」
正気を失った目を宙に泳がせ、歪んだ叫び声をあげるルゴートに、ブレナはザワッと鳥肌が立った。
「でだ!!その第一弾で、ホロネルを攻めるつもりだ。どうだい?乗らないか??」
ギョロっと目だけブレナに向けたルゴートは、表情そのままに片手を差し出す。
「ど、どういう事よ!?」
「どうもこうも・・・・あんたの父親は、人族に攻め込むつもりだったはずが、どういうわけかここ数年足踏みをしている。」
「そうね・・・・。」
「ああ・・・苛々するなぁ・・・。俺は早く人族達を殲滅したいんだよ。泣き叫ぶアイツらを見たい!!!」
「あたなの怨みと私が何の関係があるの?」
そう言いながらチラッとルゴートを横目に見ると、彼は眉間に皺を寄せ苛々しながら親指と人差し指でその眉間を揉み解していた。
「ホロネルを攻めれば、イヴァリアの騎士共がわんさかやってくるだろう??その隙を姫が突けばいいじゃないか?」
「でも、お父様がそれに応じるかは分からないわ。」
「ああ。だが、隙が出来たイヴァリアにあんたが特攻すれば、あんたの父親も動かざる得ないんじゃないか??」
「そうかもしれないけど・・・・。」
「ま・・姫のスキルがあれば、俺は大いに助かるが・・。俺はもう我慢の限界だ。あんたが自分の母親が捕らわれたままでもいいっていうなら・・・・まぁ、別にいいさ。」
「そうは言ってないじゃない!!」
バッとルゴートの方に向き直り反論するブレナだったが、目を真っ赤にしてイヴァリアを睨みつけるルゴートは、今にも飛び出しそうなほど興奮している様子だった。
「俺はもう止まらない・・・・もう死ぬまで止まらねぇよ。」
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