第33話 エピローグ②

 

 俺は椅子の背もたれにどさっともたれかかった。なんか今、一気に疲れが出た……。


「だから俺にあんなにキツい態度だったのか……」

「うん、それがね」


 グラディスがえへへ、と苦笑いを浮かべた。


「エドガーとエミルのことは当分許せない、だって」


 俺は乾いた笑いしか出なかった。

 まあそうだよなあ。知らなかったとはいえ、相当パメラを責めちゃったからなあ。後で会う機会があったら謝っておかないと。


「まあエドガーはいい奴だから、そのうちパメラも分かってくれると思うよ」

「はは、だといいけどね……」


 ま、期待しないで待つことにするよ。


「それで? それからどうなったの?」

「でね、てっきりパメラもレオン先生のこと好きなんじゃないかって思ったんだ。だから、私を止めようとしたんじゃないか、って……」


 グラディスはうつむくと、ティーカップを両手で包んだ。


『わかった。パメラもレオン先生のこと好きなんでしょう? だからそんな嘘つくんだ』

『そうじゃないってば。お願いグラディス、信じて』


 結局、グラディスはパメラの話を信じられず、喧嘩別れしてしまった。

 そしてパメラとはギスギスしたまま卒業式当日を迎えた。そうしたら、グラディスの目の前でパメラがレオン先生に告白しているではないか。

 グラディスは卒業式のあと、パメラを責めた。


『やっぱりレオン先生のこと好きだったんじゃない。しかも私の目の前で……。パメラがそんな子だとは思わなかったよ!』


 だからこの間、街の高等科でハンナ先生の話を聞いて、グラディスは目の前が真っ暗になった。

 レオン先生は信用できない人間だった。パメラの言うことは間違ってなかったのだ。

 でも、じゃあ、パメラはそれと知っていて、どうしてレオン先生と付き合ったのか……?


「ハンナ先生の話を聞いたとき、パメラがどうしてレオン先生と付き合いだしたのか、その理由がすぐにはわからなかったんだよ。それで帰りの馬車の中で、そのことをずっと考えてたんだ」

「だから帰りの馬車の中で、様子が変だったのか」


 うん、とグラディスは頷いた。あの時のグラディスはかなり動揺していたし、冷静に物事を考えられないのは無理もなかったんだろうな。


「エミルがパメラに会いに行くって言うから、こっそり後をつけたんだ。それでパメラとエミルの会話を聞いているうちに、気づいたの。全部、私を守るためだったんだって。私がパメラの話を信じなかったから、ああいう無茶な行動を取ったんだって。そうしたら居ても立ってもいられなくなって、飛び出したってわけ……」


 あの時のグラディスの勢いは凄かった。俺なんか、簡単に突き飛ばされちゃったもんな。

 俺は、どうしても気になっていることを、この際だから思い切って聞いてみることにした。


「俺、不思議なんだけど。その……パメラはどうしてグラディスのためにそこまで出来たの? いくら親友だからって、そこまでする?」

 

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