秋風

秋風がはこぶのは、かげろうの残り火だけじゃない

日向でぬくもった体が冷えていく

そんなことに悲しまなければならないことが

なによりも不快で、本当に気持ち悪くて


思いわずらいたいなんて思ってない

生きるための記憶が、生きる邪魔をする

八つ当たりを正当化して、5年も苦しんだ

こんなんじゃ、喧嘩別れに一生苦しみそうで


つらい、くるしい、なんで私だけ、いっそのこと

秋風に目が乾いて、ただ瞳がうるおった、それだけなのに

どうして、なんで、号泣しなくちゃいけないのか


やめてほしい、哀しいかなんて聞かないで

言葉にしたら泣かなきゃいけない


粟立つ肌が言っている、さむい、ここはさむい

粟立つ肌が教えてくれる、ここはとてもさむいって

粟立つ肌が独りごちる、ここはいつか必ず、霜におおわれるって

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る