17.百合は美しく弱る
もともとの体力が無いので
カーテンレールにハンガーを設置。
付きっ切りで看病したいと願いましたが、叶いません。
「夏風邪は
距離を置くように言う月彦に従っております。
私が歯磨きをしている洗面所に据え置かれた体重計。
月彦は高熱にもめげず、デジタル体重計に乗ります。
どんなに困難な状態であろうと、アノレキシアの本能で動く彼。
一日に何度も、体重を確かめなくてはいられないのです。
三十七キロ。
見えてしまいました。入院のボーダーラインを割り込みそうな、デジタル体重計の示す数字。私は深刻に受け止め、月彦は満足そうです。
「見て。三十七キロだよ。素敵な数字だ。僕は三十七キロが一番、
はしゃいだ直後、沈むのです。
「
再び私を遠ざけました。
「風邪を
同じ寝床に就くことを
私は、
現在は、海外へ長期赴任中のお父様。
月彦が幼いころには、短期の赴任を繰り返しておられたそうです。
その時代、
何を思って、お買い求めになられたのか分からない。
動物の
過去に
もうすぐ二十六歳を迎えようとするのに、怖いのです。
三日間の我慢が限界でした。
「……日芽子さん?」
私は、そっと
畳に敷かれた布団、
それは私を安心させる、いつもの光景。
進化も退化も無い時間の止まった
厳密には未来へ向かって退化しているのでしょうが、そんなことを忘れさせてくれる美しい光景。
永遠です。
実際に摂食障害とは、その状態で居ることとは、早過ぎる時間の流れの中に
月彦は二十五歳のオトナですが、オトナに成りたくないのです。
既にオトナに成っていますが、コドモのフォルムを希求するのです。
「僕の心の声が聴こえた? 呼んでいたんだよ。日芽子さん」
呼ぶ声が聴こえたわけではありませんでしたが、幼稚じみた言い方をします。
「月彦くんに会いたくなったの。月彦くんしか駄目で、この部屋しか駄目なの」
それは月彦の求める『彼女』の解であり『少女』の
「おいでよ。風邪は完治していないけれど。日芽子さんに
彼の
月彦の病なら
「
突拍子もない質問を
「女の子に体重を
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