第76話 黒の王宮のバルコニー

数日後・・黒の王宮のエイルの部屋のバルコニーで 

アーシュとエイルは一緒に軽い軽食を食べていた


料理はアーシュの手作り


「美味しい?」アーシュは聞く


「うん 有難うアーシュ」

「じゃあ 俺はちょっと用事があるから・・またね

夜 遅くなるから 悪いが一人で先に食べてて・・」

エイルの頬に軽くキスするアーシュ


「わかった・・アーシュ行ってらしゃい」エイル


入れ代わりにナーリンがやって来た

「あら火竜王(サラマンデイア)様 ここにいらしゃると」


「出かけたよ・・夜遅くなるって」エイル


「そうですか・・多分 兄のセルトと出かけたのでしょう」

「何?どうしたの?」

「巨人族の捕虜と攫われた黒の国の者達との交換があるのです」ナーリン


「そうなの・・」エイル


「ナーリン アーシュね・・最近また、あの表情を見せるようになったの


子供だった僕が知り合った当時 白の国へ人質として来てた頃

大人になった後 時々 見せてたあの顔


記憶を無くしてから すごく明るくなっていたのに」


「私も気がついておりました・・昔のような 冷たい無表情な顔・・」


「いつもは 私の前では努めて明るく 振舞ってるけど」


「・・・・」


「仕方ないね・・この前の事件の後だから・・」

口には出さなかったが エイルは思った


僕の傷跡・・呪いの火傷の印の事と・・

異母兄妹テインタル王女の事が重くのしかかているんだねアーシュ

自分の事も責めてる


「・・・一国の王なのですから 重い責任があります

重苦しい表情も これからはまた

御見せになると思いますわ エルトニア姫様」ナーリンは言う


「・・そうだね」


「エルトニア姫様がいれば 大丈夫ですわ」ナーリン


「うん、わかった」


そこに はらりはらりと 雪花の花ビラが落ちて来る

「もう 今年の雪花も終わりだね ナーリン」


「そうですわね 雪が降るのもすぐですわ 急に寒くなってきました」

「アーシュの作った料理あるの 一緒に食べようよナーリン」


「よろしいのですか? 明日、温めてまたアーシュ様とお食べになれば?」


「いいの! さあ」エイル

「・・では ご馳走になります 有難うございますエルトニア姫様」

ナーリンはアーシュの座っていた席に腰かけて 一緒に食事を食べた

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