第62話 白の姫 羽琴の姫君・エリンシア姫の消息

「それとエリンシア姫は生きているぞ」


「えっ? しかし・・」セルト


「何を知っている?セルト」黙ってセルトを見つめる


「ヴァン伯爵の最後の時


あの男は言いました・・前の戦い・・黒の王宮の陥落の時に

兵士達に、ヴァン伯爵にも乱暴され 牢屋で息絶えた


タルベリイ様この事はご内密に リュース公もおられて


エリンシア姫に想いを寄せられていたリュース公が

ヴァン伯爵を殺しました」


「・・そうでしたか セルト将軍」

「・・・」


「俺もいたのか?」アーシュ


「はい 私に口蓋しない事言われまして・・」セルト


「アムネジアの記憶によると エリンシア姫は巨人族の王の側室だそうだ」

「夫もいる・・どちらの子かわからない子供だ・・」


「!!」驚くタルベリイ


「セルト・・それと黒の王宮陥落の際

恐らく あの事も知っていたな・・エリンシア姫の孕んだ子供を

流産した事も・・

父親は先の黒の王かリュース公」


「・・はい」


「リュース公にも この事は知らせよ


巨人族の国に間者を彼も潜入させている

ただアルテイシアとエイルには言うな


巨人族に潜入した 間者にも調べさせて・・・」アーシュ


黒の羽を握り締め ハッとするアーシュ

たちまち金色の瞳になる


赤毛の男・・エリンシア姫の夫・・巨人族の王族


俺は少し前 黒の王宮に連れて来られてた

巨人族の捕虜達を見た


その中にあの顔を見た


エリンシア姫の夫は 捕虜として この黒の王宮にいる

どうする?


「アーシュラン様?何かわかったのですか?」

「いや、たいした事じゃない」再び 深紅 焔の瞳に戻る


これは ナーリンの閉じ込められた水晶玉を返した礼だ テイタル王女

それとエイルの実の母親の為


「・・悪いが ひとまず席を外す エイルの様子を見て来る」アーシュ


「はい 王」二人は頭を下げる


ガチャリ・・アーシュがドアを開け 出て行く

立ち去ったアーシュの後で 二人は話す


「本来なら 一番にテインタル王女と白のエリンシア姫の解放を 

交換条件に持ってゆくべきなのですが・・」セルト


「巨人族の王は知らぬふりをするでしょう

エリンシア姫は何でも今は 巨人族の王の側室になっているとか

間違いなくこちらも知らぬふりを通すでしょう


テインタル王女の方は あのような呪い魔法の文様の入れ墨をした後では・・

返すに 返せないでしょう」タルベリイ


「しかも火竜王(サラマンデイア)様のあの様子では

今は時期が悪すぎる


また 戻ったとしても 呪いの入れ墨のせいで 

再び火竜王(サラマンデイア)様やエルトニア姫様に何をするか


王宮内の離れの屋敷か 何処かの城にでも 幽閉するしかないでしょう


しかし、もう二度と こんな機会はありえないでしょうな

実に残念です」タルベリイ

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