第33話 歪んだ憎しみとエイルの知らない信実

アムネジアが 呪文を唱え 

すると手の中に丸い光が生まれ それが小さなナイフなような物に変化する


エイルに巻かれた包帯を外して

ざくっ! 怪我をしているエイルの左腕にそれを刺す


「きゃあ!痛い!」エイルの悲鳴

「や!やめて!痛い」エイルの瞳に痛みに涙が浮かぶ


その声に手を止めて エイルの瞳を見つめる・・


「綺麗な瞳・・青と薄茶のオッドアイ・・エリンシア姫より

茶色い方の瞳は 金に近いわね」


しげしげと 首を少々傾けて アムネジアは言う

「よく似てる さすが母娘ね・・」


「え?」


「…知らないでしょう

そう・・私は以前 巨人族の手先となったヴァン伯爵に聞いていたから」


「・・貴方の本当の父親は 白の宗主の異母兄弟・・実の弟

白の宗主の座を確実にする為に 邪魔な弟を殺したそうよ


エリンシア姫は その弟と恋人同士で 貴方を身ごもり

貴方を産んで 白の宗主に抗えず・・敵である宗主の側室となった」


「!!」

瞳を見開いたまま 茫然として その話を聞いているエイル


今度は 白の国の言葉で話し出すアムネジア


「大事な我が子

貴方を庇って 先の平和条約の盟約で

人質に選ばれた貴方を庇い 身代わりになった」


「・・・・・」口も聞けず黙ってるエイル


「・・本当に綺麗で優しい人

黒の国で いつも宴で羽琴の姫君の呼び名通りの見事な演奏や

いつも私には お菓子をご馳走してくれたり


そう、アル アルテイア姫から聞いた事ある?

まだ幼かった私とアルの二人は エリンシア姫から白の国の言葉や文字を

教わったのよ」


エイルも白の国の言葉で話し出す

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