第2話 滝に眠る祠(1)

 その日の夜、5人はサイレスシティにやってきた。街は静まり返っている。人間がいた頃はにぎやかだったのに、今はこの有様だ。


 サラはサイレス港に降り立った。ちょうどカーフェリーがやってきた。だがカーフェリーの乗客は少ない。人間がいた頃はもっといたのに。10年前に乗った時のことを思い出した。あの時の賑わいをまた見たいな。


「寂しくなったわね」

「あの頃に戻りたいよ」

「そうだね」


 サラとマルコスとサムは10年前にここに来たことを思い出した。あの時はとても賑やかだった。多くの人がカーフェリーに乗っていた。多くの人が見送っていた。でも、今はこの有様だ。


 あの時の賑わいが再び来るためには、王神龍を封印して、人間を解放しなければならない。できなければ、人間は絶滅して、もうこの賑わいは見られないだろう。


「今日はここで泊まりましょ」

「うん」


 5人はここに泊まって、明日、サイレスシティに向かうことにした。


 10分ほど歩いて、5人はホテルにやってきた。人通りは少なく、静まり返っていた。10年前はどうだったんだろう。サラは考えていた。


 5人はホテルに入った。フロントには女がいた。女はサラのようなロングヘアーだ。サラとは違い、髪は染めていない。


「すいませーん、5名ですけど、部屋、空いてますか?」

「空いてますよ」


 サラはほっとした。部屋が空いていたからだ。開いていなかったら、別の所を探そうと思っていた。


「ありがとうございます」


 サラはお辞儀をした。女は笑顔で答え、部屋へ案内した。


 女は部屋のドアを開けた。部屋は3階にあって、窓からは海が見える。所々に、船の明かりが見える。とても眺めのいい部屋だ。


「こちらでございます」

「ありがとうございます」


 サラは再びお辞儀をした。


 女は部屋の扉を閉めた。それを見たサムは畳にくつろいだ。今日1日で祠と神殿を巡って疲れていた。


「取れてよかったじゃないか?」

「うん」

「明日はアインガーデビレッジに向かいましょ。聖水神レトウ様はここにいるはずよ」


 サラは冷静だ。明日の予定を考えていた。サラは最高神がどこにいるかは大学で学んでいた。だが、それがどこにあるかまで走らなかった。


「うん」

「だが、まだまだこんなにも冒険が続くとは」


 レミーは下を向いた。4つの精霊のオーブを集めたら、そのまま城に行って、王神龍を封印すると思っていた。


「しょうがないじゃない」


 サラは肩を叩いて、レミーを励ました。レミーは少し元気が出た。


「あと8日か。急がないと」

「大丈夫大丈夫。1日1ヶ所ずつ攻めていけば大丈夫よ」


 サラは計画していた。そうすれば、絶対間に合うし、日にちが少し余る。


「うん」

「大変だけど、頑張りましょ」


 サラはみんなを励ました。




 翌日、5人はホテルをチェックアウトして、港にいた。港は朝の賑わいを見てていた。だが、10年前とは程遠い。あの頃の賑わいに戻さなければ。サラは改めて思った。


「行きましょ」


 4人はドラゴンに変身したサラに乗った。目的地はアインガーデビレッジ。10年前に行った村だ。あの村で初めて王神龍の存在を知った。あれから10年。村はどうなっているんだろう。サラとマルコスは想像した。


 5人はアインガーデビレッジにやってきた。アインガーデビレッジも静まり返っていた。人は歩いていたが、彼らはみんなむっつりとしていた。


「10年前とは別だけど、何かおかしいわね」

「うん。みんなむっつりしている」


 マルコスも村の異変に気付いていた。10年前とはまた違う。ワイバーンが人間を捕まえている時とは違う。みんなむっつりとしている。まるで誰かに操られているようだ。


 サラは通りがかった女性に聞いた。その女性は赤ん坊を抱えていた。自らの子供と思われる。


「すいません、聖水の祠って、どこにあるか知ってますか?」

「・・・」


 その女性は何も反応しない。まるで5人を無視しているようだ。


「おかしいわね。何も言わないなんて」

「本当だな」


 サラは通りがかった男性に聞いた。その男が力自慢のようで、腕っぷしが太かった。


「すいません、水の祠について、ご存じですか?」

「・・・」


 やはり男も反応がない。そして5人を睨みつけているようだ。何かがおかしいとサラは思っていた。


「何でにらんでいるのかな?」

「睨んでいるように見えたの?」


 マルコスは更に聞いた。睨んでいるように見えなかった。


「俺もそう見えた。何だろう」


 バズも睨んでいるように見えた。聖魔導の力を得てから、バズも悪を見抜く力が強くなった。


「洗脳しているんだろう」


 悪を見抜く力が強いサラもそう感じていた。


「まさか。そんなことは」

「でも正しいかもしれないわ」


 サラには自信があった。絶対に自分の感は当たっていると思っていた。


 気を取り直して、5人は再び祠の位置を聞き始めた。次に聞いたのは若い男だ。その男は金髪で、耳にピアスを付けていた。


「すいません、聖水の祠ってどこにあるかご存じですか?」

「・・・」


 若者はやはり何も言わない。むっつりしている。そして何かを考えているようだ。


 5人は後ろを向いて立ち去った。5人は残念そうな表情だ。聖水の祠の位置が全くわからないからだ。


 その時5人は知らなかった。若者が後ろを振り向き、5人を見ていることを。


「大変ね。何も情報が得られないわ」

「うん」

「早く行かないと」


 サラは焦っていた。このままでは人間が絶滅してしまう。何としても早く見つけなければ。


 その時、サラは誰かの声に気づいた。


「サラ・・・」


 サラは辺りを見渡した。だが、誰もいない。サラは首をかしげた。


「誰?」

「ガーデの滝の裏へ向かえ! 待っておる」


 サラは再び辺りを見渡した。だが誰もいない。


「ガーデの滝に向かおう!」


 突然、サラは叫んだ。突然の決断に、5人は驚いた。


「どうしたの?急に」

「誰かの声が聞こえたの」

「まさか、聖水神レトウ様?」


 だが、何の反応もない。サラは思った。ただ、ガーデの滝に来いと言われた。ならば、ガーデの滝に行けば、何かがあるのでは?


「かもしれないわ。行きましょ!」

「うん! とにかく行ってみよう!」


 5人はガーデの滝に向かって歩き出した。ガーデの滝の位置は以前から知っていた。だがここに何があるかまでは知らなかった。


 滝に向かおうとしたその時、歩いていた女がトカゲの魔法使いに変身して、襲い掛かってきた。


「えいっ!」


 レミーは空高く飛び上がり、何度も斬りつけた。トカゲの魔法使いは少し痛がった。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。だが、トカゲの魔法使いは魔法に強く、あまり効かない。


「天の怒りを!」


 サムも魔法で強烈な雷を落とした。やはりあまり効かない。


「水の裁きを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で大津波を起こした。5人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えていた。


「食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。トカゲの魔法使いは少し痛がったが、すぐに持ち直した。


「ガオー!」


 サラは毒の息を吐いた。トカゲの魔法使いは大きなダメージを受け、毒に侵された。トカゲの魔法使いは毒に侵され、息遣いが荒くなった。


「死ね!」


 トカゲの魔法使いは鋭い爪でひっかいた。だが、毒に侵され、思うように力が出ない。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。あまり効かなかったが、トカゲの魔法使いは倒れた。毒に侵され、体力を削られていたからだ。


「私、どうしてたのかしら?」


 両親になった女に気づき、サラは魔法で女の体の毒を消した。女は記憶を失っていて、放心状態だった。


「えっ、記憶ないの?」

「うん」


 女は辺りを見渡した。何があったんだろう。どうしてここにいるんだろう。女は今の状況がわからなかった。


「危ない!」


 突然、マルコスは声を上げた。後ろから2人の男が近づいてきた。男はトカゲの戦士とトカゲの魔法使いになって襲い掛かってきた。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。2匹のトカゲは痛がったが、すぐに持ち直した。


「天の怒りを!」


 サムも魔法で強烈な雷を落とした。だが2匹のトカゲはびくともしない。


「それっ!」


 レミーは空高く飛び上がり、流れ星のように斬りつけた。トカゲの魔法使いは大きなダメージを受け、表情が苦しくなった。


「死ね!」


 トカゲの戦士は持っていた槍で勢いよく突いた。槍は光り輝き、レミーの体を貫く。レミーは一撃で倒れた。


「水の裁きを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で巨大な水柱を落とした。4人は大きなダメージを受けた。


「ガオー!」


 サラは毒の息を吹きかけた。2匹のトカゲは大きなダメージを受け、毒に侵された。


「命の奇跡を!」


 バズは魔法でレミーを復帰させた。


「癒しの力を!」


 サムは魔法で5人を回復させた。


「息絶えるがいい!」


 トカゲの戦士は光り輝く槍でサラを突いた。だが、槍は真っ二つに折れた。ドラゴンの頑丈な皮膚に傷をつけることができなかった。


「これでも食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。トカゲの魔法使いは倒れた。


「グルルル・・・」


 サラは雷の息を吐いた。毒に侵されたトカゲの戦士は体がしびれた。


「水の裁きを!」


 トカゲの戦士は魔法で巨大な水柱を起こした。だが、あまり強くなかった。トカゲの戦士は毒で体力を削られ、今にも倒れそうだ。


「天の裁きを!」


 サムは魔法で強烈な雷を落とした。トカゲの戦士は倒れた。


 トカゲの魔導士とトカゲの戦士は元の人間に戻った。サラは魔法で2人の毒を消した。


「洗脳されていたのかな?」

「うん。私たちに襲い掛かってきたもん」


 2人は驚いた。洗脳されていた間にこんな恐ろしいことをしていたなんて。


「アレックスさんが、幸運になれると言って、呪文を唱えたところで記憶がなくなったんだ」


 トカゲの戦士になっていた男はその時のことをよく覚えていた。突然、この村にアレックスという祈祷師が現れて、幸運になれると言って呪文を唱ええていた。


「ヤバい! また来た!」


 またもや魔獣が襲い掛かってきた。今度はトカゲの戦士2匹とトカゲの魔法使い1人だ。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。3匹とも大きなダメージを受けたが、全くびくともしない。


「癒しの力を!」


 サムは魔法で5人を回復させた。今さっきの戦いで体力を消耗したままだった。


「食らえ!」


 トカゲの戦士は光り輝く槍でマルコスを突いた。槍はマルコスの体を貫き、マルコスは倒れた。


「死ね!」


 もう1匹のトカゲの戦士が光り輝く槍でレミーを突いた。槍はレミーは体を貫き、レミーは倒れた。


「水の怒りを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で大津波を起こした。3人は大きなダメージを受けた。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となり、マルコスとレミーを復帰させた。


「癒しの力を!」


 バズは魔法で5人を回復させた。


「癒しの力を!」


 サムも魔法で5人を回復させた。


「死ね!」


 トカゲの戦士は光り輝く槍でサラを突いた。だが、槍は真っ二つになった。ドラゴンの皮膚では手も足も出ない。


「水の裁きを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で大津波を起こした。5人は大きなダメージを受け、マルコスとレミーは倒れた。


「命の奇跡を!」


 バズは魔法でマルコスを復帰させた。


「命の奇跡を!」


 サムも魔法でレミーを復帰させた。


「それっ!」


 レミーは空高く飛び上がり、流れ星のように斬りつけた。食らったトカゲの戦士は倒れた。


「食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。ひっかかれたトカゲの戦士は倒れた。


「ギャオー!」


 サラは雷の息を吐いた。最後に残ったトカゲの魔法使いは倒れた。


「洗脳されているのでは?」


 マルコスは腕を組んだ。これはもうアレックスが洗脳しているとしか言いようがない。何としてもアレックスを見つけ出し、倒さねば。あいつもきっと神龍教の信者だろう。もだがたら、聖水の祠にいて、石にされた聖水神レトウを見張っているかもしれない。


「そうかもしれない」


 そう思っているうちに、また敵が襲い掛かってきた。今度はトカゲの戦士とトカゲの魔法使いが2匹ずつだ。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。4匹とも大きなダメージを受けたが、4匹ともびくともしない。


「水の裁きを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で大津波を起こした。5人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えていた。


「炎の怒りを!」


 もう1匹のトカゲの魔法使いは魔法で火柱を起こした。5人は再び大きなダメージを受け、マルコスとサムとレミーは表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 サムは魔法で5人を回復させた。


「とりゃあ!」


 レミーは空高く飛び上がり、何度置きりつけた。トカゲの戦士はびくともしない。


「食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。それでもトカゲの戦士はびくともしない。


「死ね!」


 トカゲの戦士は光り輝く槍でレミーを突いた。レミーは一撃で倒れた。


「殺してやる!」


 もう1匹のトカゲの戦士はマルコスを何度も突いた。マルコスは大きなダメージを受け、表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 サラは雷の息を吐いた。2匹のトカゲの戦士は表情が苦しくなった。


「命の奇跡を!」


 バズは魔法でレミーを復帰させた。


「癒しの力を!」


 サムは魔法で5人を回復させた。


「風の怒りを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で竜巻を起こした。5人はダメージを受けたが、あまり大きくなかった。


「炎の裁きを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で溶岩を起こした。5人は大きなダメージを受けた。


「とおっ!」


 レミーは空高く飛び上がり、流れ星のように斬りつけた。食らったトカゲの戦士は表情が苦しくなった。


「食らえ!」


 マルコスは別のトカゲの戦士を雷を帯びた爪でひっかいた。別のトカゲの戦士も表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 サラは雷の息を吐いた。4匹は大きなダメージを受け、2匹のトカゲの戦士は倒れた。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。1匹のトカゲの魔法使いは倒れた。


「氷の怒りを!」


 残ったトカゲの魔法使いは魔法で大津波を起こした。5人は大きなダメージを受け、レミーは倒れた。


「命の奇跡を!」


 サムは魔法でレミーを復帰させた。


「ガオー!」


 サラは雷の息を吐いた。最後に残ったトカゲの戦士は倒れた。


「あれっ? アレックスさんは?」


 洗脳が解けた男は辺りを見渡した。だがアレックスはいない。


「さぁ、知らない」


 その隣にいた女は首をかしげた。


 その時、また洗脳された村人が襲い掛かってきた。今度は3匹のトカゲの戦士と2匹のトカゲの魔法使いだ。


「そんな! また来た!」

「まるで俺たちを滝に行かせないようにしているようだ」


 マルコスは腕をまくり上げ、臨戦態勢だ。何度来ても俺の拳でぶっ飛ばしてやると思っていた。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。だが5匹はびくともしない。


「食らえ!」


 トカゲの戦士は光り輝く槍でマルコスを突いた。マルコスは一撃で倒れた。


「死ね!」


 別のトカゲの戦士は光り輝く槍でサラを突いた。だがサラの硬い皮膚には全く効かなかった。


「命の奇跡を!」


 サムは魔法でマルコスを復帰させた。


「えいっ!」


 トカゲの戦士はサラを突いた。だが、サラの硬い皮膚で槍は真っ二つになった。トカゲの戦士は焦った。


「それっ!」


 レミーは空高く飛び上がり、雷を帯びた剣で斬りつけた。トカゲの戦士は大きなダメージを受けた。


「食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。食らったトカゲの戦士は表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 サラは雷の息を吐いた。レミーとマルコスの攻撃も食らったトカゲの戦士は倒れた。


「炎の怒りを!」


 トカゲの魔法使いは魔法で大きな火柱を起こした。5人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えていた。


「雪の怒りを!」


 別のトカゲの魔法使いは猛吹雪を起こした。5人は大きなダメージを受け、レミーは凍り付いた。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。5匹は大きなダメージを受け、2匹のトカゲの戦士は表情が苦しくなった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で強烈な雷を落とした。2匹のトカゲの戦士は倒れた。


「食らえ!」


 マルコスは雷を帯びた爪でひっかいた。食らったトカゲの魔法使いは表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 サラは雷の息を吐いた。マルコスの攻撃も食らったトカゲの魔法使いは倒れ、残ったトカゲの魔法使いは表情が苦しくなった。


「炎の力を!」


 トカゲの魔法使いは大きな火柱を起こした。5人は大きなダメージを受け、マルコスとレミーは倒れた。


「天の裁きを!」


 バズは魔法で強烈な雷を落とした。最後に残ったトカゲの魔法使いは倒れた。


「大丈夫ですか?」


 サラは倒れた人々の体をゆすった。倒れた人々は目が覚めた。サラは少し笑顔を見せた。


「俺たち、何してたのかな?」


 その男も何が起こったのかわかっていなかった。


「洗脳されていたんだ」


 マルコスは洗脳されていたことを説明した。人々は驚いていた。


「アレックスの奴め!」


 男は拳を握り締めていた。自分たちをだまして洗脳していたアレックスが許せなかった。


「とりあえず、滝に行こう!」

「うん!」


 4人はサラの背中に乗って、滝に向かった。きっとここに聖水の祠の入り口があるに違いない。そこにはアレックスもいるかもしれない。


「それにしても、まさか襲い掛かってくるとは」

「10年前とはちょっと違う恐怖ね」


 10年前はワイバーンが襲い掛かってきたが、今度は村民自体が襲い掛かってきた。10年前もそうだけど、来るたびにアインガーデビレッジでは変なことが起こってる。


「とりあえず、アレックスって、誰なの?」

「わかんないよ」


 サラはアレックスのことが気になっていた。突然現れた祈祷師で、彼らを洗脳していったからだ。


 数分飛ぶと、大きな滝が見えてきた。ガーデの滝だ。その滝は、人里離れた秘境にあって、多くの貴重な野生動物が生息している。


「ここがガーデの滝よね」


 サラはその滝に行ったことがなかった。本や教科書でしか見たことがなかった。その滝は水面までの落差が世界一で、毎年多くの観光客が訪れ、写真を撮っている。だが、この近くは自然を保護するように命令されているため、建物を作ることができない。アインガーデビレッジで買うしかない。


「何もないよね」


 5人は辺りを見渡したが、洞窟の入り口らしきものは見当たらない。いったい、どこにあるんだろう。


 その時、サラは何者かの声が聞いた。


「滝の裏に入れ」

「滝の裏?」


 サラは思わず口が走ってしまった。


「えっ、どうしたの?」

「滝の裏に行けって」


 マルコスは驚いた。マルコスにはその声が聞こえなかった。その声はサラしか聞こえなかった。


「見て! 洞穴がある!」


 サムは指をさした。すると、滝の真ん中あたりに黒い影が見えた。それが入口のようだ。


「ここが入り口?」

「わからない」

「入ってみよう」

「でも、どうやって入るんだろう」


 その時、再び誰かの声が聞こえた。


「5人の選ばれし魔族よ、入れ! 我を救い出せ!」


 その声とともに、ガーデの滝が2つに割れた。そして、割れた場所には洞窟が見えた。そこが聖水の祠の入口のようだ。


 その声を聴いた時、サラはその声はこの中で封印されている聖水神レトウではないかと思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る