巨大なゲームセンターと、少年の座標。

主人公は不登校の少年。
彼は学校に行かなくなってから吃音の症状が出て上手く喋れません。

彼の抱えている問題は不登校と吃音以外にもあります。
それは姉の存在です。

物語では不登校になったこと、吃音のこと、そして姉のことが克明に語られます。
彼の抱える問題は、彼の世界の見え方に直結しています。
それゆえに物語の中で出会うものや起こる出来事が彼にとってどのような意味があるのかを示す、ある種の基準となっているのです。
そうやって座標を明確にしながら進んでいくところもこの物語の大きな魅力です。

物語の途中で主人公は巨大なゲームセンターを訪れます。
まるで異世界めいた建物の中にいても、基準となる現実は離れることがありません。
非日常に身を置こうとも現実との強い結びつきは薄れないのです。
ですから読者は彼の感じている現実をとことん味わえます。
少年の心を追う、非常に読み応えのある作品です。