ポメリアの正体
ポメリアにもらった野苺を口に含むと、何とも言えない甘酸っぱさが心にまで沁みてきた。自分が生きてるんだっていうのを実感した気がする。
彼女と二人で分け合って食べたから満腹とまではいかないけどそれなりに充足感はあって、すると今度は急に睡魔が襲ってきてしまった。
ちくしょう…早く移動しなきゃいけないのに……
だけどそんな私にポメリアは言った。
「シェリスタ、疲れてる。眠った方がいい……」
彼女のヒールで回復させてもらうっていう手もあるけど、術者自身の怪我は治せても魔力の回復はできないから、あまり無駄遣いはできない。戦闘中はそんなこと言ってられなくても今はそこまで追い詰められてる訳でもないし。
「分かった…少しだけ寝かせてもらうね……」
そう言いながらも私は自分が眠りに落ちていくのが分かってしまった。
次にハッと目が覚めた時には、太陽はほとんど真上に来てた。しまった。一時間くらい仮眠するだけのつもりが、四時間くらい寝てしまったかもしれない。
慌てて周りを見回すと、今度はゾッと血の気が引くのを感じた。
「ポメリア…?」
ポメリアの姿がなかった。ぐるっと一周見回しても、どこにも姿が見えない。
『やだ…まさか私が眠ってる間に…?』
勝手に体ががくがくと震えてしまって、力が入らなかった。
『そんな…ポメリア……!』
と思ったその時、
「シェリスタ…私はここだよ……」
ポメリアの声が聞こえてきて、私は反射的に上を見上げてた。
「ポメ…リア……?」
呟くように彼女の名前を口にしたのは、確かめようとするため。私の目に映ってる<それ>が本当に彼女なのか、ポメリアなのかを確認するためだった。
だってそこにいたのは、透明でキラキラと輝く四枚の羽根をもった、妖精のような天使のような、不思議な存在だったから。
そのポメリアの顔と声をした妖精のような天使のようなそれは、木の枝と枝の間の空中に浮かんで太陽の光をその透明な羽に浴びてるようにも見えたのだった。
「ポメリア…なの…? その姿は……?」
私の問い掛けに、彼女は穏やかな笑みを浮かべて答えてくれた。
「そうだよ。私はポメリア……
「え? でも、
そうだった。私が聞いてた話だと、何千年も昔に魔族との戦いに巻き込まれて。彼女達の力は、魔族にとっては恐ろしい毒だったそうだから。それでまず、彼女達は滅ぼされたんだって。
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