第49話外伝~シノブとホムラ~

さて、オーガジェネラルを倒したわたし達は、久々の休息を満喫していました。


今日は、団長がギルドマスターと報酬について話し合うとのこと。


なので、自由にしろと言われました。


なので、わたしはこの折角の機会にホムラを誘い、街に繰り出すことにしました。


「どうしたのですの?貴方が、ワタクシを誘うだなんて」


「まあ、そうなんですけどねー」


わたしとホムラの関係性は、中々複雑だ。


出会ったのは、ホムラが先。


パーティーに入ったのは、わたしが先。


一緒のパーティーになってからは、団長の知らないところで度々揉めていた。


わたしは団長の子種がほしいので、積極的に迫っていた。


でも、ホムラはそれを邪魔してきた。


はしたないとか言いながら。


自分だって迫ればいいじゃん!というと顔を真っ赤にした。


そんなことできません!って言ってた。


ただ共通していたのは、2人とも団長が大好きなこと。


団長に、迷惑はかけたくないということだった。


なので、一度ケリをつけることにした。女の戦いである!


といっても戦闘タイプが違すぎるので、実際の戦闘はしていない。


やったことは、所謂いわゆるキャットファイトである。


ホムラが、わたしの頬を叩いて言いました。わたしの方が先に出逢ったのに!


わたしも、叩き返して言いました。そっちが、いつまでもウジウジしてるからです!


ホムラが、叩き返して言いました。ワタクシにだって、色々事情があるのですわ!


わたしも、また叩き返して言いました。それはーこっちだって同じです!


そうしてその後も、くだらないことを言い合いました。


そして、一先ず停戦条約が結ばれました。


2人で、団長に近づく女を潰していこうと!団長の側にいるのはわたし達だと!


何故なら、団長はモテモテですから。自覚ないですけど。


まあ、わたし達が排除しているのも自覚がない一因ですけど。


そんな訳で、わたしとホムラは決して仲が良いわけではありません。


所謂ライバルでもあり、同盟を結んだ相手であり、パーティーの仲間でもあるわけです。


もちろん、もう付き合いは長くなってきたので、いがみ合うことはなくなりましたけど。


ただ、2人で出掛けたりするのはこれが初めてかもしれません。


「いや、たまにはいいかなと思いまして」


「ちょっと怖いのですけど?貴方がそんなこと言うなんて……」


「むー!ひどくないですかー?同志じゃないですか」


「まあ、そうですけど……貴方何か悩んでますか?」


「まあ……そうですね。エデンについていくか迷ってたんですよねー」


「ええ、聞きましたわ。まさか貴方……ワタクシが団長とあまり居られないからと、気を使ったのではありませんよね?」


「まあ、それも無きにしも非ずですね。ただ、それだけだったらホムラに怒られてしまうので、理由は他にあります」


「……そう。わかっているのならいいのです。貴方にだけは同情はされたくありません。そ、その貴方はワタクシが唯一認めるライバルですから……」


ホムラは、照れ臭そうにそう言った。


わたしは、不覚にも少し嬉しかった。あまりこういう事言わないから。


ちなみに、わたしも照れ臭かった。


「あれ?ホムラ?デレ期ですか?」


「もう!茶化さないでください!相変わらずなんだから……では、その他とやらで話があるのですか?」


「ええ。詳しくは言えないんですけど、もしかしたらわたしの里に行った際に、問題が起きるかもしれません」


「……わかりました。それでワタクシは何をすればいいのです?」


「あれ?何も聞かないんですか?」


「まあ、ワタクシも色々隠してた身ですから……おそらくですが、貴方も団長にいらぬ負担をかけたくないから、ワタクシに言いに来たのでしょう?」


「あちゃーバレましたね。ええ、そうなんですよー。まあ、何も起こらなきゃそれでいいんですけどねー。一応保険として、ホムラにはこれを預かってほしいのです」


「これは封筒?どの場面で、どのように使うのですか?」


「これは、何も無ければ捨ててください。で、わたしの忍びの里で団長に何か問題が起きたら、これを団長に渡してください」


「ワタクシは、ただ渡せばいいのですわね?」


「ええ、そうです」


「わかりましたわ。責任を持って預からせてもらいます」


「なんたが、やけに素直ですねー?いや、楽でいいんですけど」


「いや、その……貴方には感謝しているのですわ。貴方はその気になればワタクシを排除して、団長を独り占め出来たはず。でも貴方はそれをしなかったどころか、素直になれないワタクシをフォローしてくださいました。なので、貴方の力になりたいと思ったのですわ」


「まあ、否定はしませんねー。でもわたしはホムラ嫌いじゃないので、別にいいかなと。わたしは団長の側に居られれば何でもいいので。もし、わたしを排除するような女なら話は別ですけどねー」


「そ、それは怖いですわね。貴方ならやりかねないところが。ですが、同じ気持ちです。ワタクシも団長の側に居られればそれで幸せですわ」


「じゃあこれで同盟強化ですね!まったく団長は果報者ですね!こんな良い女2人に惚れられて」


「ふふ。ええ、そうですわね」


その後は2人でお茶をしたり、お買い物をしたりして楽しんだ。


まあ、たまにはこういうのも良いかもですね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る